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建築コラム

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家のこだわり

2023.01.31

家づくりでありがちな失敗とは?建築家が教えるよくある失敗例を紹介

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家づくりをしている方は、どのような失敗例があるのか気になりますよね?


実際に起きた失敗を知ることで、同じ失敗をしないように注意することができます。


この記事では建築家が以下について解説します。


  • 家づくりで起きがちな失敗
  • 具体的な失敗例
  • 失敗しないために重要なこと

家づくりで失敗したくない方はこの記事を参考にして、理想の家づくりを実現してください。


家づくりで起きがちな失敗


家づくりで起きがちな失敗は主に以下の4つです。


  • 間取りの失敗
  • 収納の失敗
  • 家具の失敗
  • 詳細部分の検討不足

以下にて詳しく解説します。

間取りの失敗


間取りの失敗はなんとしても避けたいですよね。


間取りは家づくりの基本です。家の使い勝手、面積、建築費用などに大きく影響します。

また、間取りの失敗は対処が非常に難しく、あとから部屋数を足したり部屋を広くしようとするとリフォームになってしまいます。


無駄なくつくった間取りの方が、使いやすくて建築費用も安い。加えて余計なリフォームをせずに済むので、費用を抑える意味でも完成度の高い間取りをつくる必要があるでしょう。


具体的には以下のような間取りの失敗が考えられます。


  • 要らない部屋があった
  • LDKの広さが不満
  • 日当たりが悪い
  • 風通しが悪い

要らない部屋があった


住んだ後、「この部屋は要らなかったのでは?」となるケースがあります。


暮らし方を深く考えず、なんとなくで4LDKの間取りにすると要らない部屋が出てくるかもしれません。部屋数は目的に合わせて計画することが大切です。


たとえば和室の目的はなんでしょうか。客間、仏間、将来の寝室、ゲストルーム、遊び部屋など様々な目的が考えられると思います。

このとき、目的に合わせて以下の検討を行いましょう。


  • 客間→ダイニングテーブルで良いのでは?
  • 仏間→スリムな仏壇や壁掛けの仏壇をリビングに置いても良いのでは?
  • 将来の寝室→フローリングでも良いのでは?
  • ゲストルーム→2階の予備部屋でも良いのでは?
  • 遊び部屋→リビングが広い方が良いのでは?

これらを考えた上で和室を設けるかどうかを検討すれば、無駄な部屋にはならないはず。


和室に限らず、すべての部屋で目的と代替案を考えてみましょう。


LDKの広さが不満


LDKの広さが希望通りにいかなければ家づくりの満足度はかなり下がってしまいます。


なぜなら、ほとんどの人にとってLDKは家の中で最も長く過ごす空間だからです。家の中で最も優先すべき部屋なのは間違いありません。


LDKの広さは16〜20帖ほどが一般的ですが、広さ感覚は人それぞれです。モデルハウス見学や住宅見学を積極的に行い、どれくらいの広さが必要か事前に検討しましょう。


また、家具の検討も重要です。ソファやダイニングテーブルが空間に対して大き過ぎると、広い部屋でも窮屈に見えます。部屋の広さと家具サイズのバランスも考慮しましょう。


他の場所が少し狭くなったとしても、LDKの広さは妥協しない方が良いです。


日当たりが悪い


日当たりにこだわって設計しましょう。


日当たりが悪いと寒くて暗いので、居室が快適ではなくなるからです。照明やエアコンをつける時間が長くなることで経済面でも健康面でもデメリットがあります。


日当たりを確保するためには南側の隣家からなるべく距離を離すことが大切です。そのためには土地の形状や隣家の位置、高さなどを正確に調べ、土地に合わせて建物を設計する必要があります。


可能な限り日当たりを確保して、明るくて温かい家にしましょう。


風通しが悪い


風通しを意識した間取りにする必要があります。


風通しが悪い家は空気がよどみやすく、

  • 室内の空気環境が悪くなる
  • 湿気がたまりやすくなる
  • 空調をつける時間が長くなる

などのデメリットが生じるからです。


風通しを確保するためには風の流れを意識した2方向に窓を設ける必要があります。窓は1つだけでは思うように風は抜けません。


また、2つの窓に高低差があるとより効果的です。階段や吹き抜けの窓を利用しましょう。


収納の失敗


収納の失敗談はとても多いです。


計画の段階では収納量や収納場所についてイメージをしづらいことが原因でしょう。洋服や消耗品の収納スペースがどれだけ必要か、どこにあったら最も使いやすいかについて明確に答えを持っている人は少ないですよね。


