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建築コラム

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家を守る

2022.12.28

水まわりの動線や収納をチェック!建築家が教える使いやすい水まわりについて

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家づくりで水まわりや収納の検討はとても重要です。


動線が悪くて使い辛い、収納が足りなくて片付かないという失敗談が少なくないからです。スムーズに家事ができなければ、日頃のストレスもたまりやすくなってしまいますよね。


そこで、水まわりを計画する際の注意点やおすすめ提案を建築家が紹介します。

建築家は住宅の使い勝手を熟考して計画したうえで、入居者の実際の使い勝手を聞いているため参考になると思います。


具体的にご紹介するのは以下の7点です。


  • キッチン
  • 洗面脱衣室
  • ランドリールーム
  • トイレ
  • セカンド手洗い
  • クローゼット
  • 物入れ

キッチン


建築家がおすすめするキッチンの提案は以下の4点です。


  • まとめ買いができるパントリー
  • マグネットパネルで調理器具を壁につける
  • きれいに使えるセンサー水栓
  • 深型の食洗機

まとめ買いができるパントリー


キッチンにはまとめ買いができるようなパントリーを設けましょう。


買い置きができるパントリーがあれば必要な食品を一度に買うことができます。そうすると買い物に行く手間を省くことができ、なおかつ安いときにまとめ買いをすることができます。


大きなお米や瓶、日持ちの良い缶詰や麺類は一度にまとめて買っておくと便利です。ビールを飲む習慣のある人は24缶入りのダンボールで買うことができます。

また、大きなパントリーは使いやすいです。小さなスペースに押し込んだパントリーはどこに何があるのかがわからなくなります。そうすると気づかないまま賞味期限が切れていたなんていうことになるかもしれません。


大きなパントリーを設けて家事の負担とストレスを減らしましょう。

マグネットパネルで調理器具を壁につける


コンロやシンクのまわりはマグネットパネルを貼りましょう。


マグネットパネルを貼るとマグネットを取り付けることで調理器具、キッチンペーパー、ボトル、スパイスなどを置くマグネットホルダーをつけることができます。


マグネットは固定のフックなどと異なり全て外すことができるので掃除のときに便利です。


キッチンまわりはパネルやタイルを貼るのが一般的ですが、マグネットパネルにすることでキッチンがとても使いやすくなります。

きれいに使えるセンサー水栓


センサー水栓にすると水栓をきれいな状態に保ったまま使用できます。


濡れた手で水栓に触らなくて済むので、水栓に水垢がつきにくくなるからです。水栓についた水垢に悩まれている方は多いのではないでしょうか。


センサー水栓には他にもメリットがあります。生地をこねて手が汚れているときなどレバーに触れずに水が出てきますし、自動で止まるタイプにしておくと出しっぱなしの心配がありません。


センサー水栓にするとキッチンの使い勝手が飛躍的に向上します。

深型の食洗機


食洗機は深型をおすすめします。


浅型の食洗機は大皿、菜箸、おたま、まな板などが入りきらないことが多いからです。


また、洗い物が多いときなど浅型の食洗機では一度に全ての洗いものが入りきらない可能性も高くなります。食洗機は少しでも大きい方が洗い物の手間を軽減してくれるのです。


海外製の引き出しタイプも大容量で使用しやすいですが、初期コストやメンテナンスコストがかかるため選択には注意しましょう。容量が十分であれば、深型の食洗機の方がおすすめです。


洗面脱衣室


建築家がおすすめする洗面脱衣室の提案は以下の3点です。


  • 室内物干しと兼用する
  • タオル以外も置ける収納
  • 洗濯ものがたためるカウンター

室内物干しと兼用する


脱衣室は室内干し空間と兼用しましょう。


なぜなら脱衣室でそのまま洗濯物を干すことで家事動線が短縮できるからです。洗濯物をベランダや屋外まで持っていく手間がなく、洗濯機から直接取り出しながら干すことだってできます。


また、室内干しのスペースを別の空間で確保する必要がなくなるので、スペースの節約にもなります。その分部屋や収納を大きくしたり、建物をコンパクトに設計したりすることもできます。


干している洗濯物が邪魔になるというデメリットもありますが、洗濯をする時間帯によっては気にならないというご家庭も多いのでは。ランドリールームを設ける前に、脱衣所と兼用ができないかを考えましょう。

