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建築コラム

To the ideal life

2022.12.12

家づくりのための事前準備!建築士が施主にお願いしたい「準備しておいてほしいこと」6つ

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家づくりには事前の準備が必要です。


なぜなら、ほとんどの人は自分たちの生活のことや要望を把握していないからです。どのような間取りが自分たちに最適かを判断するには、まず自分たちの現状の生活や理想の姿を知る必要があります。


具体的には以下のような情報や要望が必要です。


  • 今使っている収納の量
  • 理想の家の写真
  • 広さ感覚
  • 今の家の間取り図を用意
  • お手持ちの家具家電のこと
  • 購入予定の家具家電のこと

これらは間取りをつくるときにとても重要な情報で、建築士が聞きたい内容です。


これらを事前に調べておくことで的確に希望を伝えることができ、打ち合わせをスムーズに進めることができます。


以下にて詳しく解説します。

今使っている収納の量


今使っている収納の量を調べましょう。


これを把握することで必要な収納量がわかるからです。図面を見ながら収納量が足りているか足りないかを判断するのは難しいですが、今使っている収納量と比較すれば検討は簡単です。


そして今の収納量で足りないのか、十分なのかをあわせて考えましょう。


具体的に調べる必要があるのは以下の3点です。

  • 洋服
  • 食器棚
  • 本棚

洋服 


洋服の収納量を調べましょう。測るのはハンガーパイプの長さです。


洋服はそのほとんどをハンガーにかけて収納するからです。ハンガーパイプにかけるとたたむ手間を省くことができ、しわがつく心配も少なくなります。


ハンガーパイプの長さが確保できないときは190センチほどの高さで設置して下段も使用しましょう。あとは必要な分だけロングコートや引き出し収納のスペースを取れば無駄なく収納できます。


全ての洋服をうまく収納できれば衣替えをする手間も省けます。極力1か所に収納できるようにクローゼットを計画しましょう。

食器棚


食器棚は収納量と家電を置くカウンターの長さを考えます。


食器の収納量と家電のスペースはどちらが足りなくても使い辛いキッチンになります。物があふれやすいキッチンをすっきりさせるためにはこの二つのバランスが重要です。


収納はどこに何を収納するかをあらかじめ考えておきましょう。たとえば吊戸の下の段は大皿の収納に便利ですし、引き出しはタッパーの収納などに便利です。カタログに収納例がのっているため参考にするとイメージしやすいです。

また、家電スペースは幅だけでなく、奥行きと高さまで測りましょう。電子レンジなどの大きな家電は機種によっては納まらないことがあります。

本棚


本棚の収納量を確認しておきましょう。


本を多く持っていない家庭でも、機器の説明書や契約書など、書類を保管しておく本棚はある程度必要です。子育て世代なら絵本の収納場所もあったら便利でしょう。


本棚は分散配置でも問題ありません。書類の収納はリビングにあると便利ですし、本や漫画の収納なら寝室でも廊下でも使い勝手に問題はないはずです。

ほこり掃除が大変なので、できれば本棚は扉付きで計画しましょう。

理想の家の写真


理想の家の写真を用意しておきましょう。


SNSなどで探してみるとわかりますが、意外と自分の好みを絞ることは難しいです。どの写真も素敵に撮られていて良く見えるからです。


好みのイメージによって、間取りや土地の使い方が変わります。つまり早めにイメージを決めておかないと何度提案を受けても間取りが決まらない可能性もあります。


しっかりと自分の好みを把握し、設計士に要望を伝えましょう。

外観のイメージ


好みの外観を探しましょう。


外観は家の形や屋根の形に左右されます。また、窓の大きさや形状は土地の方角によって使い分けるので、土地次第でつくりやすい外観とつくりにくい外観に分かれます。

外観によって家の計画自体が大きく変わることがわかります。


たとえば、和風の外観は一階部分が大きくないとうまくつくれません。総二階の間取りで無理やり和風にしようとするとミスマッチが生じます。


建物の形や予算を明確にするうえでも外観のイメージは重要になります。

内観のイメージ


インテリアは外観以上に悩むことが多いです。


インテリアはどのような間取りでも好みに合わせて空間をつくりこむことができるからです。「こういう間取りじゃないとこのイメージにはできない」という縛りがほとんどありません。