具体的には以下のような失敗が多いです。

  • クローゼットの収納が足りない
  • キッチンまわりの収納が足りない
  • 本棚や小物の収納が足りない
  • 収納の位置が使いづらい

以下にて詳しく解説します。

クローゼット収納が足りない


クローゼットの収納は不足しがちです。


最初はちょうど良い収納量だったとしても、洋服はだんだんと増えていくからです。また、子どもの成長とともに洋服もサイズが大きくなり、量が増えていきます。


ウォークインクローゼットなら最低3帖、できれば4帖ほどあれば理想的です。ウォークインクローゼットが取れなくても部屋の端や廊下などにハンガーパイプが施工できれば問題ないので、必要な長さをしっかり確保することが大切です。


洋服をすっきり収納するために、クローゼットが足りているかどうか確認しましょう。


キッチンまわりの収納が足りない


キッチンまわりの収納が足りないケースが多々あります。


キッチンは、調理器具、食器、家電、食品、消耗品などで物があふれやすいからです。キッチンと食器棚で収納が足りるかどうかを確認する必要があります。


まずはキッチンの収納量を確認しましょう。お鍋やフライパンを収納する引き出しに加え、カトラリーやスパイスボックスのチェックも必要です。


食器棚の確認も必要です。食器棚は幅が何センチ確保できるか、家電を置くスペースと食器を入れるスペースがどれくらいあるかを調べましょう。お皿やコップを種類ごとに分けて入れるとかなりスペースを取るので注意しましょう。


そのほかに食品やキッチンにも食器棚にも入りきれないものを入れる物入れがあると便利です。特に食品に関しては、お米やビン、お酒など場所を取るものもたくさんあります。


キッチンは収納次第で作業性は大きく変わります。収納スペースを十分に確保して使いやすいキッチンにしましょう。


本棚や小物の収納が足りない


本棚や小物の置き場は必ず必要です。


なぜなら、どのような家でも少量の書類や文房具、薬などは必ずあるからです。リビングにちょっとした物入れがあればこれらが片付きます。


反対にリビングに何も収納がなければ、置き家具が増えたり、物が出しっ放しになったりする原因になります。

書類、本、小物の量に合わせて引き出しや棚を計画する必要があります。


本が多くないならそこまで難しい収納計画にはならないはず。リビングをすっきり使うためにも本棚を設けましょう。


収納の位置が使いづらい


収納は位置まで考えて作らないと使い勝手は良くありません。


収納の位置が悪いと、収納スペースがあっても使わなくなるからです。使い勝手や動線を考えて収納を設ける必要があります。


たとえばクローゼット。クローゼットは着替えること、洗濯が終わって畳んだ洋服を収納することを考えて位置を検討する必要があります。クローゼットは寝室の横に設けることが多いですが、果たしてそれがベストかどうかはよく考えましょう。


