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建築コラム

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費用

2022.12.28

家づくりにかかる予算を解説。家以外にかかる費用は?

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「家づくりは必要な資金項目が多すぎてわからない」

「家の金額以外にどんな費用が必要なの?」


このような悩みをかかえていませんか?


家を建てるにはたくさんのお金がかかります。総額がいくらかかるかも気になりますが、どんな費用がかかるかも気になりますよね。計画段階で総資金の目安を把握するためにも、どんな工事が必要か把握しておきましょう。


これらの費用は土地条件によっては不要、計画によっては不要という場合があるため、要否の確認も必要です。


最も重要なのは、必要な費用を把握したうえでの「予算の配分」です。これは後悔の無い家づくりをするうえでは欠かせません。予算の配分が十分にできていないと、


「もっとインテリアにこだわりたかったから、家をもう少し小さくすればよかった」

「建築に予算をかけすぎたので、外構に全くお金をかけることができなかった」

というようなことになります。


必要な工事


まずは家づくりをするときに外すことのできない工事を紹介します。

代表的なのは以下の5つです。


  • 本体工事
  • インテリア工事
  • 外構工事
  • 設計料
  • 給排水工事

各項目の解説をしていきます。


本体工事


まずは家の本体工事です。躯体そのものの費用に加えて、外装仕上げ、内装仕上げ、キッチン・システムバス・水まわりなどの設備費用も含まれます。最低限の生活をするため、家に必要とされるものは全て本体工事としている建築会社がほとんどです。


言うまでもなく、建築費用のほとんどがこの本体工事です。建物の面積やボリュームによって大きく増減します。複雑な形やこったデザインは費用が高くつきやすいので注意が必要です。


また、部材や設備をグレードアップすると別途追加料金が必要です。どこの建築会社でも標準品があるのですが、標準品からの差額が発生します。屋根、外壁、床材、キッチンなどは内容によっては差額が大きく、予算アップになりやすいので注意しましょう。


インテリア


インテリアへのこだわりが強い方は多いのではないでしょうか。展示場やSNSで見るような素敵な空間は、インテリアに細部までこだわって空間をつくっています。どのようなインテリア部材を選ぶかで普段生活をする空間の雰囲気が決定するからです。


インテリアの要素は数えだすとキリがないですが、最低限必要なのはカーテンと照明です。


カーテン


居室の窓にはカーテンが必要です。カーテンも種類は様々で、レール式、シェード式、ブラインド、ロールスクリーンなどの種類があります。生地のグレードや縫製の仕方で費用も微妙に変わってきます。


安く抑えようと思ったら量販店で売られている既製品などを買う方法もありますが、リビングなどよく使う箇所はオーダーで仕立てた方がよいでしょう。サイズ感や質感など、オーダーと既製品では全く違います。


昼間はあまり目立たないカーテンですが、家族で寛ぐ夜の時間帯は部屋の壁面のかなりの面積をカーテンが占めます。カーテン次第で部屋の雰囲気はがらっと変わります。


照明


照明の費用は場合によっては電気工事に含まれますが、デザインや光にこだわった照明はインテリアで扱います。廊下などの照明と違い、居室の照明はデザインや明るさがとても重要だからです。デザイン性の高い照明はインテリアの主役になることもありますし、柔らかくて温かい光は疲れを癒やし、寛げる時間をつくってくれます。


特にダイニングキッチンの照明は重要で、デザイン性の高いペンダントライトや機能的な調光ライトがおすすめです。壁や天井に反射した柔らかい光が空間に広がる間接照明なども人気があります。


家具


家具はあとから既製品を買っても全く問題ありませんが、インテリアに合わせて計画をすると張地や木部を部屋の雰囲気に合わせることができます。カーテンと家具の張地を合わせたり、家具の木部の色と部屋の床やドアの色を合わせたりすることでまとまりのあるインテリアになります。


ソファ、ダイニングセット、テレビボードなど、大きな家具はインテリアで計画すると部屋の雰囲気が格段に良くなります。滅多に買い替えない家具だからこそ良いものを置きたいですよね。


その他


その他、ラグ、鏡、絵画、雑貨などもインテリアに含まれます。なくても問題ないものですが、これらがあると細部までこだわったインテリアになります。展示場などはこれらをフルコーディネートしているところがほとんどなので、展示場のようなインテリアにしたい方はここまでこだわる必要があります。


外構工事


外構工事もインテリアと同じく必要な工事が多数あります。土留めの擁壁や隣地との境界ブロックは必要ですし、高低差があれば転落防止のフェンスも欠かせません。駐車場、アプローチ、門まわりも最低限の工事はする必要があります。また、道路側から見える最も目立つ家の外観は外構が大きく影響します。家を引き立てる意味でも外構・造園は重要です。