床、壁、天井の造作や素材でインテリアの大まかなイメージが決まります。そのほか、照明、カーテン、家具などで好みのテイストをプラスしていくことができます。


インテリアは決める項目も非常に多いため、好みのイメージがとても重要になります。


広さ感覚


広さ感覚を身につけておくことは非常に重要です。


なぜなら広さ感覚は人それぞれ違うからです。20帖のLDKを広いと感じる人もいれば狭いと感じる人もいます。プロの設計士でも個人がもつ感覚まではわかりません。


必要な広さによって当然間取りも変わります。場合によっては、部屋数を減らしてでも部屋の広さを確保する必要があるかもしれません。


的確な優先順位をつけるためにも広さ感覚を身につけることは重要です。そのためには「実際の家を見る」ということが最も効果的です。


実際の家を見る


実際の家を見ると正しい広さ感覚が身につきます。


そのときに感じた感情をそのまま間取りに反映できるからです。図面を見ても、写真を見ても、3D画像を見ても、広さは実際に見てみないとわかりません。


まだ物が入っていない完成物件よりも、家具や物が入っている入居物件の方が参考になります。家具等がないと実際よりも広く見えるからです。

また、モデルハウスは過度に大きかったり装飾が多すぎたりするため参考にならないことが多いです。


実際の家の見学して広さ感覚を確かめましょう。

「何帖ほしい」と「何帖で十分」をチェック


広さを確かめたら「何帖ほしい」という部屋と「何帖分で十分」という部屋に分けましょう。


部屋は広いに越したことはありませんが、全て広くすると計画をまとめるのが難しくなるからです。全体の床面積が大きくなりすぎると、建築費用があわなくなったり、そもそも土地に入らなかったりするケースもあります。


たとえば、「LDKも和室も広くほしい」よりも「LDKを広くする代わりに和室は狭くて良い」のほうが間取りはつくりやすいです。反対に言うと、和室を狭くした分だけLDKを広くできるという状況も多々あるでしょう。


広さを確かめた後は、優先順位をつけることが重要です。

今の家の間取り図を用意


今住んでいる家の間取り図を用意しましょう。


そうすると検討している間取り図と今住んでいる家の間取り図を比較することができます。


図面で説明を受けるより、「現状のお住まいの広さと同じです」と言われた方がはるかにわかりやすいです。あるいは、今の家と比べて何センチ広い、狭いということも自宅ですぐに確かめることができます。


現状の間取り図を使えば体が覚えた生活の感覚を、新しい間取りに活かすことができます。


実家の図面も有効


実家の図面を使用するのも有効です。


実家も現状の住まい同様に体が覚えた生活の感覚があるからです。「実家と同じ洗面所の広さなら大丈夫」「実家と同じトイレの広さは不便なので改善したい」といった判断が容易にできるはずです。

今の生活スタイルを伝える


図面をもとに現状の生活を確認しましょう。


図面のうえで生活を振り返ることで、新築の間取りでの生活も想像しやすくなるからです。


現状はここで洗濯をして、ここで干して、ここで畳んで…

と確認しているうちに、動線や収納計画の要望が出てくることもあります。

お手持ちの家具家電のこと


そのまま使用する予定の家具や家電の情報を把握しておきましょう。


設計段階で家具や家電のサイズがわかれば、配置に合わせて壁の位置や窓の位置を調整することができるからです。


サイズだけでなく、電源の位置や種類も関係します。たとえばテーブルのサイズは照明位置に関係がありますし、コンセント付きのベッドは電源位置にコンセントを設けなければいけません。


