家の掃除は本当に大変です。
毎日掃除をしたとしても、だんだん床にほこりが目立ってくるし、蛇口に水アカがついてくるし、玄関は砂だらけになっていきます。
生活をしている限り、家は汚れます。家の掃除は日々続けなければいけません。
掃除が少しでも楽になれば……
そう思っている人は多いのではないでしょうか。
そこで、毎日の掃除を少しでも楽にするための建築家のアイデアをご紹介します。
建築段階で工夫できる掃除のアイデアはたくさんあります。具体的には以下の通りです。
- 家具をなるべく置かない
- 建具の敷居をなくす
- 段差をなくす
- 素材を選ぶ
- 設備を選ぶ
詳しく解説していきます。
家具をなるべく置かない
家具をなるべく置かないようにしましょう。
家具を置くと床の掃除機かけがし辛くなります。
掃除機をかけているとき、どけないといけないものが多ければ多いほど作業が捗りません。
建築家がおすすめする家具をなるべく置かないための提案は以下の通りです。
- 必要なものは造り付けで計画
- リビングには小物収納を
- 家具はフロートタイプに
- ベッドの枕元にカウンター
必要なものは造り付けで計画
絶対に必要な家具はなるべく造り付けで計画しましょう。
造り付けの家具は壁に付いているので、壁との間にほこりがたまる心配がなくなります。また、家具と床との間にも隙間がないためほこりがたまりません。
造り付け収納はあとからレイアウト変更ができないのがデメリットです。そのため、あまり必要のない家具や動かす可能性がある家具を造り付けにするのは避けましょう。
一方で、テレビ台、本棚、クローゼットなどのように、どう考えても必要で置く位置も変わらないものもあります。これらは造り付けで計画するメリットが大きいといえます。
家具は造り付けにできないかを考え、なるべく造り付けで計画して掃除の負担を減らしましょう。
リビングには小物収納を
リビングには小物収納を設けましょう。
薬、書類、文房具、爪切りや耳かき、リモコン、電池、工具など、リビングで使う小物が必ずあるからです。これらを収納する場所がなかったらリビングに家具を置かなければいけない可能性が出てきます。
これらは収納量が大きくは必要ないため、カウンターの下を引き出しや棚収納にするだけで十分です。少しこのスペースがあるだけでリビングがすっきり片付きます。
少しでいいのでリビングに小物収納を設けて、余計な家具を置かなくても良いようにしましょう。
家具はフロートタイプに
家具はフロートタイプがおすすめです。フロートタイプとは壁付けで床部分が浮いているような形状の家具のことです。
フロートタイプの家具は、掃除機が家具に当たらないためスムーズに床掃除ができます。また、すっきりしたデザインも大きなメリットです。
ただし、壁に固定するため取付工事が必要なこと、壁に下地がないと取り付けができないことなどは注意が必要です。
最初から計画をしておかないとフロートタイプの家具は計画できない可能性が高いです。
建築段階からフロートタイプにする家具を検討して床掃除を少しでも楽にしましょう。
ベッドの枕元にカウンター
ベッドの枕元にはカウンターを取り付けましょう。
このカウンターはスマホを置いて充電したり、メガネや時計を置いたりすることができます。するとベッドの横にナイトテーブルを置く必要がなくなります。
寝室はただでさえ掃除が大変です。余計な家具を増やさなくて済むのは大きなメリットです。
このカウンターは小さくても問題ありません。スマホやメガネなどの小物を置くには奥行きが10センチあれば十分です。材質にこだわらなければ大きなコストもかかりません。
ベッドの枕元にカウンターがあればお掃除の手間を増やすことなく便利に使用することができます。
建具の敷居をなくす
建具の敷居を無くしましょう。
敷居とは扉がスライドするための溝のことで、この溝はゴミやほこりがたまるだけでなく掃除の邪魔になります。
具体的には以下の方法で敷居をなくすことができます。
- 引き戸ではなく開き戸にする
- 上吊りの建具にする
引き戸ではなく開き戸にする
