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2023.01.20

建築家が教える賃貸住宅の選び方!賃貸でも快適に暮らすために必要なこと

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家を建てたくてもまだ建てられないという人は多いです。家づくりはお金がかかり、タイミングも重要。早く新築に住みたくても賃貸住宅での生活を余儀なくされることもあるはずです。


でも賃貸とはいえ、なるべく快適に過ごしたいですよね?

賃貸住宅の選び方によってはストレスを減らし、快適に暮らすことができます。


そこで今回は建築家がおすすめする賃貸住宅の選び方をご紹介します。これから賃貸を探す方、引っ越しを検討されている方はもちろん、将来家を建てる方にとっても参考になる内容です。


快適な家には賃貸も持ち家も関係ありませんからね。


具体的な項目は以下の通りです。


  • 日当たりが良いか
  • 洗濯物は干しやすいか
  • 音は響きやすいか
  • 床材をチェック
  • 水まわり設備をチェック
  • 視線は気にならないか
  • 防犯性は良いか

以下にて解説していきます。



日当たりが良いか


日当たりが良いかを確認しましょう。


日当たりが悪かったら冬場寒いだけでなく、昼でもくらいため照明をつけることになるかもしれません。電気を余分に消費するだけでなく、暗い部屋で過ごすのは気分も沈んでしまいます。


重要なことは以下の3つです。

  • 居室に日差しを取り込む窓がついているか
  • 建物の向きは南向きか(方角をチェック)
  • 南側に高い建物がないか

居室に日差しを取り込む窓がついているか


居室に日差しを取り込めるような窓がついているかチェックしましょう。


賃貸住宅はコストダウンで窓を減らしている物件も多数あるからです。間取りだけでは確認できない内容もあるため、必ず現場見学をしましょう。


また、南向きの窓かどうかも確認が必要です。北側の窓からは日差しが入ってきませんし、東側や西側の窓からは夏場でも強い日差しが差し込んでしまいます。


窓の確認は基本中の基本です。

建物の向きは南向きか(方角をチェック)


建物の向きをチェックしましょう。居室の窓が南側に向いている建物の方が良い条件です。


南側の窓は理想的な日当たりを確保できるからです。窓が南側にあると、冬は日差しが差し込み、夏は日差しがカットされるため理想的な室内環境になります。


また、南向きは洗濯物も乾きやすいです。たとえば東向きの間取りは、昼から全く日が当たらなくなるためなかなか洗濯物が乾きません。


南向きの賃貸住宅は東向きや西向きに比べて家賃が高いですが、その価値は十分にあるでしょう。

南側に高い建物がないか


南側に高い建物がないかチェックしましょう。


南向きの住宅で大きな窓があったとしても、南側に高い建物があれば日当たりはのぞめないからです。


日当たりが悪いと、

  • 寒いから暖房をつける頻度が多くなる
  • 暗いから照明をつける頻度が多くなる
  • 暗いから気分まで暗くなる
  • 洗濯物が乾き辛い

などのデメリットが考えられます。


日当たり確認において周辺建物のチェックは必須です。

洗濯物は干しやすいか


洗濯物が干しやすいかどうかをチェックしましょう。


なぜなら賃貸住宅で洗濯物を干せる場所は限られているからです。ベランダに洗濯物が干し辛ければ、毎日の洗濯が苦痛になってしまいます。


洗濯物が干し辛い原因としては、

  • 道路からの視線が気になる
  • 隣家からの視線が気になる
  • 排気ガスが気になる
  • 周囲の臭いが気になる
  • 防犯上気になる
  • 日当たりが悪い

などが考えられます。


現場見学をしたとき、どこで洗濯物を干すのかを確認してみましょう。


屋根がかかっていることも大事


洗濯物を干す場所に屋根がかかっているかをチェックしましょう。


屋根がかかっていなければ急な夕立で洗濯物がずぶ濡れになってしまうからです。干したまま外出する可能性などを考えると、洗濯物干し場の屋根はとても重要です。


室内で洗濯物を干せるか


室内干しの需要はかなり高まっています。


空気汚染や花粉などを気にする人が多いからです。

また、排気ガス、飲食店の排気、工場の排気・煤煙などの影響が大きい敷地条件の場合は室内干しを余儀なくされます。


ランドリールームがあれば最も良いのですが、そこまでの配慮がなされた賃貸住宅はめったにありません。実際は居室を物干し部屋にしたり、寝室の中に物干しをしたりするパターンがほとんどだと思います。


このとき、物干しのスペースを考えておかなければ家具の配置が窮屈になったり、スペースが足りずにリビングで物干しをすることになったりします。


室内干しを検討する必要があるのか、そのスペースがあるのかを考えましょう。


音は響きやすいか


壁や天井の防音性能に注目し、音が響きやすいか確認しましょう。


ほとんどの集合住宅は、隣や上の階の音に悩まされ、下の階に対して迷惑をかけていないか不安を感じながら生活することになります。音の問題は集合型の賃貸住宅における最大の課題と言っても過言ではありません。


