MAGAZINE

建築コラム

To the ideal life

建築家のこと

2022.12.28

建築会社の選び方のポイントは?チェックしなければいけない項目を解説。

この記事をシェアする

「はじめての家づくりでどのようなポイントを注意すればいいのかわからない」

「建築会社の比較のポイントはなに?」


この記事ではこのような疑問を解決します。


はじめての家づくりはわからないことだらけです。どのようにして建築会社を選んだらいいかもわからないですよね。


この記事では建築会社の選び方のポイントを5つに分けて解説します。

内容は以下の通りです。


  • 耐震性で選ぶ
  • 保証で選ぶ
  • 断熱性で選ぶ
  • プランの自由度で選ぶ
  • デザイン力で選ぶ

一般的に家を建てる際の相談先は、大手ハウスメーカー、工務店、建築事務所などがあります。それぞれ得意な分野が異なるので、自分の理想の家づくりはどこに相談すればよいのかを見極めることが重要です。


家を建てる際の注意点やポイントを含め、家づくりの時の建築会社の選び方のポイントを知りたい方は是非この記事を参考にして下さい。


耐震性で選ぶ


耐震性は住宅に最も重要とされる要素です。耐震性とは家の強さそのもの。地震はいつくるかわからないため、いざというときに安心できる住宅に住みたいですよね。


住宅の耐震性について以下の3つのチェックポイントをご説明します。


  • 工法による違い
  • 制震と免震とは?
  • 繰り返しの地震に強いか

工法による違い


工法とは家の建て方を表します。一般的な工法は以下の4つです。


  • 木造軸組構法
  • パネル工法
  • 鉄骨造
  • 鉄筋コンクリート造

構法により耐震性の確保しやすさが異なります。


  • 木造軸組構法 …耐震性を確保しるための耐力壁の設計が必要
  • パネル工法 …耐震性は確保しやすいが、耐久性(長寿命)を確保し辛い
  • 鉄骨造 …木造同様、耐震性を確保しるための耐力壁の設計が必要。安定した品質を確保しやすい
  • 鉄筋コンクリート造…耐震性を確保しやすい

建築会社によりできる工法とできない工法があります。一般的には以下の通りです。


  • 大手ハウスメーカー …木造、パネル、鉄骨
  • 工務店 …木造
  • 建築事務所 …なんでも

上記はあくまで目安で、建築会社によって異なります。


木造の家は弱いと思われがちですが、自然素材である木材は地震の揺れを逃がしてくれる役割があるので一概には言えません。しっかりとした構造計画をたてれば鉄骨造や鉄筋コンクリートと同等の強度を設計することは十分に可能です。


反対に鉄骨造や鉄筋コンクリートは耐震性が確保しやすい反面、建築費用が高くなりやすいので注意しましょう。


制震と免震とは?


日本は地震大国なので、日本に建てる住宅は地震対策が必要です。耐震性は地震に対していかに強いかを表しますが、制震、免震という考え方もあります。


制震とは、ダンバーと呼ばれる装置を利用して揺れを制御することです。地震の揺れを吸収して建物を守る効果があります。比較的どのような工法にも設置することができるのが特徴で、公共施設、住宅、橋、道路などで使用されます。


免震とは、建物と基礎の間に空間をつくり、揺れが直接的に建物へ伝わるのを防ぎます。ビルに採用されることが多く、地震の揺れが建物に及ぼす影響を最小限に抑えることができます。


ちなみに日本の伝統家屋は床を高くすることで、免震に近い役割を果たしています。


制震・免震は対応している建築会社が限られます。工務店では対応が難しいケースが多く、ハウスメーカーでも元々の商品に設定されていなかったら採用できないかもしれません。


繰り返しの地震に強いか


地震に強い住宅を建てるうえで重要になるのが、繰り返しの地震にも強いかどうかです。


繰り返しの地震への強さを靭性ともいいます。もっと簡単に言うと、建物の粘り強さです。ほとんどの建物は接合部が傷んで強度が低下するため、接合部の強度はとても重要になります。


