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建築コラム

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家を守る

2022.12.12

こんな土地は要注意!後悔しない土地選びのために大切なこと7つ

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この記事では土地選びのために大切な注意点を解説します。


土地を選ぶとき、立地や価格に加え、思い通りの家を計画することができるかどうか検討する必要があります。そのなかで重要なのが、一見ではわからない土地の特徴を把握することです。


立地、価格、面積などのわかりやすい特徴に比べて、必要な付帯工事や建築制限は建築関係者じゃないとわからないからです。


「建物以外に必要な工事が思った以上に多く予算が合わなくなった」

「そもそも希望していた建物の計画ができないことがわかった」


と後から後悔しないように注意しましょう。

具体的には以下の7つについて確認が必要です。


  • ライフラインは大丈夫? 
  • 地盤は大丈夫? 
  • 既存擁壁は大丈夫?
  • 擁壁を新設する必要は?
  • 法規制は大丈夫?
  • 日当たりは大丈夫? 
  • 水はけは大丈夫? 

順番に説明します。


ライフラインは大丈夫?


ライフラインとは、生活に必要な水道や電気などのことです。その土地に必要なライフラインは確保されているか、ない場合は確保するのにどれだけの費用がかかるか確かめましょう。


事前に確かめておかないと、工事に多額の費用が必要なことがあとからわかった、という事態になる可能性があります。土地価格が安くても、ライフラインを整えるのに多額の費用がかかっては意味がありません。


具体的には、水道、ガス、電気、排水などをチェックする必要があります。既存の設備があってもそれをそのまま使えないこともあります。事前に建築士などの専門家に見てもらう必要があります。


よく問題になるのは以下3つのケースです。


水道はどこまできているか


土地に水道の引き込みがない場合、前面の道路に水道管が入っているかを確認しましょう。


前面の道路に水道管があれば道路を掘って水道を引くことができますが、そうでなければかなりの広範囲にわたって道路工事等を行わなければ水道を引けない可能性があります。


少し道路を掘って水道工事をするくらいなら数十万円で済みますが、工事範囲が広いと材料費も施工費もかかります。井戸水を利用する場合も同様に大きな金額がかかります。


特に、以前田んぼや畑で使用していた土地などは要注意です。水道の引き込みは真っ先に確認しましょう。

排水は大丈夫か


雨水と汚水をどこに流すかを確認しましょう。


排水設備がない場合、水道と同様に道路工事等が必要なケースがあります。また、既存の設備がある場合も排水勾配の確認が必要です。


排水勾配とは排水先に向かって斜めに傾けて流す勾配のことです。これによって地盤の高さを変えたり、水回りの位置を変えたりする必要があります。計画次第では外構の費用が変わることも多々あるため注意が必要です。


排水はより高度な建築知識が必要になります。早い段階で確認し、必要な費用や対策を明らかにしましょう。


電気は引き込めるか


土地の周辺に電柱・電線があるかどうかをチェックしましょう。


土地の周辺に電柱がない場合、電柱を新設しなければ電気を引き込むことができません。


電力会社の負担で工事をしてくれることもありますが、自己負担が必要なケースもあります。また、建物や駐車場を計画している位置に電柱をたてないといけないときはプラン自体を見直さなければいけないかもしれません。

地盤は大丈夫?


地盤の安全性を確認しましょう。


地盤が軟らかい場合は地盤改良工事が必要になるからです。地盤改良工事は数百万円の費用がかかることもあるため、早い段階で要否を確認する必要があります。


地耐力調査で地盤の硬軟を確かめるほか、盛り土造成の有無を確認しましょう。人工的に土を盛って造られた宅地は土が締まっていないケースがほとんどです。


そのほか以下のようなことに注意すると地盤のことがわかります。

地名を確認


意外かもしれませんが、地名で地盤に関する情報を推測することができます。


地名にはその土地の状況を直接的に表しているケースがあります。「沼」がつく地名は沼地だったことが多く、「川」や「河」がつく地名は河川が近いことが多いです。もちろん例外もありますが、これらの地名は地盤が緩い可能性を疑ったほうがよいでしょう。


ほかにも海や水に関係する、浜、港、岸、瀬、波、池などにも注意が必要です。

それとは反対に、山、丘、台、森などの地名は高台で良好な地盤である場合が多いです。


地形を確認


地形によって地盤の良否は分かれます。


丘の上や高地は軟弱な地層の堆積が少ないことが予想できるため、良好な地盤である可能性が高いです。


それとは逆に、土砂くずれや河川の氾濫で地盤が堆積する恐れのある山のふもと、三角州、河川沿い、海沿いなどは軟弱地盤である可能性があります。


周辺の建物や道路を確認 


周辺建物や道路を確認すると地盤の強さがわかることがあります。


軟弱地盤は地盤の沈下により、建物の外壁や道路舗装の表面に亀裂が入ることが多いからです。そのほか、ブロック塀の傾きなどもわかりやすい指標になります。


古い建物や塀に亀裂が入るのはそこまで珍しいことではないですが、比較的築年数の浅い構造物に異常がある場合は地盤に問題がある可能性があります。


既存擁壁は大丈夫?


