間取りがうまくいかなくて悩んでいる方はいませんか?
良い間取りをつくる際は優先順位を考え、全体のバランスを見ながら計画することが大事です。
なにもかもこだわると計画に矛盾が生じて、間取りをまとめるのが難しくなるからです。
たとえば日当たりの良い南側に居室をもってきたいという要望があったとして、南側に配置できる部屋の数には限界があります。場合によってはどれかの部屋を北側に配置するという割り切りも必要です。
要望を的確にまとめ、こだわるところはこだわり、割り切るところは割り切るという判断が非常に重要になります。
そこで、間取りの悩みを解決するための割り切りのアイデアを紹介します。
- 1階にこだわらない
- なくせる部屋をなくす
- 置かなくてもいい家具は置かない
- 部屋の広さを見直す
- 広くするのではなく広く見せる
- 迷ったときはとにかくシンプルに
どこまでも面積を大きくしてよい、土地の広さは十分にある、金額もどれだけ上がっても大丈夫という方には必要のないことですが、ほとんどの方が限られた面積や予算の中で家づくりを行うはずです。「優先順位をつける」という考え方は必須です。
これだったら良いなと思える項目は一つでもOKです。それだけで間取りは劇的に変わるかもしれません。
1階にこだわらない
2階建てを計画する際、どんどん要望を詰め込むとどうしても1階が大きくなりがちです。
なぜならメインの生活スペースである1階に何もかもを置きたくなるからです。収納も水まわりもリビングの近くが良い。これは利便性を考えると当然の意見ですよね。
そこで視点を変え、1階で計画予定の部屋を2階に上げられないか検討してみましょう。具体的には、
- お風呂
- リビング
- 和室
などが候補に上がります。
お風呂を2階へ
お風呂は2階でも良いのではないでしょうか。
その分リビングを広く取れますし、洗濯、物干し、収納の動線はむしろ向上します。
歳をとったらお風呂に入るために階段を上がるのは大変という意見もありますが、実際に階段を上がるのも難しい状態になると自宅で生活していないかもしれません。
むしろ大変なのは高齢者よりも子どもです。なかなかお風呂に入りたがらない子どもを2階まで連れていくデメリットの方が大きいため、計画の際は考えておきましょう。
脱衣所とお風呂を2階に上げると1階はゆったりと計画ができます。
リビングを2階へ
メインの生活スペースであるリビングを2階に上げる方法もあります。
日当たりがしっかり確保できるので隣家の影の影響を気にしている方にはおすすめです。眺めが良いことや道路からの視線が気にならないこともメリットです。
ただし、人が来るたびに1階まで下りないといけないことを覚えておきましょう。無人でも宅配が受け取れる宅配ボックスやスイッチやインターホンで玄関ドアが解錠できる電気錠の計画は必須です。
日当たりや視線で悩んでいるならリビングを2階にするという手は有効です。
和室を2階へ
和室がただの予備部屋なら2階に上げましょう。
いざというときの寝室なら2階で問題ありません。
1階で寝ることができる場所が1部屋ほしい気持ちはとてもわかります。しかし、そのために一番長く過ごすリビングが狭くなっていることもあわせて考える必要があります。
和室が無くなったら1階が充実する間取りは多いはず。和室が1階である必要はあるのか、改めて疑ってみましょう。
なくせる部屋をなくす
そもそもなくせる部屋はありませんか?
あるのが当たり前と思っているけど実は要らない部屋はたくさんあります。
スペースの取り合いになっているのなら優先度の低い部屋は無くしてしまいましょう。具体的には以下のような部屋が考えられます。
- 和室
- 玄関ホール
- ウォークインクローゼット
- バルコニー
和室をなくす
和室は必要ですか?
