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建築コラム

To the ideal life

建築家のこと

2022.12.28

土地選びで重要なこと5つ。建築士と土地を探すべき理由とは?

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「良い土地がなかなか見つからない」

「この土地で良い家が建てられるかがわからない」


このようなお悩みをお持ちではないですか?


納得のいく家を建てるためには、土地選びはとても重要です。なぜなら土地は一度選んだら変えることができないからです。間取りや仕様は時間をかけて検討ができますが、駅から遠い、日当たりが悪いなどの土地の性質は変えることができません。どれだけ建築士が知恵をしぼっても解決できないことはたくさんあります。そのため、土地を選ぶ際にはどのような家を建てられるのか、どのような暮らしができるのかを想像する必要があります。


土地選びはそれだけ重要であるにも関わらず、ほとんどの場合は短期間で買うかどうかの検討をしなければいけません。良い土地ほど、買いたいという人が多いからです。でも何千万の買いものを短期間で判断するのは難しいですよね。そこで土地選びで特に重要なポイントを5つにまとめました。


後悔しない家づくりのために土地選びはとても重要です。土地を探したい方、土地を探しているけどうまくいっていない方は必見です。

土地は建築士と一緒に探そう


土地は不動産屋と一緒に探すものだと思っていませんか?これは半分正解で、半分間違いです。


確かに土地情報は不動産屋が持っています。しかし、その土地でどのような家が建てられるか、家を建てる際にどのような対策が必要かは建築士じゃないとわからないことが多いです。なぜなら、その土地で重要なことほど目には見えない技術的なことばかりだからです。


一見なんの問題もないような土地に見えて、希望する面積で家が建てられない、理想の屋根の形状ができない、住宅ローンが借りられないということもあります。パッと見た印象ももちろん重要ですが、それ以上に、地耐力、災害情報、法規制、周辺環境などを事細かに調査しなければいけません。それらを調査しないとどのような設計が必要なのかわからないからです。

地盤が弱い可能性がある


土地の地盤が強いか弱いかはとても重要です。地盤が弱かったら家を建てたあとに地盤自体が沈下してしまうからです。そうなることを防ぐために、地盤が柔らかい場合は地盤改良工事が必要です。土質や強度によって木杭、コンクリート杭、鋼製の杭などで建物を支えるのですが、これらの工事にはかなりの費用がかかります。


軟弱な地盤の層が表層の2〜3メートルの場合で80〜120万円ほど、3〜5メートルの場合で120〜160万円ほど、5〜7メートルの場合で160〜200万円ほどの費用がかかります。建物の面積や土質によって工法と費用は変わります。事前の確認が必須で、これによって予算の計画も大きく変わってきます。

地盤沈下に注意


地盤が沈んでしまうことを地盤沈下といいます。一見問題ないような固い土でも、建物の重みが加わるとゆっくりと地盤が押しつぶされ、建物が傾いていきます。一般的に粘土層に多く見られる現象で、丘陵地よりも平野部で発生することが多いです。平野部は坂がないので便利はよいのですが、地盤が弱い可能性が高いのがデメリット。特に、河川の横や三角州地帯の土地は、過去の水害で堆積した軟弱な地層がある可能性が高いです。

液状化に注意


液状化は地震で地盤が大きく揺れた際、地盤を構成する土や砂の粒子が動いて地表面が液状になってしまう現象です。排水桝等が隆起し、ひどいときには土地の原型が無くなってしまうこともあります。対策は非常に難しく、被害を軽減するような工事を行うことはできますがこれも地盤改良と同じくらい費用がかかります。砂質の地盤に含まれる水分が原因であることが多いため、埋め立て地は特に注意が必要です。


ちなみに、国土地理院のホームページでは周辺の液状化履歴を調べることができます。周辺で液状化の履歴があればリスクはある程度高いといえるでしょう。地形によって危険度も定められているため、事前にチェックしてみましょう。