洗濯ものがたためるカウンター


室内干しを設けたときは洗濯物がたためるようなカウンターを設けましょう。


カウンターがあれば、乾いた洗濯物をその場でたたむことができるためスペースを取りません。カウンターがなければ乾いた洗濯物をたためるところまで一旦移動することになってしまいます。


洗濯物をたたむ以外にも、カウンターはアイロンがけや着替えを置く棚として使用することもできます。洗濯用の洗剤を詰め替えるときなどもカウンターがあると便利です。


脱衣所には多目的に使用できるカウンターを設けましょう。

タオル以外も置ける収納


脱衣所にはタオル収納が必要ですが、タオル以外も置けると便利です。


下着やパジャマが置けるとお風呂から出てそのまま着ることができるからです。お風呂に入る前やお風呂から出た後にクローゼットまでいく手間を省くことができます。

また、洗濯物を収納するときも家族全員分が一か所にまとまっていると収納もしやすいです。室内干し兼用の脱衣所なら、洗う、干す、たたむ、しまう、を同じ部屋ですることができます。


使い方によってどのような収納計画にするか検討しましょう。扉付きの収納は湿気を防げるのがメリットですが、使い勝手はオープンの棚の方が優れています。オープンの場合はかごを使用すると見た目もすっきりと収納ができます。


できれば家族全員分の部屋着が収納できるくらいの収納を脱衣所に設けましょう。

ランドリールーム


建築家がおすすめするランドリールームの提案は以下の通りです。


  • 脱衣所からの動線を考慮する
  • クローゼットへの動線を考慮する

脱衣所からの動線を考慮する


ランドリールームは脱衣所からの動線を考えましょう。


脱衣所からすぐに行ける場所じゃないと使い勝手が悪いからです。脱衣所のすぐ隣にランドリールームを併設することができれば動線は抜群です。


場合によっては洗濯機は脱衣所でなく、ランドリールームに置いても良いと思います。その際脱衣所には脱衣かごのみを置く計画になります。


せっかくランドリールームを設けるなら脱衣所のすぐ近くに設けましょう。

クローゼットへの動線を考慮する


ランドリールームはクローゼットへの動線も意識しましょう。


クローゼットへの動線がスムーズだと洗濯物の収納がとてもしやすいからです。


洗う、干す、たたむ、収納する、という動線がスムーズだと毎日の洗濯の負担がかなり軽減されます。


できれば、脱衣所、ランドリールーム、クローゼットを隣同士に設けて徹底的に家事動線を短縮しましょう。

トイレ


建築家がおすすめするトイレのおすすめ提案は以下の3点です。


  • 自動洗浄機能
  • 節水型を選ぶ
  • 衛生的に使えるセンサー水栓

自動洗浄機能


トイレ便器は自動洗浄機能付きの商品を選びましょう。


トイレ便器は汚れがつきにくい工夫があらかじめ施されているものがほとんどですが、自動洗浄機能が付くことでより便器掃除がより楽になるからです。


たとえばTOTOのネオレストは便器内で除菌水を作って便器内やノズルを自動洗浄するので衛生的です。除菌水は水道水を電気分解して作るため薬剤を補充する手間なども不要です。