具体的には以下のようなものについて検討が必要です。

家具


家具はサイズを測っておきましょう。

幅×奥行き×高さが必要です。


具体的には、

  • ソファ
  • テーブル
  • 椅子
  • テレビ台
  • ベッド
  • 学習机
  • タンス
  • 本棚
  • 座卓

などがあげられます。電源があるものは電源の位置も確かめておきましょう。


大物家電


大物家電も家具と同じように幅×奥行き×高さが必要です。

  • 洗濯機
  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ
  • 冷凍庫
  • テレビ

などがあげられます。


電源の位置や電源の種類などに指定があるものもあるため、品番も控えておきましょう。

エアコン


手持ちのエアコンがある場合は品番を控えておきましょう。

エアコンには容量があるため、どの部屋で使用するかも決めておくと良いです。


エアコンは着脱で傷むため、いざ移設したら使用できなくなったということもよくあります。数年ならまだしも、購入後10年以上経っているエアコンはいつ故障してもおかしくありません。


場合によっては移設費用を払うよりも新規で購入したほうが良い可能性もあります。

ピアノ


ピアノを置く場合は配置だけでなく、搬入経路や床補強も考える必要があります。


搬入経路はピアノ搬入の専門業者や引っ越し業者に確認を取る必要があります。搬入する玄関ドアや窓のサイズ、通り抜ける廊下や階段の幅、クレーンを使用するなら周辺の電線や軒が干渉しないかを確かめなければいけません。


床補強を設けないとピアノの荷重で梁や床材がたわむ恐れがあります。アップライトピアノの重さが約250キロなのに対し、床補強をしない通常の床荷重の基準は1平米当たり180キロの重さに耐えられることです。畳一帖分のスペースにピアノを置く場合、1.65平米なので耐荷重は約300キロ。これに人の体重が加わるとギリギリになってしまいます。


ピアノの配置を決めて、搬入経路と床補強を検討しましょう。

写真も撮っておこう


手持ちの家具は写真も撮っておきましょう。


手持ち家具の色合いなどを確かめながら内装材を決めることができるからです。


たとえば、カーテンや壁紙などは家具との調和がとても大事です。


サイズと写真をエクセルなどでまとめておくと確認しやすいのでおすすめです。


購入予定の家具家電のこと


購入の予定がある家具や家電についてもサイズを調べておきましょう。


最初の段階で検討しておけばいざ購入して置くときも安心です。照明やコンセントなどの電気設備も家具や家電に合わせて計画することができます。


特に大きいサイズの家具家電には注意が必要です。

ソファ、テーブル、ベッドは特に注意


ソファ、ダイニングテーブル、ベッドはサイズが大きいので特に注意が必要です。


ソファは横幅を慎重に検討しましょう。問題なく置けても通路が狭くなったらリビングが狭く見えるためバランスが大事です。最低でも90センチは通路が残るようにサイズ選定する必要があります。


ダイニングテーブルは大きければ良いという問題ではありません。テーブルが大きすぎると椅子と椅子が離れて、食事のときにお皿に手が届き辛いなどの問題が起こることもあります。必要なサイズを確保したら、あとはソファ同様通路スペースを広くとることが重要です。


ベッドは寝室にすき間なく配置するとシーツ替えや掃除のときに不便です。ベッドの両サイドに50センチほどのすき間を空けることを想定してサイズ選びをしましょう。

また、子どもの成長に合わせてベッドの配置を換えることも考えておく必要があります。

家電量販店をチェック


なるべく早めに家電量販店に行き、購入する家電をチェックしましょう。


テレビ、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどは設置スペースやコンセント位置などに影響します。


また、ロボット掃除機をはじめとする充電式の掃除機は充電スペースも考える必要があります。どのような家電を置くかわかっていれば、専用のスペースやコンセントを設けることができます。

まとめ


理想の家づくりをするためには事前の準備が重要です。

具体的に必要なのは以下の6つです。


  • 今使っている収納の量を把握する
  • 理想の家の写真を探す
  • 広さ感覚をつかんでおく
  • 今の家の間取り図を用意する
  • 手持ちの家具家電の寸法や写真を用意する
  • 購入予定の家具家電を決める

事前の準備をしていれば自分たちの要望を的確に設計士に伝えることができ、スムーズに計画を進めることができます。

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