境界工事


隣地側や道路側にはブロック塀やフェンスを施工する必要があります。ブロック塀は基礎と鉄筋をつなげて施工するため、思った以上に金額が掛かります。さらに、高低差が大きいと土圧も加わるため、基礎寸法やブロックの厚みが増すため施工費用も高くなります。大きな敷地ほど境界も長くなるため、境界ブロック工事が必要かは必ずチェックしましょう。


門まわり工事


門まわりは、郵便ポスト、表札、インターホンが必ず必要です。場合によっては宅配ボックスもあるとネット通販の利用に便利です。塀で敷地を囲わないオープン外構なら門扉やゲートは不要ですが、防犯性を考慮したクローズ外構ならそれらの金額もかかります。玄関までのアプローチもこだわるとコストがかさみます。


駐車場工事


駐車場で必要なのは「舗装」と「屋根」です。


舗装はコンクリートの打設や砕石敷きならしが必要です。土のままでは、雨の日にタイヤが埋まってしまいます。砕石の方が費用を安く抑えることはできますが、砂ぼこりや靴につく汚れを考えるとコンクリートの方がおすすめです。


コンクリートを施工する面積が大きすぎると費用がかさむため、必要以上に計画しないように注意しましょう。


雨や日差しから車を守りたい方はカーポート屋根をつけます。必ず要るものではありませんが、雨の日はとても便利です。


ここで注意点ですが、カーポートは申請面積に含まれます。新築時は建物面積に合算する必要がありますし、あとからつける場合は「増築」扱いになります。材料と施工の費用だけでなく、申請費用も必要になるので覚えておきましょう。


造園工事


門まわりや庭に木や花を植える工事です。手入れが面倒と言う理由で全く造園工事をしないケースもありますが、道路からの外観やリビングからの景色を考えるとある程度の造園工事はあった方が見栄えが良いです。


特に道路からの見た目にはこだわりましょう。一本だけでも木があるだけで、家の外観はがらっと変わります。木を植えていない展示場はないはず。それは木がいかにデザイン上重要で、外観に与える影響がとても大きいかを表しています。


設計料


設計料は図面作成や申請にかかる費用です。


構法や地域ごとの申請内容によって金額は変動します。いずれにしろ建築地や建物の計画がある程度決まれば明確になります。


給排水工事


給水管と排水管の工事が必要です。

これらの目的は以下の通りです。


  • 給水管の工事…水道を使うための工事
  • 排水管の工事…生活排水(トイレなど)を行うための工事

給水管と排水管は地中に埋め込みます。整備された住宅団地は道路側に止水栓と汚水最終マスがあるので、ここにつなぎこんだら屋外の給排水工事は完了です。


もし建築地に止水栓や汚水最終マスがなければキッチンやトイレなどの住宅設備を使うことができないため、道路内から新たに引き込みをしなければいけません。アスファルト舗装をはつって復旧する工事が必要です。


浄化槽


公共下水道がない地域は浄化槽の設置が必要です。浄化槽内のバクテリアが汚水を分解し、きれいな水にしてから側溝などに排水します。


定期点検や定期メンテナンスが必要なため、工事費用だけでなくランニングコストもかかります。


雨水排水


雨水の排水は道路側溝や道路内の雨水本管であることがほとんどです。雨水の排水先がない場合は地中に浸透させるマスの設置が必要なこともあります。


また、水は高いところから低いところに流れるので排水先に向かって傾斜をつける必要があります。敷地が低いために排水勾配が確保できないときは、盛土やポンプの設置をしなければいけません。