引き戸を開き戸に変更することで敷居をなくすことができます。
開き戸は吊り元の金具で建具を持たせているため、敷居が必要ないからです。開き戸の下には敷居などの建具用の枠が必要ないため床材を貼り伸ばすことができます。
ただし、開き戸の場合は引き戸と違って開けっぱなしにし辛いというデメリットがあります。使う場所を考えて設計しなければ使いづらくなるので注意しましょう。
完全バリアフリーのフラットの床にするなら引き戸よりも開き戸の方がおすすめです。
上吊りの建具にする
敷居は設けたくないけどどうしても引き戸で計画したいという場所は、上吊りの建具にするという方法があります。
上吊りの建具はレールが鴨居についており、床面から建具に1センチほどのすき間があります。このため、開き戸同様床を貼り伸ばすことができます。
上吊りの建具のデメリットは安定さに欠けることです。特に高さのある建具の場合は振れやすいため、建具下部の振れ止め対策が必要になります。
建て入れ調整などのメンテナンスが楽なのも上吊り建具のメリットです。引き戸にして、なおかつ敷居を無くしたいなら上吊り建具で計画しましょう。
段差をなくす
床や天井の段差をなくすことで掃除が楽になります。
段差はほこりがたまる原因になりますし、掃除をしているときに邪魔になるからです。
具体的には以下のような点に注意しましょう。
- 床の段差をなくす
- 天井の段差をなくす
床の段差をなくす
床の段差をなくすと掃除が楽になります。
床に段差があると、段差部分にほこりやゴミもたまりやすくなるからです。また、段差があることでお掃除ロボットなどの可動範囲も狭めます。
床がバリアフリーだと掃除機やモップをかけようと思ったときに障害がないため、短時間でむらなく掃除をすることができます。掃除の手間を減らすだけでなく、ストレスなく掃除ができるという点も大きなメリットです。
お掃除を楽にしたいなら床は絶対にバリアフリーです。
天井の段差をなくす
床に続いて天井の段差もなくしましょう。
間接照明のために設けた天井の段差にはほこりがたまるからです。天井を照らす照明は上向きである必要があり、この照明を施工するためにはほこりがたまってしまう水平面が必ずできてしまいます。
高い場所は普段から掃除し辛く、天井段差にたまったほこりはつい放置してしまいがちです。換気や空調の際にこのほこりが室内を舞ってしまうことも珍しくありません。
天井を照らす間接照明は素敵なインテリアを作ってくれますが、頻繁に天井の掃除をしなければいけないことを考えるとあまりおすすめできません。
素材を選ぶ
掃除がしやすい部材を選択しましょう。
建築家がおすすめする掃除が楽な素材は以下の通りです。
- 水まわりは耐水性のある床材を
- 水まわりは耐水性のある壁装材を
- キッチンまわりはキッチンパネル
水まわりは耐水性のある床材を
水まわりは耐水性のある床材を使用しましょう。
耐水性のない木製のフロアは、水気で床が傷んだり変色したりするからです。当然掃除も大変で、きれいな状態を保つのは一苦労です。
脱衣所やトイレはもちろん、キッチンの床材も耐水フロアに変えましょう。見た目を損なわないように、リビングから見て違和感がないように床の貼り分け範囲を考えることが重要です。
材質は合板下地のシートフロアやポリ塩化ビニルのフロアタイルなどがおすすめです。フロアタイルはデザイン性も高いことからキッチンや洗面室などで使用されることが多くなっています。
水はねが気になる場所には耐水性のあるフロアを計画すると床の掃除やメンテナンスが楽になります。
水まわりは耐水性のある壁装材を
水まわりは床だけでなく、壁にも耐水性のある壁装材を使用しましょう。
壁は床と同様、傷みや掃除が気になる場所だからです。通常のクロスはカビや汚れがつきやすく、掃除も簡単ではありません。
水はねが特に気になる壁はタイルやパネルで仕上げると傷みにくく、掃除もしやすくなります。また、コストを抑えたいときは防かび仕様のビニルクロスに変更するだけでもある程度の効果はのぞめます。
水栓の周辺やタオル掛けの裏側は特に汚れやすいので注意が必要です。
