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建築コラム

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費用

2022.12.27

家づくりの費用を抑えるポイント5つ。安くて良い家を作る方法とは?

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理想の家を建てたいけど、建築費用は安く抑えたいですよね?家はほとんどの人にとって人生で最も大きな買いもので、ローンを組んで何十年もかけて返済します。それだけに先々の不安を抱えながらの計画になる人も少なくないはず。無駄な費用は少しでも削って計画したいものです。


家の費用を抑えるのにはいくつかのポイントがあります。

  1. 家の面積を小さくする
  2. オーバースペックを見直す
  3. 階高を小さくする
  4. シンプルな構造にする
  5. 無駄なサッシと建具をなくす

この5つです。これらを実現して無駄なコストを抑えるためには、専門知識をもった建築士との入念な打合せが重要になります。それでは順番に解説します。


家の面積を小さくする


家の金額で最も大きなウェイトを占めるのが家の面積です。基礎、外壁、床材、屋根などの数量は家の面積に合わせて増加するからです。もちろん計画によって坪単価が異なりますが、どのような家でも面積を小さくすれば金額も大きく減ることは間違いありません。何坪で計画するか、という大枠を誤ると思い通りの予算にならず、理想の設備や家具が買えなくなる可能性もあるので注意が必要です。


ではどのようなところに注目すれば面積を抑えることができるのでしょうか。


減らせる廊下が無いか


減らせる廊下がないかをチェックしましょう。面積を減らすといってもリビングなどの居室空間や収納を減らすのは嫌ですよね。でも廊下だったらどうでしょうか。ただの通路が無くなるのはそこまで問題にはならないと思います。


また、廊下が無くなると部屋が使いやすくなります。廊下は居室に比べると狭くて暗いからです。そそのうえ冬は寒く、大きな物は運びにくく、掃除の手間はかかります。


さらに廊下がなくなることで壁や建具が減ります。面積が減って建築費用が下がるだけでなく、更なるコストダウンも期待できます。


無駄な部屋が無いか


必要と思っていたけど、よくよく考えたら要らないかもしれない部屋があります。


たとえば和室。当たり前のように設けている人もいるかもしれませんが、目的は何でしょうか?客間なら本当にそんなに来客があるかどうか疑う必要がありますし、子どもの遊び場なら3帖程度の畳コーナーでも十分かもしれません。いざというときに布団が敷けるようにという目的なら6帖や8帖は必要ないかもしれません。


次に書斎です。書斎は他の部屋で代用できないでしょうか。当分は子ども部屋は予備部屋です。子どもが大きくなるまで子ども部屋を使って、その後は寝室に机を移動するのもありではないでしょうか。2帖~3帖の書斎をなんとか取ったけど、6帖の部屋が空いているというのは少し勿体ないですよね。


最後にシューズクローク。玄関とシューズクロークに2つの通路ができていることに気付いていますか?人が通るだけの通路は少ない方が面積は節約できます。広い玄関に比べて、廊下ほどの幅のシューズクロークは使われないことだってあります。

オーバースペックを見直す


家は形が同じでも、使っている部材や性能値によって費用が大きく変わります。部材自体の費用や施工費用が大きく異なるためです。特に構成割合の大きい、柱・梁、外壁、サッシなどの構造材、外装材は建築費用に大きく影響します。必要以上のスペックは無駄なコストです。


柱・梁


柱や梁は家の中で何十本も使用されます。たとえば木造の場合、一本当たりの単価が樹種によって1.5~2倍違うこともあります。当然樹種によって強度や耐久性が変わっていますが、JAS(日本農林規格)やJIS(日本産業規格)の認定を受けた構造材は一定の性能は確保できています。材料を変更するだけで大きく金額が変わるかもしれません。


外壁


外壁は最も施工面積が大きく、最も施工費用がかかっている外装部材です。そのため、種類の変更や材料の変更で大きく建築費用が変わる可能性があります。特に前面道路から見えない場所などはコストダウンするのもあり。ただし、先々のメンテナンス方法が箇所ごとに変わる場合は将来的に余分な費用がかかる可能性もあるので注意が必要です。