音は比重が軽い木造住宅が最も響きやすいです。また、古い建物ほど壁の中に吸音材が十分に入っていないことが多いため注意が必要です。


音の響きやすさについての確認は難しいですが、注意して現場見学をした方がよいでしょう。


ラグを敷くと音は響きにくくなるが……


ラグを敷くと下階への音は響きにくくなります。しかし、効果があるのは軽いものを落としたときなどの「軽量床衝撃音」に限られます。


建物の床に響く音は「軽量床衝撃音」と「重量床衝撃音」に分かれます。


軽量床衝撃音は前述の通り、軽いものを落としたときの騒音です。文房具や軽いおもちゃ、スプーンなどを落としたときになる音です。

一方重量床衝撃音は走ったときの足音や子どもがソファなどから飛び降りたときの音などです。


重量床衝撃音は床の厚みを厚くすることでしか対策ができないので、建築でしか対策ができません。住んだ後に対策ができるのは軽量床衝撃音、つまり軽い物音だけです。

床材をチェック


床材をチェックしましょう。


床材次第で居室の快適さは異なるからです。床材は、無垢フロア、挽板フロア、突板フロア、シートフロア、CFシートに分かれており、質感、クッション性、メンテナンス性などに差があります。


無垢フロア


無垢フロアは属にいう「一枚もの」です。木の厚みがそのまま床材の厚みとなっています。


最も木質感に優れるのがこの無垢フロアで、見た目も足触りも高い質感があります。


調湿性があるため、湿気の多い梅雨時期でも床の表面がさらさらしています。また、木にはクッション性があるので、長時間の立ち作業でも脚が疲れにくいという特徴もあります。


木をぜいたくに使っているため、材料費がかかるのがデメリットです。また、天然木のため傷が入りやすく、水に弱く、変形、床鳴りなどの不具合も起きやすい傾向があります。


コストやメンテナンス性の観点から、賃貸住宅で使用されているケースはあまり多くありません。

挽板フロア


無垢フロアの次に高級なフロアに分類されるのが挽板フロアです。


挽板フロアは2ミリほどの厚さの製材を合板に貼り付けています。表面に見えるのは2ミリ厚の天然木なので、無垢との見分けはほぼつきません。


下地が合板のため無垢フロアよりも傷や変形に強く、メンテナンスにかかる手間が少ない特徴があります。デザイン性とメンテナンス性のバランスを重視したい方におすすめのフロアです。


突板フロア


突板フロアは0.2〜0.6ミリほどの薄い製材を合板に貼り付けた床材で、最も一般的なフロア材です。


傷に強く、狂いが少なく、コストも安価なことから住宅の床材として幅広く使用されています。


ホットカーペットなどの暖房器具も使用できるため、床材のことをあまり気にかけずに生活ができます。ただし、あくまで木なので、水をこぼしたり雨が吹きこんだりしたときはすぐに拭きとる必要があります。


床材を検討する際、「突板フロアが床材のスタンダード」と考えて問題ないでしょう。


シートフロア


シートフロアは合板にシートを貼り付けているフロアです。


表面が本物の木ではないため、メンテナンスが不要で水に強いことが特徴です。日焼けの心配もほとんどありません。


ただし、劣化がないわけではありません。摩擦や汚れで表面のシートが汚れたり傷んだりします。

また、シートなので調湿作用が全くありません。湿気が多いときはシート表面に湿気が付着するため、歩くとベタベタしやすいです。


メンテナンスは楽ですが、風合いや足触りなど質感が劣るのが難点です。


CFシート


CFシートはクッションフロアとも呼ばれます。塩化ビニルの長尺シートを合板に貼り付けるフロアです。


クッションフロアと言う名の通り、ビニルの表面にクッション材が裏打ちされています。適度な弾力があるため、膝をついても痛くありません。


しかし、ビニルの床なので傷や熱には弱く、ベタつきやすいという特徴があります。拭き掃除などをしっかり行ってもシート自体が劣化していたらなかなかきれいになりません。


貼り替えが容易なので賃貸住宅にはしばしば利用されていますが、木質フロアに比べると居住性はかなり落ちるので注意しましょう。


水まわり設備をチェック


水まわり設備をチェックしましょう。


どのような水まわり設備が入っているかによって、日常の使い勝手やお掃除が大きく変わってきます。


具体的にチェックを行う水まわり設備は以下の通りです。

  • キッチン
  • お風呂
  • 洗面化粧台
  • トイレ便器
  • 給湯器

キッチンでチェックすること


キッチンでチェックすることは以下の通りです。


  • コンロはガスかIHか
  • 作業台の広さ
  • 作業台の高さ
  • 収納量

コンロはガスかIHか


コンロがガスコンロかIHコンロかを確認しましょう。


IHコンロの場合は専用の調理器具が必要です。フライパン、鍋、やかんを買い直す必要が出てくるかもしれません。


また、使い方も全く異なります。IHは鍋やフライパンなどの調理器具をあまり動かさず、ボタンを押して調理をする感覚です。煮物は支障なく調理できますが、フライパンを振って炒めるような中華料理はし辛いでしょう。