予備部屋はあった方が便利ですが、他の部屋を予備部屋として使える可能性もあります。全部屋が満員で使用されている期間は限られているからです。
カブト人形やひな人形は和室じゃなくても飾れます。仏壇だって今はマンションにも置けるスリムな物も多く売られています。
なんとなく設けているだけなら和室は無くても良いかもしれません。
玄関ホールをなくす
玄関ホールは無くてもなんとかなります。
廊下と同じで、玄関ホールはただ人が歩くだけのスペースです。居住スペースよりも優先順位は下で問題ありません。
困ることといえば荷物がたくさんあるときに狭さを感じることと、ゲストが帰るときに家族全員で見送りし辛いこと、くらいです。いずれもレアケースなのでそこまで大きな問題ではなさそうです。
リビングや収納を削る前に、玄関ホールを削ることを検討しましょう。
ウォークインクローゼットをなくす
ウォークインクローゼットは空間を贅沢に使っています。
なぜならウォークインクローゼットの中には人が歩くだけでものが置けない空間があるからです。
部屋の壁面を利用した「押入」のような収納は無駄がありません。壁一面を利用してクローゼットにすればスペースを取らずに収納量を確保できます。
収納量を減らさずにスペースを節約したいならウォークインクローゼットを無くしましょう。
バルコニーをなくす
バルコニーは無くてもなんとかなります。
バルコニーは洗濯物干しと布団干しで活躍しますが、室内干しのスペースがあればバルコニーは不要です。布団も専用の掃除機でホコリやダニを吸い込むことができます。
そもそもホコリや花粉が気になって外に干さないご家庭も増えています。室内干しであれば天候や時間帯を気にしなくて良いのもメリットです。
バルコニーは掃除も大変で、建築コストもかかります。無くすメリットは思いの外大きいかもしれません。
置かなくてもいい家具は置かない
なんとなく置いてるけどあまり機能していない家具はありませんか?
生活スタイルによっては要らない、または無くせる家具があります。置く家具によって必要な部屋のスペースは大きく変わるため、要否はよく検討しましょう。
- ダイニングテーブル
- テレビ
- ソファ
- ベッド
ダイニングテーブルを置かない
座卓で食事をするご家庭はダイニングテーブルが必要ありません。
ダイニングにテーブルを置きリビングにソファを置くならリビングダイニングで10〜12畳は必要です。一方でリビングにソファと座卓を置くなら8畳で十分でしょう。
または、食事のテーブルをカウンタースタイルにする方法もあります。簡単な朝食ならむしろカウンターくらいがちょうどいいサイズです。配膳もしやすく、スペースを取りません。
ただしテーブルは作業台や応接にもなることに注意が必要です。長時間座るなら椅子が便利です。
どうせ床に直接座るなら、ダイニングは無くてもいいかもしれません。
テレビを置かない
テレビを置かない家庭が増えています。
テレビ離れが進み、スマホやタブレットで動画を見る時間が長くなっているからです。
テレビを囲んで家族の団らんという家庭も多かったと思いますが、違う形でコミュニケーションがとれるならいよいよテレビは必要がないかもしれません。
テレビやテレビ台が要らなければスペースだけでなくソファの配置も自由度が増します。
ソファを置かない
ソファがなくても困りません。
ゆったり座りたいならアームチェアでも可能ですし、寝そべりたいならクッションを敷いて床に寝そべることもできます。
また、ソファは部屋の中央に置く配置が多いためかなりの確率で空間を狭くしています。ソファがなければLDKはもっと広々使えるはずです。
ソファがなくて困ることを考えてみましょう。すると意外とソファの必要性が少ないことに気づきます。
ベッドを置かない
寝室を畳にすればベッドを置く必要がなくなります。
布団の上げ下ろしが面倒なら、床を20センチ上げて床上げ部分を大きなベットフレームのようにしてしまいましょう。畳敷きにすればそのままマットレスを置いて使用できます。
ベッドを置くとベッドの下の掃除も大変です。ホコリがたまるとアレルギーの原因にもなります。
ベッドを置かなければ寝室を広くする必要もなくなります。
部屋の広さを見直す
部屋の広さは適切ですか?