盛土は危険


人工的に土を盛ること盛土といい、元々の土地を削ることを切土といいます。盛土は転圧しても十分に固まっていないことが多く、地盤沈下の原因になるため非常に危険です。造成地などは必ず造成計画図があるため、盛土なのか切土なのかを確かめましょう。盛土の場合、数か月の適切な放置期間をおかないと家が建てられない可能性もあります。


また、単に造成計画図だけではわからないこともあります。工事の内容によっては一度掘った土をまた埋めることもあります。この場合、元の地盤面からは高さが変わらないため、図面上では盛土とはならないですが、実質盛土と同じ強度になります。この判断は造成工事の段取りまで理解している建築士しかできません。


実際に全国で発生している地盤沈下の原因のほとんどは盛土部分が原因です。傾斜地を造成して造った住宅地などは特に注意が必要です。

表土の材質


もともと畑や田んぼだった土地は表土が耕土です。耕土は空気や水分を多く含み、作物を育てるには適した土質ですが、建築物の土壌としては適していないため撤去が必要です。この土の入れ替えにも大きな費用がかかります。


例えば200㎡の土地で表層の30センチの土を撤去するとなると、60㎥の土の廃棄費用が必要です。そしてその分新しい土を入れる必要があるためダブルで金額がかかります。

水害に強い土地かどうか


近年は毎年水害のニュースを見るようになりました。災害に強い家をつくるとき、強度を増して地震に強い家を作るとともに水害についても考える必要があります。災害から完全に逃れることはできないため、災害の被害を少しでも抑えることができるかどうかが重要です。


いざという時に避難することを考えても、その土地の性質を知っておく必要があります。災害時は自己の判断で行動しなければならず、早い判断が求められるからです。

その土地は海抜何メートル?


土地の高さを把握しておきましょう。大雨が降ったときにどうなるか、河川が氾濫したときにどうなるか。国土地理院でその土地の標高を調べることもできますし、古くから住んでいる人に聞くのも良いです。過去の水害のときにどこが被害を受けたかなど、詳細に覚えているでしょう。場合によっては少し敷地の高さを上げて建築した方が安心、ということもあるかもしれません。

ハザードマップを確認


公開されている行政のハザードマップを確認しましょう。過去の水害や災害時の予測値が記されているため、参考になります。特に過去の水害については、また同じようなことが起こる可能性が高いです。

山の上は土砂崩れの心配も


平地は水害の心配がありますが、丘陵地は土砂崩れの心配があります。土砂崩れのリスクの有無を図ることは難しいですが、明らかに危険な状況はあります。


・斜面が急

・斜面に植物がない(伐採している)

・人工的に盛っている土地

・斜面の上に造成地や土の処分場がある

・真砂土などの滑りやすい土質


基本的に丘の上は災害に強いですが、これらに該当する場合は注意が必要です。


建築にはたくさんの法規制がある


いざ家を建てるときにはたくさんの法規制があります。高さ制限、面積制限、壁面の位置の制限など、規制によっては思い通りの家が建てられないこともあります。また、その地域独自の外構ルールや外壁色の指定などもあるかもしれません。


その土地にどのような法規制があるかどうかも重要ですが、その規制によりどのような影響を受けるかも重要です。全く関係の無い規制もあれば、計画の根幹を揺るがすような規制もあるからです。

高さ制限


家の高さに制限がある場合がほとんどです。住宅街では建物の屋根の高さを10メートル以下にしないといけないという指定はよくありますし、道路からの斜線制限、北側境界線からの斜線制限、隣地からの斜線制限などもあります。


これらの制限に建物の屋根がかからないように計画をしなければいけません。そうすると、好みの屋根形状や希望の建物の配置にできない場合があります。


面積制限


敷地いっぱいに建物を建てたくてもできない場合があります。土地には建ぺい率が定められており、建ぺい率50%なら土地面積の50%までしか建築をすることができません。カーポートや外部倉庫も家の面積に含まれます。特に平屋や一階が大きい家を建てる際は建ぺい率がオーバーになって間取りがうまくできないということもあります。