場合によっては必要な工事


次に場合によっては必要な工事をご紹介します。

ここの要否を見誤ると予算が大きく変わってきます。


  • グレードアップ費用
  • 解体工事
  • 地盤改良工事
  • 空調工事
  • 電気引込工事
  • ガス工事

早い段階で要るか要らないかの確認をしましょう。

以下にて詳しく解説します。


グレードアップ費用


どの建築会社でも標準品があるはずです。本体工事に含まれている屋根材、外壁、床材、キッチン、システムバスなどは金額の根拠となる商品やグレードが決まっています。


建築の資材にこだわると、標準品からのグレードアップ費用が必要です。


特に以下の項目はコストアップにつながりやすいので、建築会社の標準品と自分がほんとうに使いたい商品について確認しておきましょう。


  • 屋根材
  • 外壁
  • 床材
  • キッチン
  • システムバス
  • 洗面台
  • トイレ便器・手洗い

解体工事


建築地に古家があれば解体工事が必要です。

解体費用は面積、構造によって大きく異なります。また外装材にアスベストが含有されていたら処理に多額の費用が必要になるので早めに見積もりしてもらいましょう。


また、古家がなくても以下は解体が必要なので注意が必要です。


  • 倉庫
  • 古いブロック塀
  • 高すぎるブロック塀(1.2m以上は撤去必要)
  • 不要な土

地盤改良工事


地盤がやわらかかったら建物は沈んでしまいます。これを防ぐためには地盤改良工事が必要です。


地盤改良工事は建物の重さや地盤の強度によって工法が変わります。一般的に計画される構法は以下の通りです。


  • 表層改良
  • 木杭
  • コンクリート杭
  • 鋼管杭

杭自体の支持力や地盤との摩擦力を利用して建物を支えます。金額は本数や長さにより変わります。


空調工事


空調工事は各部屋につけるエアコンの工事です。

電源とスリーブさえ設けておけばあとからつけることももちろん可能です。しかし、広い部屋のエアコンは費用も高いので最初から予算組みしておきましょう。


また、壁の中に配管を埋め込む隠ぺい配管工事をする場合や天井にエアコンをビルトインする場合は必ず建築時にしておく必要があります。


電気引込工事


住宅で電気を使用するためには外部から電気を引き込む必要があります。

一般的には道路にある電柱、電線から引き込みを行いますが、近くに電柱がない場合は引き込みのための工事が必要です。


具体的には、電線を中継させるために新たにポールを建てたり、電線を地中に埋めたりといった工事が考えられます。


ガス工事


給湯や調理でガスを使用する場合はガス工事が必要です。


都市ガスは道路内のガス管からガスを引き込みます。給排水工事と同じく、地中にガス管を配管して宅内へつなぎます。

都市ガスの整備がないエリアではプロパンガスの設置が必要です。


床暖房、衣類乾燥機、浴室暖房、ファンヒーターなどもガス式があるため、ガスが必要かどうかの検討が必要です。


建築費用以外に必要な費用


その他建築費用以外にも必要な費用はあります。


  • 家具購入
  • 家電購入
  • 引越し費用
  • ネットワーク契約費用…テレビ、インターネットなど
  • 水道局納金…水道局に納める権利金
  • 下水道負担金…下水道使用に必要な権利金
  • 登記費用…土地、建物の登記。住宅ローンを組む際は抵当権設定が必要
  • 火災保険…任意。住宅ローン利用時は必須であることが多い。地震保険も検討が必要
  • 地鎮祭費用…地鎮祭をする際の初穂料

また、各種税金も必要です。


  • 不動産取得税…不動産を取得した際にかかる税金。住宅の新築で還付あり
  • 固定資産税…不動産を所有するとかかる税金。毎年納税が必要
  • 相続税…不動産などの資産を相続したら必要
  • 贈与税…資産の譲渡を受けたら必要
  • 住宅ローン控除…住宅ローンを組んだら借入額に応じて所得税と住民税が返ってくる

最後に補助金です。


  • 自治体の補助金…行政ごとに実施していることがあるので行政のHPをチェック。浄化槽、太陽光などの支援が一般的
  • こどもみらい補助金…一定の性能を有する住宅で、子育て世代に補助金を支給する制度。
  • ZEH補助金…一定の性能を有する省エネ住宅に補助金を支給する制度

まとめ


これまでご説明した住宅にかかる費用一覧を、以下の表にまとめました。


必要

本体工事

面積や形による。坪単価をチェック。

インテリア工事

照明やカーテン。場合によっては家具も。

外構工事

駐車場、門まわり、境界工事、造園。

設計料

図面作成、申請。

給排水工事

給水管、排水管。道路引込の有無。


場合によっては必要

グレードアップ費用

こだわるなら必要。

解体工事

古家、ブロック、土などの撤去費用。

地盤改良工事

地盤がやわらかいときに必要。

空調工事

最初からつけておきたいエアコン費用。

電気引込工事

電柱が近くにないときに必要。

ガス工事

給湯や調理などでガスを使うときに必要。


建築費用以外に必要

諸費用

家具、家電、引越し、ネットワーク契約、水道局納金、下水道負担金、登記費用、火災保険、初穂料

税金

不動産取得税、固定資産税、相続税、贈与税、住宅ローン控除

補助金

自治体の補助金、国の補助金


これらの費用をご自身で把握するのは大変です。また、把握できたとしても適正な予算配分ができないと後悔が残る家づくりになってしまうかもしれません。


できるかぎり総額の予算を検討している段階から専門家に相談しましょう。満足度の高い家づくりは予算配分が適切です。無駄なコストは削減し、どこに予算をかけるべきかまで相談にのってくれますよ。

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