良い家を建てるうえで、土地の特徴を理解して土地を活かすことはとても重要です。
間取りが土地に合っていないと、土地の良さも間取りの良さも半減してしまうからです。
たとえば、一般的に居室には大きな窓をつけることが良い計画だとされていますが、その窓から日当たりものぞめず、景色も見えないようであればあまり大きな窓を設けた意味がありません。むしろ不必要に大きな窓はプライバシーの確保や空調の面ではマイナスになります。窓の設計一つとっても、土地の特性を理解して、メリットを活かしデメリットを解消する工夫が必要です。
そこで、土地を最大限に利用するために大切なことを建築家が解説します。土地探しをしている方、土地を決めてこれから間取りを検討する方の参考になる内容になっています。
具体的には以下のようなことを詳しく解説していきます。
- 住宅の日当たりを確保する
- 住宅の風通しを確保する
- 室内からの景色を考慮する
- 庭を活かす
- とめやすい駐車場の計画
- 視線をコントロールする
住宅の日当たりを確保する
日当たりを確保して土地を活かしましょう。
建築家がおすすめする、日当たり確保のために重要なことは以下の3点です。
- 隣家の位置と高さを把握する
- 配置を考慮する
- 窓の設計
隣家の位置と高さを把握する
隣家の位置と高さを把握しましょう。
日当たりは南側の隣家や、場合によっては東側西側の隣家の状況に左右されます。
建物の形や距離、高さなどにより、隣家の影がどのように伸びてくるかが変わってくるからです。
間取りをつくるとき南側に日当たりや採光のために窓を設けるのが通常ですが、南側に4階建てなどの高い建物があったらさすがに日当たりはのぞめません。場合によっては南側からの日当たりはあきらめて東や西からの日差しを取り込むようにしたり、リビングを2階にして日当たりを確保したり、吹き抜けをとって上階の窓から日差しを取り込むようにしたりする必要があります。
隣家の形や高さを把握することで、その土地に合わせた適切な日差しの取り方を計画することができます。
配置を考慮する
建物の配置を考慮しましょう。
日当たりを確保するためには南側の建物との距離を確保することが大切です。法制限が許す限り建物を北側に寄せ、東西に長い長方形の建物にして南側を空けましょう。
東道路、西道路の土地は南側に駐車場を設けると自然と南側を空けることができます。
北道路の土地はなるべく駐車場やアプローチに無駄がないように設計して南側を空けることが大切です。
建物の南側を空けられるように配置を計画すれば、日当たりを最大限に確保することができます。
窓の設計
隣家を徹底的にチェックし、南側を空けられるように配置を考えたあとは、窓の設計です。
室内に入ってくる日差しの量は窓の幅と高さで決まります。家具の配置なども考えた上で、なるべく大きな窓を計画して日差しを取り込みましょう。
注意しなければいけないのは大きな窓を取るほど熱が逃げやすくなることです。断熱に優れたサッシにしておかなければ冬の暖房効率が下がります。リビングの大きな窓はトリプルガラスにするなども考えておいたほうがよいでしょう。
大きな窓を南面に計画して、明るくて温かい部屋を設計しましょう。
住宅の風通しを確保する
風通しのよい住宅にすることで、なるべく冷暖房に頼らずに過ごすことができます。自然の風が吹き抜ける家は、経済的で快適です。
建築家がおすすめする風通しの提案は以下の通りです。
- 周辺環境を確認する
- 風の通り道を設計
- 高低差を利用する
周辺状況を確認する
周辺状況により風通しの計画は異なります。
海が近い土地条件なら海側からの風が強いことが予想されます。また、山間部は山の上から下に向かって風が吹き抜けることが多いです。
間取りを設計するときに風の通り道を考慮して窓を設けますが、その地域によく吹く風を捉えることができなければ風通しは半減してしまいます。
地形や周辺環境から風の流れを観察しましょう。
風の通り道を設計
風の通り道を意識した設計が重要です。
風の通りが良い間取りは2方向に窓があり、風の入り口と出口が用意されています。この風の通り道を考えて窓の位置や建具の位置を決める必要があります。
できれば一部屋に2箇所の窓を設けましょう。そのとき東側や西側の窓を大きくしすぎないように注意しましょう。夏の朝日や西日が差し込むと室内温度が上がりやすくなるからです。
風の通り道を考慮して、気持ちいい風が抜ける間取りを考えましょう。
高低差を利用する
2方向の窓で換気を計画する際、各々の窓に高低差があると風はぬけやすくなります。
