家は様々な要因で劣化していきます。
そのため、家を長持ちさせるためには初期の設計段階と住んだ後でそれぞれ対策が必要です。
適切な対策をすれば家は長持ちし、安心して住み続けることができます。賃貸や売却を考えたときの資産価値も高いでしょう。
それとは反対に、劣化への対策がなされていない家は安全面に不安が残るだけでなく居住性もよくありません。そうなると貸すことも売ることもできない空き家になってしまいます。
そのような価値の低い家にならないためには以下の8つの対策が必要です。
- 地震から家を守る
- 雨漏りから家を守る
- 湿気から家を守る
- 白蟻から家を守る
- 紫外線から家を守る
- 水害から家を守る
- 家の中のメンテナンス
順番に解説していきます。
地震から家を守る

家を建てるなら地震対策は必須です。
なぜなら日本は地震大国と呼ばれるほど地震が多い国だからです。日本全国どこに建てても「地震の心配がいらない」というエリアはありません。
地震に強い家にするため、以下の4点について注意が必要です。
- まずは地盤
- 耐震性能
- バランスよく耐力壁を配置
- 制震・免震
まずは地盤
地盤は建築物の構造を考えるうえで最も重要です。
なぜならどれだけ強い建築物をつくっても、地盤が弱ければその建物は沈み、傾いてしまうからです。
地耐力調査を行うと地盤が硬いか緩いかがわかります。地盤が弱かったら地盤補強工事を行う必要があります。
また、新規造成地などの盛り土部分にも注意しなければいけません。何百年も前からある地山と比べて、人工的に盛られた地層は十分に締まっていません。場合によっては数か月の放置期間が必要なこともあります。
周辺建物が地盤補強をしている、周辺建物やブロック塀が傾いているなどあれば特に要注意です。
耐震性能
地震に強い家を造るために「耐震性能」を確保しましょう。
耐震性能は地震に対してどれだけ耐えることができるかという指標です。耐震性能=建物の強さとも言えます。
最もわかりやすいのが性能評価制度の利用です。性能評価は国が指定した検査機関が建物の性能を評価する制度で、耐震等級は3つの等級に区分されます。
- 耐震等級1…建築基準法を満たすレベル。
- 耐震等級2…耐震等級1の1.25倍の強度。学校など、避難所となる建物に必要とされる耐震性能。
- 耐震等級3…耐震等級1の1.5倍の強度。消防署など、防災拠点となる建物に必要とされる耐震性能。
高い耐震等級を確保し、地震に強い家を計画しましょう。
バランスよく耐力壁を配置
耐震性が高い家を設計するためにはバランスよく耐力壁を配置することが重要です。
なぜなら、地震力が加わったときに建物を支えるのは耐力壁だからです。耐力壁は建物のねじれを防ぎ、柱や梁などの構造材へ過度の負担がかからないようにする役割があります。
また耐力壁はただ多く配置すれば良いという問題ではありません。耐力壁を偏って配置すると耐力壁が少ない場所に負担がかかり、構造が崩壊しやすくなります。横方向と縦方向にバランスよく配置し、「偏心率」を小さく抑えることが強い建物を造る上ではとても重要です。
地震に強い家は十分な耐力壁が適切なバランスで配置されています。
制震・免震
耐震性能の他、制震・免震という技術があります。
地震の力を直接的に受けとめる耐震に対し、制震・免震は地震の力を受け流すような特徴があります。
制震は壁内にダンパーなどを挟み、揺れを低減するシステムです。揺れを抑えるので躯体への負担を軽減できます。特に建物が高層になるほどその効果は大きくなります。
免震は基礎にダンパーを設置し、地震の揺れを建物に与えないシステムです。制震と比較して高い技術とコストを必要としますが、制震以上に躯体への負担を抑えることができます。
耐震とあわせて制震・免震を検討することで、より地震に強い建物を計画することができます。
雨漏りから家を守る

雨漏りは建築にとっては致命的です。
雨漏りすると躯体の中に雨水が侵入します。すると木は腐り、鉄は錆び、鉄筋コンクリートも鉄筋が錆びます。
どのような建築物も、雨漏りにより耐久性が著しく低下します。
重要なのは雨漏りしにくいプランと、防水に考慮した施工・メンテナンスです。具体的には以下の3点に注意しましょう。
- シンプルな屋根形状
- 深い軒
- 定期的なメンテナンス
シンプルな屋根形状
シンプルな屋根形状は雨漏りのリスクを抑えることができます。
なぜなら、複雑な屋根形状は屋根下地の継ぎ目や出入り隅が多く、雨水が侵入しやすくなるからです。
ほかにも雨水の侵入リスクが高いのは屋根と屋根が交わる谷の部分や屋根と外壁が交わる立ち上がりの部分は雨漏りのリスクが上がります。防水工事も複雑になるため、屋根形状が複雑な家は建築コストも高くなるでしょう。
なるべくシンプルな屋根形状にして、雨漏りリスクを減らしましょう。
深い軒
深い軒は雨漏りのリスクから家を守ってくれます。
軒を深くかけることで、サッシまわりや換気口まわりの雨水が侵入しやすい部分に雨が直接あたりにくくなります。
また、深い軒は雨と同時に日差しからも外壁を守ります。外壁材やコーキングは紫外線による劣化を防ぐことができるので、長期的な対策としても有効です。
定期的なメンテナンス
家は定期的なメンテナンスが必要です。
どれだけ劣化対策を施しても必ず劣化や傷みが出てくるからです。点検、補修、場合によっては改修工事は欠かせません。
たとえば、外回りのシーリングが劣化したら打ち替えが必要です。そのほか外壁や軒まわりの表面塗装が劣化したときの再塗装、バルコニー防水の再施工、床下の防蟻工事の再施工などが必要です。
どれだけ高性能な車でも車検が必要なように、どんな家でも必ず点検、メンテナンスは必要です。
湿気から家を守る