キッチンまわりはキッチンパネル
キッチン周辺の壁はキッチンパネルがおすすめです。
なぜならキッチンパネルは最も掃除が楽だからです。キッチンパネルは耐火性のあるパネルなので、コンロまわりにも使用できます。
タイルはデザイン性が高い反面、目地に汚れがたまりやすいというデメリットがあります。コンロまわりは油汚れがたまりやすく、水栓まわりはカビが生えやすいので計画する際は注意しましょう。
見栄えはタイルの方が良いですが、掃除を考えるとキッチンパネルが最良です。
設備を選ぶ
設備は選ぶアイテム次第でお掃除の手間が大きく変わってきます。
設備を選ぶ際は以下のようなことに注意しましょう。
- コンロは水無し・ガラストップにする
- レンジフードを自動洗浄機能付きにする
- センサー水栓にする
- 洗面台は壁出し水栓にする
- トイレは自動洗浄機能付きにする
コンロは水無し・ガラストップにする
コンロは最も掃除が大変な場所の一つ。必ず水無し、ガラストップを選びましょう。
水無しのグリルは受け皿に水をはる手間だけでなく、受け皿やグリル庫内の掃除の手間も楽にしてくれます。
また、ガラストップのコンロは油汚れのこびりつきを防いでくれます。
レンジフードを自動洗浄機能付きにする
レンジフードは自動洗浄機能付きを選びましょう。
自動洗浄機能付きのレンジフードは、フード内のファンにたまった油を自動で洗浄します。キッチンで最も汚れが頑固な場所を機械が掃除してくれるので掃除の手間を大幅に削減してくれます。
また、自動洗浄付きでなくとも限りなくファンの手入れを楽にしたものもあります。商品によっては10年ファンの掃除をしなくてもそのまま使用できるものもあります。
繰り返しになりますがレンジフードの掃除はキッチンの中で最も大変な場所です。初期費用が多少高くなったとしても、掃除が楽な商品にする価値は十分にあります。
センサー水栓にする
センサー水栓にすると水栓の掃除が楽になります。
なぜなら濡れた手で水栓に触れることがなくなるからです。水栓に触れることがなくなれば水栓に水滴がつかなくなるため、水垢が気になりにくくなります。
また、手が汚れているときにも水栓に触れずに吐水できるので水栓を汚さずにすみます。ハンバーグや餃子などの料理をするときに重宝します。
センサー水栓は便利なだけでなく、水栓の掃除を楽にしてくれるアイテムです。
洗面台は壁出し水栓にする
洗面台は壁出し水栓にしましょう。
カウンターに水栓がついているタイプは水栓の付け根部分にカビが生えやすいからです。水栓の付け根部分には垂れた水滴が残りやすいことが原因です。
壁出し水栓にすることでカウンター部分がなくなるため、水栓だけでなくカウンターの掃除もなくなります。カウンター部分がなくなることでボウルも大きく使うことができるのもメリットです。
掃除を楽にするために洗面台の水栓は壁出しで計画しましょう。
トイレは自動洗浄機能付きにする
トイレは自動洗浄機能付きにしましょう。
自動洗浄機能付きは掃除が圧倒的に楽です。元々陶器の便器は掃除が楽ですが、自動洗浄機能付き便器はさらに汚れがつきにくく、また落ちやすいような工夫がなされています。
TOTO社のネオレストは除菌水を便槽内に噴霧して雑菌の繁殖を防ぎ、便槽内を清潔に保ちます。ノズルの洗浄も除菌水を利用するなど、細かな部分の掃除も楽にしてくれます。
また、パナソニック社のアラウーノは泡立てた洗剤を便器内に常備し、汚れの付着を許しません。飛び散りも防ぐため、トイレ全体を清潔に保つことができます。
トイレは自動洗浄機能付きにすることで掃除が一気に楽になります。
まとめ
掃除が楽になる建築家のおすすめ提案を紹介しました。
掃除がしやすい家にするためには、
- 家具をなるべく置かない
- 建具の敷居をなくす
- 段差をなくす
- 素材を選ぶ
- 設備を選ぶ
などが大切です。
家をきれいな状態に保つためには、掃除をずっと継続する必要があります。そのためには、掃除をしやすい家をつくることがなにより重要です。
大切な家をきれいに使用するために、建築家と一緒に掃除の手間がかからない家を計画しましょう。