室内のよどんだ空気は上昇するという特性があるからです。高い位置の窓からは自然と風が抜けていきます。
そのため、階段や吹き抜けに窓を設けると効果的です。天窓も効果的ですが、屋根面に窓を設けると防水面でデメリットが多いため、天窓はなるべく避けましょう。
平面だけでなく、断面で風の通りを考えることもとても重要です。
室内からの景色を考慮する
建築家がおすすめする室内からの景色の提案は以下の通りです。
- 土地からの景色を確認する
- 窓の設計
- 庭の設計
土地からの景色を確認する
土地から見える景色を確認しましょう。良い景色だけでなく、悪い景色も把握することが重要です。
窓から何が見えるかを事前に確認しておかなければ、窓を設ける意味が半減してしまうからです。
たとえば、せっかく設けた大きな窓の外に隣家のエアコン室外機や換気扇があったらその窓はあまり開けない窓になるかもしれません。また、外から見られてしまう位置に大きな窓を設けてしまったらカーテンは年中閉めっぱなしかもしれません。反対に、海や山などの景色が見えるならなるべくカーテンを開けっ放しにしたくなります。
その土地のまわりに何があるのか、何が見えるかを確認しましょう。それによって壁の設計や窓の設計が変わってきます。
窓の設計
周辺環境の分析がおわったら窓の設計にこだわりましょう。
窓は目的により種類やサイズを変えると効果的です。どのような窓を設計するかでデザインや使い勝手が大きく異なります。
外の景色を楽しむ窓は桟が細いFIX窓がおすすめです。景色を絵画のように切り取ってくれるのでデザイン性に優れています。カーテンはかさばるので、ロールスクリーンや障子にするとよりすっきりと計画ができます。
また、採光はほしいけど見たくない景色がある場合は高窓にすると良いでしょう。高い位置にある窓からはやわらかい光が入ってきます。
目的に合わせて窓を設計してデザイン性や機能性を高めましょう。
庭の設計
窓の設計と庭の設計はセットで考えましょう。
庭を設計することで見たい景色を作ったり、見たくない景色に目隠しをしたりすることもできるからです。
たとえば窓の外に落葉樹を植えると、その窓は季節を感じることができるビューウィンドウになります。暗くなったらライトアップできるようなライトを計画しておくとさらに雰囲気が良くなります。
また、隣家の窓や道路側など、目隠しをしたい場所には目隠しパネルを設けると良いです。木調タイプにすると見栄えも良いので一石二鳥です。
庭を上手に設計して、見たい景色を作り、隠したい箇所をうまく隠しましょう。
庭を活かす
建築家がおすすめする庭を活かす提案は以下の通りです。
- 用途に合わせた庭の設計
- 周りからの視線を考慮
- テラスを計画する
用途に合わせた庭の設計
使い方に合わせて庭を設計しましょう。
庭にはたくさんの用途があります。
砂遊び、プール、家庭菜園、バーベキュー、キャンプ、作業スペース、テラス、洗濯物干し、倉庫、駐車場など。使い勝手に合わせた設計が必要です。
たとえば子ども用のプールを出すためには外部水栓が必要です。室内から見守れるようにリビングの前にプールを出せるようにスペースを設けましょう。屋根やカーポートを利用して日除けも考えるとなお使いやすくなります。
また、家庭菜園をするなら日当たりだけでなく、室内からの動線や外部水栓と倉庫の位置なども考慮しましょう。
設計次第で庭の利用勝手は飛躍的に向上し、遊べる庭を作ることができます。
周りからの視線を考慮
庭のプライバシーを保ちたいときは視線を考慮しましょう。この場合の視線は、道路からの視線と隣家からの視線があります。
庭で寛ぎたいと思ったとき、道路や隣家から見られていると感じるようではゆっくり寛ぐことができません。洗濯物を干すことなどを考えても視線が気になってしまいます。
最も簡易に目隠しができるのは植栽です。常緑樹や生垣を植えることで安価で効果的に視線を遮ることができます。
目隠し効果のあるフェンスやスクリーンも良いですが、閉塞感や圧迫感が出るため注意しましょう。植栽と比べて、費用も高額になることが多いです。
植栽を効果的に使用して、プライバシーが保てる使い勝手が良い庭をつくりましょう。
テラスを計画する
テラスを計画すると庭の使い勝手はもっとよくなります。
テラスがあることで室内から庭へのアクセスが良くなるからです。テラスは外部ですが、室内と庭をつなぐような役割をしてくれます。
具体的にはタイルデッキとウッドデッキがあります。