制震・免震は建物への負担を減らすため、繰り返しの地震にも強くなります。特に免震は、横揺れだけでなく縦揺れにも高い効果がのぞめるので効果的です。


保証で選ぶ


建物の保証は住んだあとに安心できる大切な要素です。どのようなことに対してどれくらいの期間の保証があるのかを確認しましょう。


保証はハウスメーカーが最も充実しているケースが多いですが、保証の対象になっているのは意外と限定的な項目です。安心して住み続けるためには何が重要なのかを把握しておきましょう。


構造と雨漏りの保証は義務


新築住宅には「瑕疵担保責任」とよばれる保証が義務付けられています。


瑕疵担保責任は、住宅が契約通りの状態や品質が維持されていない場合に保証するもので、構造上の瑕疵や雨漏りが対象です。対象期間である10年間以内にもしものことがあれば建築会社が責任を持って修繕をしないといけません。


これとは別に建築会社が定めている保証もあるので、予め確認しましょう。


保証よりも保険の方が重要


構造の瑕疵、雨漏りの瑕疵はもちろんとても重要な項目です。ただ、実際はこれに該当するような事態が発生するケースは少ないです。新築で雨漏りした家ってあまり聞かないですよね。


これらは瑕疵担保責任履行法という法律もあるので、保証に関しては最低限の基準が満たされておけばそこまで困ることはないでしょう。住んだあとに実際に気になるのは保証よりも保険です。


火事や水害、落雷、ひょう災などの天災は実際に直面すると取り返しがつかないほどの大事である可能性があります。これらは火災保険でしっかりカバーできるようにしておきましょう。


また、手厚いプランになると破損事故や汚損事故に対する保険もあります。「壊した」「汚した」に対する補修工事が火災保険で適用できるので、これはかなり安心できます。


また、地震保険も必須です。地震に強い家を建てたから地震保険は入らなくてもいいという方もいますが、地震保険は加入するべきです。


その理由は地震が原因で様々な二次災害が起きるからです。たとえば、地震が原因で起きた火事の保険は火災保険ではなく、地震保険が適用されます。地震保険に入っておらず火災保険だけだと、地震が原因で起きた火事に対する保険はおりません。


白蟻のメンテナンスは絶対


白蟻工事は構造を守るために必ず行いましょう。


住宅に長く住むことを考えたときに、一番やっかいなのが白蟻の被害です。白蟻工事が必要なのは木造建築のみと思われがちですが、鉄骨もコンクリートも必要です。


白蟻保険に加入する方法もありますが、防蟻工事を行う必要があります。白蟻の被害があったら建物は内部から蝕まれている状態なので復旧は非常に困難だからです。


断熱性で選ぶ


地球温暖化問題が深刻になり電気やガスなどの単価が上がっている今、なるべくエネルギーを消費しない省エネ住宅を建てることはとても重要です。


断熱性能が高い住宅はランニングコストだけでなく、建築費用も抑えることもできます。一定の断熱性能を満たすことで建築援助金がもらえる制度があるからです。


断熱性能を数値化する性能評価制度やBELS評価制度なども普及し、今現在は国をあげて省エネ住宅の建築を推進する動きになっています。


光熱費が上がっている今、高い断熱性は必須


地球温暖化の影響もあり、エアコンを使う機会は以前よりも増えました。また、冬に使う石油ストーブの燃料は、価格が年々上昇しています。断熱性の高い家は室内の温度を一定に保つ効果があるので、年間を通じて光熱費を抑えることができます。


断熱性能が高い家は、室内全体が魔法瓶のようなものです。冷暖房で保った快適な室温は外気の影響を受けにくく、年間を通して快適に、安く過ごせます。


省エネ住宅にはたくさんの援助策あり

  

こどもみらい補助金と呼ばれる、子育て支援を目的とした補助金があります。これは、2050年に始まるカーボンニュートラルが関係しており、省エネ住宅を促すことで若い世代の家づくりを補助する仕組みとなります。


また、ZEH補助金と呼ばれる、ZEH基準の家を建てる際に支給される補助金があります。しかし、上記のような省エネ住宅よりも20%以上の高い省エネ性能が求められ、政府は新築住宅を2030年までにこの基準をクリアすることを目指しています。