サッシ


サッシの性能は飛躍的に向上しています。ペアガラスになり、Low₌Eガラスになり、中空層には断熱性の高いアルゴンガスやクリプトンガスが封入されているものもあります。でも、窓ガラスの性能と同じくらい窓ガラスの設計も重要です。どれだけ断熱性の高い窓ガラスでも、熱は窓ガラスから逃げます。つまり、余計な窓は計画しないことが最も重要です。必要以上に窓を設けなければそこまで断熱性能の高いガラスにしなくても建物の断熱性能が損なわれることはありません。


階高を小さくする


階高とは建築物の高さのことです。屋根を支えている梁の高さを表し、階高次第で室内の天井高さや階段の段数などが決まってきます。階高の大きい家はそれだけ構造材や仕上げ面積が大きくなるため、階高を抑えることでコストも抑えることができます。


外壁面積を小さくできる


階高が小さい家は外壁面積を抑えることができます。仮に二階建て38坪の家で試算すると(9m×7mの総二階)、200mm階高を下げると6.4㎡の外壁面積が節約できます。費用にするとわずか数万円ですが、二階の天井の高さは少し低くても問題ないなら確実にコストダウンすべき場所です。影響のない範囲で階高を下げて、外壁面積を減らしましょう。


階段室を小さくできる


階高が小さいと階段の面積を節約できます。フロアごとの高さの差が大きい分だけ階段も多くなるためです。無理に階段の段数を抑えようとすると階段が急になるため危険です。家の中で最もケガをする可能性が高い場所は階段なので注意しましょう。床梁の高さを抑えるような間取りや躯体を現した天井のデザインを検討すれば、リビングの天井高さを確保した状態で計画することも可能です。階高を抑えて階段室を小さくすることができたら大きなコストダウンにつながります。


外観デザインや高さ制限に対して有利になる


階高を抑えることで外観デザインも向上します。階高を抑えることでサッシと軒の間が間延びせず、スッキリした見た目になるからです。デザインにこだわっていない家の外観はサッシと軒の間が間延びしています。その方が天井断熱材等の施工性が良いので、施工のしやすさだけを考えて階高を決めてしまっているためです。最適な階高を設計することでコスト面もデザイン面も向上します。


また、団地内に家を建てる際は北側斜線、道路斜線などの高さ制限があることが多いです。決められた高さ以内で建築を行う必要があるのですが、当然階高は低い方が高さ制限に対しては有利です。高さ制限に抵触すると不必要に北側を空けて敷地を無駄に使ってしまうことも。敷地を有効に使用するためにも階高を上げることは有効です。


シンプルな構造にする


建築物の構造はシンプルであればあるほど優秀だと言われます。その理由は強度を確保しやすく、建築費用も抑えることができるからです。家はこだわるほど形や構造は複雑になりがちです。いかに要望を満たしてシンプルに作るかが家づくりの重要なポイントになります。


柱や梁の費用を節約できる


シンプルな構造の建築物は柱や梁の本数や寸法を最小限にすることができます。複雑な形ほど、その形の強度を確保するためにたくさんの柱や大きな寸法の梁が必要となるからです。形はなるべく矩形、上階下階の壁の位置はなるべく同じが良いのですが、アパートやマンションは正にその形。収益化を目的としている賃貸住宅は効率を徹底的に追求しています。シンプルな構造は建築物の骨となる構造材の費用を大きく節約できます。


施工が楽。施工費用も抑えられる


構造材の本数が少ない建物は、材料費用だけでなく施工費用も抑えられます。柱や梁の一つ一つを現場で施工するので、当然数が少ない方が手間も省けるからです。限られた工期で職方も余裕をもって作業ができるので、施工精度の向上も期待できます。シンプルな構造にすることは建築費用だけでなく、現場サイドにもメリットが期待できます。


耐震性もアップ


シンプルな構造の建築物は耐震性も優れています。真四角の箱と複雑な形の箱は真四角の方が丈夫で安定しますよね。建築物もこれと全く同じです。また、少ない構造材でつくられた建築物の方が重量も軽いです。建築物が軽くなることで地震のときに働く力も小さくなるので地震に対して有利になります。地震に強い家をつくるためにも構造がシンプルであることは重要です。