その反面掃除は楽です。五徳(ごとく)がないため、テーブルを拭くような感覚でコンロを掃除できます。


料理やお掃除のことを考えてコンロをチェックしてみましょう。


作業台の広さ


作業台の広さを確認しましょう。


サイズが小さいキッチンだと作業スペースがほとんどないからです。まな板を置いたら他には何も置けないというサイズの作業台も珍しくありません。


キッチンの幅と作業スペースの関係は以下の通りです。

  • キッチン幅240〜270センチ……作業スペース60〜80センチ
  • キッチン幅210〜240センチ……作業スペース40〜60センチ
  • キッチン幅150〜210センチ……作業スペース20~30センチ

キッチンでの作業を考えてサイズを見てみましょう。

作業台の高さ


作業台の高さをチェックしましょう。


作業台の高さが自分の体格に合っていなければ作業がしづらいからです。高すぎるキッチンは肩こりの原因になり、低すぎるキッチンは腰痛の原因になります。


一般的には「身長÷2 + 5センチ」がベストの高さだと言われます。

この計算だと、160センチの身長の方は85センチのキッチンがベストです。(160÷2+5=85)

ただしこれはあくまで目安で、人によって手の長さや楽な姿勢は様々なので今使用しているキッチンの高さとも比較して確認しましょう。


一般的な賃貸住宅は日本人の女性の平均身長に合わせて、80〜85センチの高さで計画されていることが多いです。

収納量


収納量を確認しましょう。


キッチンの下部収納、吊戸収納、食器棚を置くことができるスペースがキッチンの収納量になります。


調理器具や食器に加え、食品の買い置き、お米、ビン類なども収納する必要があります。

キッチンの幅が255センチ、食器棚スペースが150センチほどあれば最低限の収納は十分ですが、収納量が満たない場合は物を減らすか、別の収納場所を考えないといけないかもしれません。


キッチンまわりは物があふれやすいため、収納量のチェックは必須です。

視線は気にならないか


道路側や隣家からの視線が気にならないかをチェックしましょう。


周りからの視線が気になることが大きなストレスになるからです。具体的には、

  • カーテンが開けづらい
  • 洗濯物が干しづらい
  • 防犯が気になる

などが考えられます。


下階に住む場合は道路からの目線が気になります。カーテンはもちろん、よしず、すだれ、日除けシェードなどを使って目隠しをするのも効果的です。

上階の場合は同じ高さの隣家からの目線が気になると思います。下階に比べると目線が気になりにくい分、見落としがちなので注意しましょう。


また、目隠しで有効なのがカッティングシートです。カッティングシートは窓の内側になる目隠しシートで、値段も安く誰でも簡単に貼りつけることができます。


視線が気になるか、対策は簡単にできるかを確認しましょう。

防犯性は良いか


防犯性が良いかを確認しましょう。


場所によっては、防犯次第で安心して住めるかどうかは大きく変わるからです。


チェックするのは以下の3つです。

  • エントランス
  • 視界
  • カギ

エントランスをチェック


マンションのようにエントランスが一箇所の集合住宅は防犯上優れているといえます。


管理人が常駐していること、防犯カメラがついていることなども重要です。


周りから視界は通るか


二階建てのアパートなどの場合は、道路や周辺からの視線が通るかどうかを確認しましょう。


見えすぎるのは気になってしまうかもしれませんが、防犯上は死角がなく周りから見えた方が安心です。


カギはディンプルキーがおすすめ


カギはディンプルキーだと防犯性が高いです。


ディンプルキーとは表面にでこぼこした窪みがついているカギです。通常のギザギザした鍵と比べてピッキングされづらく、複製も簡単にはできないカギです。


また、入居者が変わったタイミングで鍵を変えているかどうかも確認しましょう。入居者が変わるたびに鍵交換を必ず行う不動産会社もあれば、言わないとやってくれない不動産会社もあります。自己負担になったとしても費用は1〜3万円ほどです。


防犯のために、鍵の種類と鍵交換の有無は必ず確認しましょう。

まとめ


建築家が教える賃貸住宅の選び方をご紹介しました。


結局のところ、戸建住宅でも賃貸住宅でも快適な家の条件は変わりません。賃貸住宅選びで気をつけたようなことを家づくりでも気をつければ快適な家になります。


賃貸住宅での生活を快適に過ごしたい方はもちろん、将来的には戸建に住みたいと思っている方も家づくりの練習だと思って参考にして頂けたら幸いです。

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