特に寝るだけの部屋はそこまで広い必要はないはずです。家具や収納量を考えてスペースを見直しましょう。
子ども部屋は3.75帖でOK
子ども部屋は3.75帖でも十分成り立ちます。
なぜなら3.75帖あればベッド、机、洋服掛けが配置できるからです。建具位置や窓の位置をしっかり考えておけば広さは全く問題ありません。
困るとしたら友達が遊びにきたときです。部屋の中が2人3人と増えていくと手狭に感じます。
部屋として利用するだけなら子ども部屋は狭くても大丈夫です。
寝室は6帖で4人寝られる
寝室は6帖で4人寝ることができます。
ベッドの配置はセミダブル2台です。このときベッドの両側には50センチほどのスペースができますが、これで十分。
寝室にベッド以外の家具を置くなら別ですが、寝るだけの部屋を広くとる必要はありません。
4人程度なら寝室は6帖でも大丈夫。置く家具をよく考えて部屋の広さを決めましょう。
広くするのではなく広く見せる
部屋を広くするのも良いですが、広くせずに広く見せることもできます。
広く見せる方が金額も安く、計画の幅も広がります。
具体的な手法は以下の3つが考えられます。
- 天井を高くする
- サッシを大きくする
- 壁をまっすぐ通す
- 明るい床材を選ぶ
- 物を置かない
天井を高くする
天井を高くして部屋は広く見えることができます。
屋根なりに勾配天井にしても良いですし、部分的に天井を折り上げて床梁をむき出しにしても良いです。
吹き抜けは開放感も日照も確保することができますが、空調が効き辛くなるので注意しましょう。
面積を変えられないなら天井を上げられないか検討してみましょう。
サッシを大きくする
サッシを大きくすると部屋は広く見えます。
大きな窓からたくさんの光が入ると部屋は明るくなります。また、ガラス面が大きい方が外の景色が広がり、お部屋は解放的な空間になります。
窓を大きくする際はデメリットも把握しておきましょう。東向きや西向きの窓を大きくすると夏の日差しが差し込み部屋は暑くなります。また、熱は窓から逃げるので断熱性能を上げるなら大きすぎる窓はおすすめしません。
敷地条件を考慮し、効果的ならばがサッシを大きくして明るく開放的な部屋を計画しましょう。
壁をまっすぐ通す
壁をまっすぐ見通せる場所を作ると部屋は広く見えます。
なぜなら壁をまっすぐに通すことで空間の奥行きを感じるからです。
特別な理由がなければ各部屋の壁の位置をそろえましょう。その方がシンプルな構造計画になるため、家の強度も上がりコストも安くなります。
間取りはシンプルであるほどメリットが大きいためおすすめです。
迷ったときはとにかくシンプルに
間取りはシンプルな方が優れています。
まっすぐな線、少ない線で描かれた間取りの方がスムーズな動線を確保できます。さらにシンプルな間取りは構造材の負担も少ないため、耐震性も確保しやすくなります。
要望を入れていくと間取りはつい複雑になりがちです。複雑でごちゃごちゃした線で描かれた間取りは使い辛いだけでなく、壁の量が多い分コストも余計にかかってしまいます。
より少ない壁の量で成り立つ間取りの方が、使い勝手、コスト、耐震性の面でメリットがあります。
明るい床材を選ぶ
床材は明るい色の方が部屋は広く見えます。
明るめの色味は膨張色といわれ、実際の面積や空間よりも大きく見える効果があるからです。壁やドアなどの内装材、カーテンなども明るい色で合わせるとより広く見える効果がのぞめます。
樹種はオーク、メープル、クリなどがおすすめです。これらは硬質で木目が美しいため床材として人気があります。
明るい床材を選び、明るいインテリアにしてお部屋を広く見せましょう。
物を置かない
物を置かなければ部屋は広く見えます。そのためには、適切な収納を設けることが必要です。
リビングまわりは色々と物があふれがちだからです。収納スペースを確保しておかなければ、一度片付けたとしてもすぐにまた散らかってしまいます。
具体的には、
- 薬、文房具、工具、書類などの収納
- 絵本などのよく読む本を収納する本棚
- 飾りをする棚や壁面
などです。たくさんの収納量は必要ありませんが、これらの収納場所が全くないと不便です。
お部屋をすっきり広く見せるために、物があふれないように収納を確保することが重要です。
まとめ
間取りの悩みを解決するアイデアをご紹介しました。
- 1階にこだわらない
- なくせる部屋をなくす
- 置かなくてもいい家具は置かない
- 部屋の広さを見直す
- 広くするのではなく広く見せる
これらはリスクのある計画でもあるので、まずは建築士に相談してみましょう。