収納は量だけでなく、どこに設けるかも重要です。


家具の失敗


家具の失敗はしばしば起こります。


原因は、家具屋さんで家具を選んでいるときに間取りやインテリアのことが正確にわからないからでしょう。


たとえば150センチ幅のテーブルを買うかどうか迷っているとき、

  • このテーブルを置いたら横の通路がどれだけ残るか
  • 椅子を引いたときに壁と当たらないか
  • となりのカーテンとの相性はどうか

などを考えて選ぶのが理想的です。


レイアウト検討不足


家具の失敗の一つにレイアウトの検討不足があります。


間取りを検討する段階でどのような家具をどのようなレイアウトで置くかを考えておかないと、

  • 通路が狭くなる
  • 希望する家具のサイズが置けない
  • どの向きで家具を置いたら良いのかわからない

などの問題が出てきます。


たとえば対面キッチンでリビングダイニングを計画する際、ダイニングテーブルとソファは隣同士に配置されます。

この配置の場合、テーブルのサイズ次第でソファの位置が決まります。


テーブルのサイズが大きくなればソファとテレビとの距離が縮まり、ソファに座ったときにテレビが見づらくなる可能性があります。


この場合、間取りを検討する段階で

  • テーブルのサイズと置き方
  • ソファのサイズと置き方
  • テレビのサイズ

を把握しておく必要があります。全てのサイズが大きければ、LDKの広さ自体を大きくしないとうまくレイアウトできないからです。


間取りを検討する段階で家具も検討しておかなければレイアウトで失敗してしまいます。


張地やカラーの検討不足


張り地やカラーの検討不足があります。カーテンと椅子の生地を合わせたつもりが少し違った、木部は床に合わせたつもりだったが少し違った、といった具合。


これは記憶に頼って選んでしまったことが原因です。家具を選ぶときは必ずサンプルで選びましょう。


家具屋さんで家具を選ぶなら、家の図面と、床やカーテンなどのカットサンプルなどを持っていきます。そして家具も実物やカットサンプルと照らし合わせて相性を確認します。


カタログや写真でもある程度の確認はできますが、カットサンプルで確認するのがベストです。


なんとなくの記憶に頼ると失敗してしまう可能性があります。色の確認はサンプルで行いましょう。


照明の位置は家具次第


家具の検討が不十分だと照明の位置にも不具合が出ます。


照明は家具に合わせて配灯するからです。


テーブルのサイズが変わったり、ソファの位置が変わったりすると適切な照明位置も変わります。特にペンダントライトやダウンライトは器具の真下が光が集中するため家具の位置がより重要になります。


良い照明計画をするためにも家具の検討は重要です。


大きすぎにも注意


家具のサイズを検討する際、大きすぎる家具を選ばないように注意しましょう。


家具が必要以上に大きいと部屋が狭く感じてしまうからです。通路部分や家具のまわりにはある程度の余裕がなければ、見た目も使い勝手も良くありません。


オーバーサイズを防ぐために重要なことは、家具を単体で見るのではなく、部屋の大きさからバランスを考えることです。家具だけ見ているとつい大きなサイズを選んでしまうので、部屋の大きさとのバランスを考慮したうえで家具を検討する必要があります。


大は小を兼ねるという発想は捨てて、家具は最適なサイズで選びましょう。


詳細部分の検討不足


詳細部分の検討不足でデザインが台無しになることがあります。


住宅にはコンセントや換気扇など、どこかに設置しなければいけないものがあるからです。これらは必要悪なのでなるべく目立たない場所に計画する必要があります。


具体的にはコンセントや換気扇のほか、換気口、エアコン、室外機、排水マス、電気の引き込み線などが考えられます。


かっこいい外観、内観をつくるためにはこれらをいかにして目立たせなくするかが重要です。


室外機の位置に注意


間取りを検討しているとき、室外機の位置に注意する必要があります。


間取りが決まればエアコンの位置、室外機の位置が決まるからです。


室外機の位置を計算に入れておかなかったら、玄関の横や道路側の目立つ場所に室外機が来ることも珍しくありません。また、室外機は音も気になります。隣家の窓の正面ではないかなども確認しましょう。


間取りができたらまず室外機の位置をチェックしましょう。初期段階ならいくらでも調整ができます。


換気口に注意


換気口が思わぬ位置につくと外観やインテリアのデザイン性が悪くなってしまいます。


今は24時間換気の設置が義務付けられており、たくさんの給気口と排気口をつける必要があります。このたくさんの換気口を隠すのは難しく、意図しない場所に来てしまうことがあります。


換気口は壁付きよりも天井付きの方が目立ちづらいので、可能なら天井付きに変えましょう。

またどうしても壁に設けなければならないときは、上下階で位置をそろえる、左右で高さをそろえるなどすると、換気口も目立たなくなります。


きれいな建物をつくるためには、換気口がなるべく目立たないようにする必要があります。


コンセント


コンセントの失敗もたくさんあります。


使い勝手の良い位置を考えていると、アクセント壁に設置をしてしまうことがあるからです。


タイルを貼ったりカラーを変えたりしたアクセント壁は、コンセントの設置は避けた方が良いです。避けられない場合はコンセントの色を変更するなどして目立たないようにしましょう。


コンセントはなるべくたくさん設けたいところですが、余計なところにつけてしまわないように注意が必要です。


排水マスはアプローチを避ける


外部の排水マスが玄関前のアプローチに設置してしまう失敗があります。


給排水工事と外構工事を合わせて考えるのがとても難しいからです。


排水マスがアプローチにくることを避けるためには、住宅を外構計画まで含めてトータルで設計し、なおかつ設計者が注意をしていないと起こりうる失敗です。

また、水道業者と外構業者との連携を図る現場監理がとても重要になります。


給排水と外構を一緒に考えて、排水マスの失敗を防ぎましょう。


まとめ


家づくりでありがちな失敗をご紹介しました。


自分たちで対策が可能な失敗もありますが、中には建築会社次第で決まってしまうものもあります。こだわりを持っていない建築会社は失敗とすら気づかない可能性もあります。


住みやすくてデザインが良い住宅をつくるためには建築家の細部にわたるこだわりが必要です。

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