無駄なサッシと建具をなくす


サッシや建具は思いの外金額が高いです。建物の面積や構造に比べたらそれほど大きな金額では無いですが、無駄な窓を2〜3箇所削るだけで10万円ほど金額は安くなります。面積や構造を考えて壁の位置を決めたら次はサッシと建具に注目しましょう。


西側の窓は無い方が良い


日本の気候において、西側の窓は小さくするか、思い切って無くした方がよい場合が多いです。西側に大きな窓があると夏の室内温度が上がりやすく、とても不快だからです。東側の窓にも同じことが言えます。ほぼカーテンが閉めっぱなしになる可能性も十分にあり得ます。理由がない限り、西側と東側の窓を極力少なくするように心がけましょう。


カーテン、シャッター費用も増加


無駄な窓はカーテンやシャッターの費用も余分にかかります。窓のコストとカーテン・シャッターのコストがかかった上に暑くて不快。本当に良いことがありません。費用をかけてまでつける理由があるのか考えましょう。


開口部が少ない方が使いやすい


サッシや建具が少ない方が使い勝手が向上する場合があります。壁面があった方が家具が置きやすかったり、絵画などを飾りやすいためです。壁が少なすぎると、住んだあとに棚を置くスペースがない、時計を掛ける壁がないなんていうこともしばしば。壁を残すためにもサッシや建具を必要最小限にする必要があります。


最初から造りこみ過ぎない


何にしても最初から造りこみ過ぎないことが重要です。最初から造りつけが多いと応用が効かず、調整が出来ないからです。たとえば部屋に洋服掛けがなくても、クローゼットを置くことはできます。しかし、造りつけのクローゼットが邪魔になったとき、壊すのは簡単ではありません。同じように、あるものの対処をどうにか考えるよりも、ないものを補てんする方が簡単なケースが多いです。


後から簡単にできることはとりあえずやめよう


後からできる簡単なことはとりあえずやめてみてはどうでしょうか。たとえば、

  • 部屋のクローゼット
  • 部屋の本棚
  • デスクカウンター
  • ウッドデッキ
  • カーポート
  • 家具の購入

など。一つ一つはそんなに大きな金額でなかったとしても、積み重なるとかなり大きな金額になっているはずです。


住んだ後で気づくことはたくさんある


計画段階では気づかず、住んでから気づくこともたくさんあります。引越しのときに服を整理したら意外と収納スペースに余裕が出たり、作業はカウンターよりもテーブルの方がやりやすかったり。住んだあとに造りつけにした工事が無駄だったと気づいてしまうことも珍しくありません。また、あとあと工事がし易いように壁の中や天井の中に下地を入れておくことなども重要です。あとでやっぱり必要となったときに工事が出来なかったり、やろうと思ったら予想以上の金額がかかることもあるからです。

可能なかぎり家具で対応しよう


計画はなるべく家具で対応ができないか検討しましょう。家具であれば後から自分で動かすことができますし、造りつけより安く抑えられるケースがほとんどだからです。地震のときに動いたり倒れたりしなくて安心、裏にホコリがたまらなくて掃除が楽というのが造りつけのメリットですが、安い、動かせる、つぶしが効く、不要になったら簡単に廃棄できるというのが家具のメリットです。造りつけが良い場所と家具でも問題ない場所はご自身のライフスタイルを考え、設計者に相談してみましょう。

まとめ:建築家と細かい打合せで無理のないコストダウンをしよう


ただ単に建築のコストを落とすのは難しくありません。小さく、シンプルに、性能を落とし、計画の密度を薄めていく、これで金額は下がります。でも安心感もデザインも捨てきれないですよね?満足度を保った状態で金額を減らすには入念な打合せとプロの提案が必須です。


顧客の要望に合わせて構法、材料から見直し、最適な提案ができるのが建築家と家づくりをするメリットです。過剰な提案や無駄なコストを削減して後悔のない家づくりをしたい方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

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