タイルデッキはメンテナンスが要らないのが大きなメリットですが、照り返しがあることがデメリットです。室内に直接日差しが入らないときでも、タイルに反射した光は室内に侵入して冷房効率を下げてしまいます。
ウッドデッキは質感がよく、照り返しが少ないので夏でも安心して利用できますが、定期的なメンテナンスが必要というデメリットがあります。
テラスを効果的に計画し、室内と庭の境界をあいまいにすることで庭の使い勝手を向上させましょう。
停めやすい駐車場の計画
建築家がおすすめする停めやすい駐車場の計画の提案は以下の通りです。
- 余裕をもった寸法で設計する
- 使い方に合わせた停め方
- 角は避ける
余裕をもった寸法で設計する
駐車場は余裕を持った寸法で計画しましょう。
なぜなら駐車場は、車を停められるスペースがあれば良いという問題ではなく、座席のドアを開けるスペースやトランクのバックドアを開けるスペースも考える必要があるからです。寸法に余裕がなければ駐車だけでなく乗り降りがし辛く、ドアを壁にぶつけてしまうリスクも高まります。
横幅は左右70センチずつ、後ろは1メートルほどの余裕があると理想的です。停める車に合わせて寸法を計画する必要がありますが、横幅3.2メートル、長さ6メートルほど確保しておけばほぼ間違いありません。
駐車場は乗り降りしやすいように余裕を持った寸法で計画しましょう。
使い方に合わせた停め方
駐車場の計画は車の使い方によって提案が変わります。
停め方や位置によって駐車場の使い勝手は大きく変わるからです。
毎日使う車は直角駐車がおすすめですが、使用頻度の低い車であれば縦列駐車や並列駐車でもそこまで不便はありません。駐車場のスペースと家や庭のスペースのどちらを重視するかで駐車場の形状は変わります。
また、玄関へのアプローチや倉庫との距離を考えましょう。
小さいお子様がいるご家庭は玄関へのアプローチがなるべく短く、できれば屋根がかかっていると雨の日でも手間がかからず安心です。アウトドアが趣味のご家庭で倉庫からの荷物の出し入れが頻繁であれば駐車場と倉庫はなるべく近くに計画しましょう。
実生活を想像しながら、使い方に合わせて駐車場を考えましょう。
角は避ける
道路の曲がり角に駐車場を設けるのは避けましょう。
左右の確認がとても難しいからです。死角ができやすく、事故につながる可能性が高くなります。
駐車場は角からなるべく離れた場所に設けた方が安全です。たとえ使い勝手が悪くなったとしても、駐車場の位置は安全第一で設計するべきです。
角地に家を建てる際は駐車場の位置に注意しましょう。
視線をコントロールする
建築家がおすすめする視線をコントロールする提案は以下の通りです。
- 窓の位置や形状を考える
- 植栽で視線を遮る
窓の位置や形状を考える
窓の位置や形状を考えて隣家や道路からの視線に配慮しましょう。
日当たりや風通しだけを考えて大きな窓をつけると、隣家や道路からの視線が気になってしまう可能性があるからです。見られたくないためにずっとカーテンを閉めることになってしまっては窓を大きくした意味がありません。
そこで重要なのが位置をずらすこと。あらかじめ隣家の窓の位置を測っていれば間取りに影響のない範囲で窓をずらすことができます。
また、道路からの高低差等を考慮して形状を工夫しましょう。道路との高さ関係によっては腰窓にすることで視線を遮り、光と風だけを取り込むような窓も計画できるかもしれません。
適切な窓を計画するためにはとにかく敷地分析が重要です。隣家や道路を徹底的に調べて視線をコントロールしましょう。
植栽で視線を遮る
植栽は効果的に視線を遮ることができます。
植栽は目隠しフェンスなどと異なり圧迫感を感じにくく、緩やかにプライバシーを保ってくれます。管理の手間が必要なのは難点ですが、工事のコストも小さいため手軽に計画ができます。
目隠し効果が高いのは一年中葉がついている常緑樹です。シマトネリコやシラカシなどは樹形がきれいで人気が高く、シンボルツリーなどにもしばしば使用されます。
視線が気になったとしても窓を設けたいときは、植栽で視線を遮りましょう。植栽は外から見ても室内から見ても素敵な景色を作ってくれます。
まとめ
建築家がおすすめする土地の活かし方について解説しました。
間取りを考えるときに「あるものを活かす」ということがとても重要です。暖房よりも日当たり、冷房よりも風通し、装飾よりも眺望を考えます。太陽や風を活かすことで心地よいエコな暮らしを実現することができます。
そのためには土地の特徴を理解し、土地に合わせた計画をすることがとても重要です。土地を活かして快適なお住まいを計画しましょう。