土を支えている塀を擁壁といいます。擁壁はコンクリートや石、ブロックなどで造られていることが多いです。


既存の擁壁がある場合、その擁壁をそのまま使用できるか確認しましょう。


擁壁をやり替えるのはとても費用がかかるからです。道路や隣地との高低差にもよりますが、数百万円の金額がかかることも珍しくありません。


また、大がかりな工事になると行政まで届け出をしなければいけないケースもあります。そうすると申請の認可まで日数を要したり、構造に指定が入ったりすることもあるため工期や費用が余計にかかります。


具体的には以下のようなことに注意しましょう。

傷み具合はどうか


擁壁が傷んでいないかチェックしましょう。


擁壁は大きな土の圧力を受けているため、傷んでいたら非常に危険です。建物の荷重が加わる際は特に注意しなければいけません。


具体的に注意するのはひび割れと傾きです。


ひび割れがあるとそこから雨水が中に入り込み、鉄筋を腐食させてしまいます。錆びた鉄筋は大きくはらむため、コンクリートやブロックにさらに大きな亀裂が入り、擁壁の強度が低下します。

また、傾きがはじまっている擁壁はすでに土の重みを支えられていません。そのまま荷重が加わり続けるとどんどん傾きが大きくなり、倒壊してしまう危険性があります。


ひび割れと傾きは専門家でなくてもわかるので、最低限チェックしましょう。

違法ではないか


すでにある擁壁でも違法であることがあります。


建築基準法をはじめ各法令が改正を続けていることと、昔は今ほど法律の審査が厳しくなかったことが要因です。状態が良くてもそのままでは使用できないケースも珍しくありません。


違法の擁壁で代表的なのが「二段擁壁」です。これは二種類の擁壁が重なって擁壁の形状をなしているもので、コンクリート擁壁や間知ブロックの上にブロック塀を積んでいるものがほとんどです。


ほかにも一見なんの問題もないようなものでも不適合のものはたくさんあるので、建築士に相談が必要です。



擁壁を新設する必要は? 


擁壁を新設する必要があるかどうか検討しましょう。


擁壁は基礎から造るため、かなりの費用がかかります。擁壁の有無で外構費用の予算組みが大きく変わります。


擁壁の要否を判断するときに注意する点は以下の二点です。


道路高低差を確認


道路の高低差を確認しましょう。


道路よりも建築地の方が高いことが一般的ですが、土が道路側にこぼれないように土留めが必要です。高低差が大きいほど、また施工する長さが長いほど費用が高くなります。


場合によっては斜面で仕上げるという方法もあります。そのときは土が流れ落ちないように芝生貼りや舗装の必要がありますが、このときある程度のスペースが必要なため可否はプランによります。


外構計画を含めて間取りを計画する必要があります。


地盤面を確認


地盤面の高さを確認しましょう。


道路からの高低差があまりなくても、地盤面を上げて建築する必要があれば土留めの擁壁が必要になるからです。


地盤面を上げる必要があるのは水害対策、排水勾配などが考えられます。


法規制は大丈夫? 


法規制を確認しましょう。


法規制によって設けられた制限により、建築の計画に影響が出てくるからです。


法規制をチェックしていなければ、

「面積制限があるため想定より小さい建物しか建てられなかった」

「高さ制限があるため理想の屋根の形にできなかった」

というような事態になってしまいます。


具体的に注意が必要なのは以下の5点です。


面積の制限


面積の制限に注意しましょう。専門用語では建ぺい率と容積率といいます。


建ぺい率は敷地面積に対して建物がどれだけの面積を占めることができるかの制限です。階数は関係なく、上から見た時の建物面積の割合で判断されます。一般的には住宅地で50〜60%ほどが多く、状況によって緩和もあります。


容積率は敷地面積に対する床面積の制限です。建ぺい率とは違い、全階の合計の面積で計算します。住宅地では100〜200%が多く、道路幅によって制限値が変動することもあります。


これらの面積制限には外部のカーポートや倉庫も含まれるので注意しましょう。

また、一般的な住宅地よりももっと制限が厳しい「風致地区」という地域もあります。

高さの制限 


ほとんどの土地には高さの制限があるため、屋根や外壁がこの制限ラインにあたらないように設計しなければいけません。注意が必要なのは、北側斜線と道路斜線です。


北側斜線は北側隣地からの斜線制限です。北側隣家の日当たりが悪くならないように設けられています。二階建て以上の建物を建てるときは建物の離れ寸法や屋根形状の工夫が必要です。