また、容積率という面積制限もあります。容積率は全階の床面積を合わせた面積の制限で、容積率100%なら一階、二階の床面積の合計が土地面積を超えてはいけません。建てられる家の大きさの上限は決まっているのです。


ただし緩和措置もあります。道路幅員や接している道路の数によって制限の値が変わることもありますし、面積のカウントの仕方も行政によって差が有ります。たとえばカーポートの面積を屋根面積で計算する自治体もありますし、屋根の先から1メートルを除いて計算する自治体もあります。これに関しても建築士にしかわからないですよね。


地域の協定


地域ごとに協定があります。協定とは街並み形成のために独自に定めたルールで、その住宅街全体で独自のルールを守ることで住みやすい環境をつくることを目的としたものです。一般的には、高さ制限や面積制限を独自に定めたり、緑地の指定を定めて緑豊かな街並みをつくったりします。


都市計画指定区域


売地が都市計画に含まれている場合があります。都市計画とはその町に将来的に必要とされる都市施設を定めるもので、道路や公園などの計画があります。将来ここを公園にするときは立ち退いてもらいますよ?というのが都市計画指定区域です。都市計画に含まれている土地に建てた家は道路や公園をつくるために取り壊さなければいけない可能性があります。


周辺環境を見る


その他周辺環境をチェックしましょう。これは専門家でなくても気づけることもありますが、様々な要素を考えて判断するので難易度は高いです。ここに住んだらどのような住み心地か、どのような困りごとが出てくるか、夜は明るいか、冬は路面が凍るか、窓を開けたら騒音がうるさいかなど、様々なことを考えて設計をする必要があります。


車の通りは多いか


その中でも車の通りが多いかどうかは大きなポイントです。家のすぐ近くで渋滞が発生していると便利が悪いですよね。交通量が多いと危険度も上がりますし、夜間の騒音も気になります。排気ガスで空気が汚染されている可能性もあるので、通風や洗濯にも考慮が必要かもしれません。


隣家の状況を見る


隣家の状況で設計は変わります。隣家の形や高さによって日当たりが変わりますし、窓の位置によっては視線も考慮します。給湯器やエアコンの室外機の位置も配慮が必要ですし、換気扇の位置も後回しにはできません。古い家なら建て替わる可能性も考えて設計する必要があります。


家や庭で何をしたいかも考えよう


土地によって家でできることとできないことがあります。


たとえば薪ストーブは煙突からかなりのすすが出ます。住宅街では近隣にかなりの迷惑をかけてしまうため、周りを気にしてしまい使えないかもしれません。家と家の距離が離れている田舎だと全く気にする必要はないですが。庭でバーベキューをするときも同じことがいえます。


楽器なども同様です。昼間にピアノを弾くくらいならほとんど問題ないでしょうが、これが打楽器や管楽器ならどうでしょう?周りに気を使いすぎて思う存分練習できないということになるかもしれません。場合によっては防音を考慮した部屋をつくるということも必要です。どのような楽器を使用するか、どれくらい音を抑えたいかで設計も変わります。


利便性をチェックする


周辺施設や交通機関をチェックしましょう。具体的には、学校、病院、スーパー、銀行、駅、バス停などです。移動手段や通勤を考慮し、不便がないかどうかの確認が必要です。また、団地の仕事なども事前にチェックしておきましょう。地域の草取りや公民館の掃除など、活動が盛んなところとそうでないところがあります。


まとめ:土地は建築士でないとわからないことが多い


土地には地盤や法規制をはじめ、専門的な知識がないと善し悪しが判断できないことがたくさんあります。理想の家をつくるためにとても重要な要素が多いので、不動産屋とだけでなく、建築士も交えて検討しましょう。


そして建築する上で重要な要素はそのまま不動産の資産価値にも影響します。せっかく買うなら価値の高い土地で快適に暮らし、資産になるような不動産にしたいですよね。土地から家を検討しているなら、ぜひ土地探しの段階から専門家に相談することをおすすめします。

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