家は湿気を逃す必要があります。
雨漏りを防いでも、室内で発生した湿気は壁内や小屋裏に侵入するからです。この湿気は躯体が著しく劣化する原因になります。
具体的には以下のようなことに注意が必要です。
- 風通しを意識した間取り
- 床下の換気
- 壁体内の換気
- 小屋裏の換気
風通しを意識した間取り
室内の風通しを意識した間取りにしましょう。
室内の湿気は石膏ボードを通り抜け、壁内に侵入します。壁内に湿気がたまると躯体への悪影響が出るだけでなく、衛生面にも不安が残ります。
風の通り道を意識して2方向に窓を設けると効果的です。地形にもよりますが、日本は南北に風が抜けやすい地域が多いことも覚えておきましょう。
床下の換気
長寿命の家を造るためには床下の換気は欠かせません。
床下はとても湿気がたまりやすい場所だからです。床下の湿気は躯体を劣化させるだけでなく白蟻被害の原因にもなります。
昔ながらの換気口は換気にムラが出やすく、基礎の強度も落ちるためおすすめしません。今は土台と基礎の間にパッキンを設ける換気方法が主流です。
床下換気をしっかりと行い湿気と白蟻から躯体を守りましょう。
壁体内の換気
壁体内の換気を考えておかなければ長持ちする家をつくることはできません。
なぜなら室内で発生した湿気は壁体内に侵入するからです。壁体内の換気が悪ければ壁体内結露が発生し、断熱材にカビが生え、柱が腐食してしまいます。
構造用合板と外壁材の間に縦胴縁を施工し、風の通り道を作ることが有効です。また、できれば構造用合板は透湿性のある材料を使用しましょう。
見えない部分だからこそ、壁の中は万全の対策が必要になります。
小屋裏の換気
小屋裏の換気はとても重要です。
壁の中に侵入した湿気は自然と上昇して小屋裏にたまるからです。
軒まわりや棟に換気口を設けて湿気の抜け道をつくる必要があります。小屋裏の空間をしっかり確保することも重要です。
白蟻から家を守る

白蟻対策をしなければ家の耐久性を確保することはできません。
その理由は以下の通りです。
- 木造以外も対策が必要だから
- 防蟻処理は10年以上持続しないから
木造以外も対策が必要
白蟻対策は木造だから必要だと思われがちですが、鉄骨でもコンクリートでも対策が必要です。
なぜならどのような工法で建てられた家でも、床や壁に木材を使っているからです。
白蟻は木材を目当てにコンクリートをかみ砕き、穴を開けることもあります。対策を怠ると構造躯体が侵食され、耐震性が低下します。
防蟻処理は10年以上持続しない
新築してから10年経つと防蟻処理の再施行が必要になります。
地面から1メートルの高さにある木造躯体部分は必ず防蟻処理をしなければいけませんが、この薬剤は10年しか効果が持続しないからです。
具体的には土壌処理、床下の木部への薬剤塗布、床下への散布などです。白蟻は外で巣をつくりじわじわと建物に迫ってくるケースが多いため、特に適切な土壌処理は有効です。
紫外線から家を守る