また、パナソニックのアラウーノは補充した洗剤で常に泡を作るためお掃除が楽です。泡があることで飛び跳ね防止効果もあるため便器の周辺も衛生的です。


トイレの掃除は日常生活の大きなストレスになりがちです。少しでも楽になるような商品を選びましょう。

節水型を選ぶ


便器は節水型を選びましょう。


毎日の利用を考えると、節水能力の違いで水道代に大きな差が出るからです。


一般的なトイレ便器の流水量は、大4.8リットル、小3.6リットル程度ですが、節水タイプはさらに1.0リットル少ない水の量で洗浄します。

1日に10回流すとすると、1日に10リットル、1年で3650リットルの節水ができます。

衛生的に使えるセンサー水栓


トイレの手洗いはセンサー水栓にすると衛生的です。


トイレの後、通常のレバー水栓だとまだ洗っていない手でレバーに触り、手を洗った後にまたレバーに触らなければいけないからです。


また、濡れた手でレバーに触るためキッチン同様に水栓が汚れやすくなります。


衛生面とお掃除面を考えるとトイレの手洗いもセンサー水栓にすることをおすすめします。

セカンド手洗い

建築家がおすすめするセカンド手洗いの提案は以下の3つです。


  • 玄関の近くに設ける
  • ハンドソープを置けるようにする
  • 壁は水はね対策を

玄関の近くに設ける


玄関の近くにセカンド手洗いを設けましょう。


玄関の近くに手洗いがあると帰宅後すぐに手洗いうがいをすることができます。


特に子どもへの手洗いうがいの習慣化に有効です。口うるさく言い続けるよりも、自然と習慣になるような動線をつくることの方が大事です。


帰宅直後に手洗いうがいがしやすいように玄関近くにセカンド手洗いを設けましょう。

ハンドソープを置けるようにする


セカンド手洗いにはハンドソープが置けるか確認しましょう。


ハンドソープが置けなければきちんと手を洗うことができず、結局洗面室まで行って手を洗うということになってしまうからです。


セカンド手洗いはコンパクトな商品を使うこともありますが、少しでも物が置けるスペースがあるか確認しましょう。


タオルやハンドソープのストックなど少しの収納もあるとベターです。

壁は水はね対策を


壁は水はね対策をしましょう。


セカンド手洗いは一般的な洗面化粧台と比べて小ぶりなボウルが多く、壁との距離が近くなり壁に水がはねやすいからです。


壁の仕上げはキッチンパネルにすると最も掃除が楽ですが、デザインを重視するならタイルがおすすめです。コストを優先するときは水まわりに適したビニルクロスなどを選定しましょう。


洗面台よりも壁に水がはねやすいのでセカンド手洗いの横の壁仕上げは注意しましょう。

クローゼット


建築家がおすすめするクローゼットの提案は以下の3点です。


  • ハンガーパイプの長さを確保
  • バッグや帽子を置ける棚
  • 家族みんなが利用しやすい位置に

ハンガーパイプの長さを確保


ハンガーパイプの長さを確保しましょう。


収納不足で最もよくある事例が「洋服掛けが足りなかった」だからです。ハンガーパイプの長さが足りないと、本当はハンガーにかけて収納したいけどたたんで収納せざるを得ない、という状況になります。


ハンガーパイプがどれだけ必要かは人によって異なるので、事前にどれだけの長さが必要なのか確かめておきましょう。


クローゼットで最も重要なのはハンガーパイプの長さをしっかり確保することです。

バッグや帽子を置ける棚


クローゼットを計画する際はハンガーパイプと合わせて棚を計画しましょう。


棚があるとバッグや帽子を置くことができるため、クローゼットで身支度がしやすくなります。


棚は奥行きが45センチあると色々な物を置きやすいです。高さは床から90センチ〜160センチの位置が適当です。


クローゼットまわりの小物は意外と多く、棚があるととても便利です。

家族みんなが利用しやすい位置に


クローゼットは家族みんなが利用しやすい場所に設けましょう。


家族全員の服が一箇所にあると使いやすいだけでなく、収納や管理も楽だからです。


クローゼットは玄関やリビングの近くにあると最も便利です。2階や寝室つながりのクローゼットはストックを置くには便利ですが、普段からよく使う洋服は生活スペースの近くにあった方が良いです。


クローゼットの位置次第で使い勝手が大きく変わるということを覚えておきましょう。

物入れ


建築家がおすすめする物入れの提案は以下の通りです。


  • 掃除機充電用のコンセント
  • 収納するものを決めておく

掃除機充電用のコンセント


物入れには掃除機充電用のコンセントを設けましょう。


コンセントがあるとスティック掃除機やお掃除ロボットの充電をすることができます。


目立たない場所にお掃除家電を収納できるのがメリットです。物入れにコンセントがなければ、コンセントがあるリビングや廊下などに掃除機を置くことになってしまいます。


物入れの中にはお掃除家電の収納を考えたコンセントを設けましょう。

収納するものを決めておく


物入れはある程度収納するものを決めておきましょう。


あらかじめ収納するものを決めておかなければ、棚のサイズが合わず無駄なスペースができてしまいます。


たとえば前述のスティック掃除機は高さが130センチほど必要なのに対して横幅は30センチもあれば十分です。つまり、大きい横幅の棚の下にスティック掃除機を置くと、その横にかなりのスペースが空いてしまいます。


置くものに合わせて収納のサイズや棚の計画を考える必要があります。


まとめ


水まわりや収納について建築家のおすすめ提案を紹介しました。


家事は毎日の作業で、休みなくずっと続きます。そのため、少しでも使いやすい計画ができればとても大きな効果が生まれて肉体的にも精神的にも負担を減らしてくれます。


計画段階で検討することで解消できることはたくさんあるはずです。使いやすい水まわりや収納を計画するために、建築家のおすすめ提案を参考にして下さい。

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