道路斜線は道路向かいの道路境界線からの斜線制限です。建物が道路に迫りすぎないことを目的としています。道路に向かって高くなる屋根形状は道路斜線に抵触する可能性が高いので、片流れ形状の屋根を計画するときは特に注意しましょう。


これらの斜線制限の緩和措置として天空率緩和があります。空が見える割合を計算して斜線制限を緩和するというもので、斜線制限に抵触していても建築の認可を受けることができます。

ほかにも隣地斜線という制限もありますが、これは住宅ではほとんど関係がないので考慮する必要はありません。

個別の協定


地域ごとに個別の協定がある場合があります。


団地で自由にルールを決めることが可能で、面積、高さのほかにも、緑地協定や塀やフェンスの指定などが可能です。建物の階数を指定することで、全宅地の日当たりに配慮していることもあります。


建築協定として行政に届ければ、図面を添えて協定の申請をしなければ確認申請が通らないようにすることもできますし、自主協定として独自に審査を行う場合もあります。

都市計画 


都市計画は道路や公園など、行政主体の工事の計画です。


都市計画地域は都市計画の予定が定められているため、いざ計画が始まるときには立ち退く必要があります。そのため、長期優良住宅の認定を受けることができません。


保護地区


保護地区で代表的なのは埋蔵文化財です。


過去に遺跡が発掘されたエリアや歴史的な建造物があるエリアは指定されていることがあります。


建築前に申請書の提出や建築前に試掘が必要になります。工事中になにか出土した場合は工事をストップしなければいけません。


日当たりは大丈夫? 


日当たりが問題ないか確認しましょう。


光熱費の高騰や環境破壊が問題視されている今、省エネ住宅をつくることがとても重要になっているからです。


日当たりを確保することで冬場の暖房や照明にかかる電気代を節約することができます。また、単純に日当たりの良い居室のほうが快適です。


日当たりは南側の隣家の影響を大きく受けます。

南側の建物をチェック


南側の建物をチェックしましょう。


南側の建物の影が日当たりの妨げになるからです。


建物の離れ寸法や高さ、屋根の形状などを分析すると、どれくらい南側を空けたら日当たりが確保できるかがわかります。

建て替えの可能性も考慮しよう


南側の建物が建て替えになる可能性も考慮しましょう。


新しい建物ならすぐに建て替えになる可能性は低いですが、古い建物なら近い将来建て替えになる可能性があります。


たとえ平屋でも、将来二階建てになる可能性も考慮しておく必要があります。南側の建物が古い場合は、最悪を想定してプランをつくった方がよいでしょう。

用地地域を確認


用途地域によってどんな建物が建てられるかが決まっています。


低層の住居専用地域なら大きな建物や住宅以外の建物が建つ心配はないですが、工業地域や商業地域ならどのような建物でも建つ可能性があります。


3〜4階建てのビルが建てば、どれだけ工夫をしても日当たりは望めません。用途地域を確認して、「建つかもしれない建物」を確認しましょう。


水はけは大丈夫?


土地の水はけを確認しましょう。


土壌によっては水はけが悪く、水たまりが残りやすい地域もあります。また、道路側の排水設備が不十分だと道路が冠水しやすいです。


水はけが悪いと衛生面も不安が残ります。日当たりの悪い場所はコケやカビが生えやすく、外壁も汚れやすいからです。


水はけをチェックするためには以下のことに注意が必要です。


雨の日に現地を見る


土地の視察は雨の日に行いましょう。


どれだけ水たまりが残りやすいか、排水設備が十分に働いているかがよくわかります。周辺の建物の状況を確認したり、地域の方に直接話を聞くのもおすすめです。


雨の日は水はけ以外にも土地のデメリットが見つかりやすいです。晴天では気づかなかった発見もあるかもしれません。

過去の水害の被害状況を確認


過去の水害の被害状況を確認しましょう。


これも周辺住民に聞くと良いですが、行政が発表しているハザードマップ等でも確認が可能です。

まとめ


土地を選ぶ際、買ったあとに後悔しないためには以下の7つを確かめましょう。


  • ライフラインを確保するためのコスト
  • 地盤の強さを確保するためのコスト
  • 既存擁壁はそのまま活かせるか
  • 擁壁の新設等でかかるコスト
  • 法制限で計画に影響はないか
  • 日当たりを確保できるか
  • 水はけは良いか

いずれも専門的な知識が必要なため、土地を探している人こそ専門家への早めの相談が必要です。

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