紫外線による劣化から家を守らなければいけません。
雨風から家を守っている外装材が劣化すると雨漏りや強度低下の原因になるからです。
紫外線による劣化対策が必要なのは以下の部材です。
- 屋根
- 外壁
- 軒まわり
- シーリング
屋根
屋根は最も劣化対策が必要な部材です。
屋根は日差しと雨が最も当たる場所だからです。屋根材が劣化すると、屋根材の下のルーフィング層も劣化がはじまります。ルーフィング層は屋根防水の命ともいえる大切な層です。
耐久性が高い陶器瓦に比べて、スレートや金属屋根は注意が必要です。スレートは劣化が少ない無機系塗装材を使用しましょう。金属屋根はガルバリウム鋼板やSGL鋼板がおすすめです。
屋根は補修費用も高額になるため、なるべく高耐久の部材を最初から選択しましょう。
外壁
外壁の耐久性は屋根同様にとても大事です。
外壁は外装部材の中で面積が最も多いからです。強い外壁にすることで家自体の耐久性が上がると言っても過言ではありません。
サイディング外壁はコーキング部分が弱点になります。モルタル塗りの外壁の場合、モルタル層は高耐久ですが、施工精度によってはひび割れが出やすいので注意が必要です。
耐久性やメンテナンスコストを考えると、塗り直しや拭き直しをする必要がないタイルが最もおすすめです。外壁もメンテナンスにかなりのコストがかかるので、点検や補修が必要な内容やタイミングを把握しておきましょう。
軒まわり
軒まわりの部材にも注意が必要です。
軒まわりは破風、鼻隠し、軒天、板金などの部材が複雑に組み合わさっているからです。部材自体の劣化や継ぎ目部分などは定期的な点検や補修を行いましょう。
シーリング
シーリングは劣化が激しい部材です。
シーリングは樹脂製の材料だからです。外壁材が高耐久でも、継ぎ目のシーリング材から雨水が侵入するケースも多くあります。
建築コストを抑えるためにサイディング外壁にすることはよくありますが、このときシーリングは広範囲で出てくるので注意しましょう。
水害から家を守る

平地に家を建てるときは水害対策が必要です。
具体的には以下のようなことに注意をしましょう。
- 地盤の高さ
- 過去の水害
- 丘陵地は土砂崩れに注意
地盤の高さ
地盤の高さを考慮しましょう。
少しでも土地全体の高さを上げた方が浸水の被害を軽減することができるからです。
現況地盤から20センチくらいまでなら極端なコストアップにはなりません。むしろ残土処理の費用などが少なくなり、建築費用が下がるケースもあります。
ただし、地盤を上げることで境界ブロックをやり替える必要があるときは大幅なコストアップになります。外構計画もあわせて確認しましょう。
過去の水害
周辺における過去の水害の被害状況をチェックしましょう。
過去の水害状況をチェックすることで、具体的な地盤高さや水害のリスクを想定できるからです。
周辺住民の方に直接聞いたり、行政が発表しているハザードマップを見たりして情報収集
しましょう。ハザードマップは過去の水害に加えて河川氾濫時の予想被害も確認ができます。
昨今は毎年水害のニュースが流れます。平地に家を建てるなら水害の検討は必須です。
丘陵地は土砂崩れに注意
小高い丘の上なら安心かと言うと、そうではありません。
丘陵地は土砂崩れの可能性があるからです。
特に以下のような山は注意が必要です。
- 急な角度の斜面
- 植栽を伐採した森
- 土質が真砂土
- 盛り土造成
土砂崩れについては建築で対策のしようがないので、危険なところに建てることを避けるしかありません。
家の中のメンテナンス

外装材ほどではありませんが、内装材もメンテナンスに手間と費用が必要です。
具体的には以下のようなメンテナンスがあります。
- 床のメンテナンス
- 壁・天井のメンテナンス
- 設備のメンテナンス
床のメンテナンス
内装材で最もメンテナンスが必要なのは床材です。
床材が日常生活で最も影響を受けやすい場所だからです。摩擦やすり傷、こぼした水などで木は傷みます。
ほとんどの床材はワックスで保護されているため、定期的なワックス掛けが必要です。オイル仕上げの床材はオイルを塗り込む必要があるため、メンテナンスにとても手間がかかります。
メンテナンスを怠ると傷みが激しくなります。メンテナンスは欠かさずに床材を長持ちさせましょう。
壁・天井のメンテナンス
壁・天井のメンテナンスはとても大掛かりな工事になります。
壁・天井は面積がとても大きいからです。
壁紙は年々継ぎ目が開いたり、コーキングの部分が細くなりすき間が目立ったりすることがあります。10年くらい経つと端部がはがれることもあるため、補修が必要です。
そのほか漆喰などの塗り壁はポロポロと落ちることがあるので掃除が必要です。また、細かいひび割れは必ず出てくるので亀裂部分の補修が必要になります。
設備のメンテナンス
設備部材もメンテナンスが必要です。
水まわりは汚れや劣化が激しいからです。
メラミンなどの材質でつくられたキッチンや洗面化粧台などのキャビネットは15年ほどが一般的な耐用年数です。また、パッキンなどの消耗部材の取り替え、水栓まわりの劣化、浄水器カートリッジの交換などもしなければいけません。
設備部材は陶器やステンレスなどの長持ちする部材をなるべく使用し、適切なメンテナンスをすることで寿命を延ばすことができます。
まとめ
家を長持ちさせるためには以下のようなことが必要です。
- 地震に強い家をつくる
- 雨漏りしにくい家をつくる
- 室内と壁体内の風通しを考慮する
- 白蟻対策をおこなう
- 日差しを遮り、紫外線を防ぐ
- 水害対策をおこなう
- 必要なメンテナンスを怠らない
初期の建築費用だけにとらわれると、メンテナンスに余計なお金がかかることも。
長く住める家を建てるために、住んだ後のことも考えて計画を行いましょう。