これらの省エネ基準は建築会社によっては対応していない場合があるので、大手ハウスメーカーや建築家に事前に相談しましょう。


プランの自由度で選ぶ


プランの自由度が高いと思い通りの間取りが実現します。


間取りの検討段階で、構造の問題や社内基準の事情でできない間取りが存在するからです。特にハウスメーカーは規制が多いためできないことが多い傾向にあります。


設計事務所は最も自由度が高いです。構法や建築資材を自由に変え、要望やコストにあったプランを提示することができます。


間取りにこだわるならプランの自由度で選びましょう。


規格プランか自由設計か


大手ハウスメーカーは規格プランに沿った住宅を得意としています。規格化することで設計や施工の効率化が可能だからです。ブランドイメージを守らなければいけないハウスメーカーは、一定の品質を保つ必要があるため規格の方が都合が良いのです。


規格プランは全く変更ができないものから、少しの変更ならできるものまで様々です。契約したあとに間取り変更がしたいのにできないということにならないように事前に確認しましょう。


会社独自のルールがあるかどうか


ハウスメーカーは会社独自のルールを設けています。法律で決まっている基準のほか、ブランドイメージを確立するための耐震性や保証のためです。性能を重視した安心の家づくりをしたい方にとっては独自のルールは安心材料になります。


しかし、独自のルールがあるということはそれだけ制約が多いとも言えます。プランやデザインにこだわるならデメリットになってしまうのです。プランにこだわりたいなら独自ルールの少ない建築会社を選びましょう。


デザイン力で選ぶ


外観もインテリアもデザインにはこだわりたいですよね?


良いデザインに囲まれると自然といい気分になるものです。特に現代はSNSでたくさんの住宅デザインに関係する写真が見れます。誰しも自慢できるようなデザインの家に憧れるはずです。


デザインを整えるのは簡単ではありません。窓のデザインは間取りと関係しますし、外壁のデザインはコストと大きく関係します。見た目だけでなく、機能やコストを同時に考えて行う必要があります。


その難しい作業を実現させるのが建築家の仕事です。


デザインにこだわるなら建築家がおすすめ


ハウスメーカーや工務店のデザインは良くも悪くも統一されており、そのデザインを大きく変えることは簡単ではありません。資材や規格を優先し、機能性重視の建築を行うことが多いからです。するので、決まった形の家になってしまいます。


もし家づくりの際にデザインにこだわりたいのであれば、建築家に相談することをお勧めします。特に外観に関しては、見たこともないようなこだわったデザインの家をつくることができます。


個性を出しやすい自由設計


家を建てるなら、人と違う家にしたいと思いますよね。


個性を出したいなら、一から考える自由設計がおすすめです。


また、自由に資材を選ぶことで個性も出せます。珍しい樹種の床、珍しい形のキッチン水栓などは一気にインテリアの雰囲気を変えてくれそうです。


評価制度を用いれば性能面も安心


「住宅性能評価制度」という国土交通省が発行している評価書がありますが、これは新築で家を建てる時に申請可能な制度です。デザインだけの家は、性能面で不安を感じるかもしれないので、国の評価制度を利用することで手抜き工事なども防ぐことができます。


また、建築家の基準だけで家を建てるのではなく、これらの評価制度を利用することで、デザイン面だけでない安心安全な家づくりをしている建築会社の選び方の基準になります。また、メンテナンスの時や売りに出すときにも活用できるので、申請を検討するのも良いかもしれません。


まとめ:プランとデザインに拘るなら建築家がおすすめ


これまで建築会社の選び方の基準や注意点を解説してきましたが、プランやデザインの自由度でいけば圧倒的に建築家に依頼することをお勧めします。ハウスメーカーは、予めプランもある程度設定されており、その基準に沿った家づくりになるので、拘った家づくりをする場合は建築家に相談してみると良いでしょう。


また、建築家との家づくりは一から作り上げるので、その時には予め予算を決めておくと、建築家もプランが組みやすいかもしれません。そして、それに応じてデザインを一緒に考える事ができます。また、建築家はプランやデザインに応じた建築会社の選び方を知っているので、まずは気軽に相談してみてくださいね。

前へ 一覧へ戻る 次へ

この記事をシェアする

Contact Free

お問い合わせはこちら

家づくりに関するご相談、ご質問は
お気軽にお問い合わせください。