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建築コラム

To the ideal life

電気配線

2023.02.14

建築家が教える電気配線計画のコツ!注文住宅で電気配線をすっきりさせるために必要なこと

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電気配線計画のコツを建築家が解説します。


電気配線計画と聞くと、難しい話のように聞こえますよね?

電圧、電流のような専門的な話ではないのでご安心ください。


コンセントやリモコンなど、生活に必要な電気設備のお話です。


家づくりをしている方や、これからする方は、以下のような希望や疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。


  • コンセントやリモコンをすっきりさせたい
  • 電気設備計画ってよくわからない
  • よくわからないから、手っ取り早くいい感じに計画できるコツだけ知りたい

この記事ではこのような悩みを解決します。


コンセントやスイッチを目立たなくしてデザインをよくし、かつ、使い勝手の良い場所や数を計画するためのヒントなどを、詳しく説明します。

デザインもよく、使い勝手もよい電気配線を計画したい方はぜひ読み進めて下さい。


電気配線設備ってなんのこと?


電気配線設備は、コンセント、照明、スイッチ、分電盤、換気扇、排気口給気口、煙感知器などを指します。


どれも生活には欠かせない大事なものばかりです。


建築物は電気を使用することで、明かりをつけたり、空調をしたり、換気をしたりして室内環境を便利かつ快適に保っています。


その根幹を担っているのが電気設備です。

電気配線計画が重要な理由


電気配線計画はとても重要で、完成度の高いプランニングが必要です。


なぜなら、不十分な計画では使い勝手が悪く、また部屋のデザインが悪くなるからです。


たとえば、以下のような経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。


  • コンセントが少なくて延長コードをたくさん使っている
  • コンセントの場所が悪いので家電が置きづらい
  • スイッチの位置が悪く、照明を付けるまでに真っ暗な部屋を歩かないといけない
  • 目立つ位置に換気扇があり、かっこ悪い

これらは電気配線計画を丁寧にプランニングしていれば防げたでしょう。


工事中は変更が難しい


『計画段階でそこまで考えるのは難しいから、気づいたときに現場で修正すれば良いのでは?』


こう考える方もいるかもしれません。しかし、工事中の変更は難しいことがほとんどです。


その理由は以下の通り。


  • 電気配線は壁や天井を施工する前に行うから
  • 電気配線はユニット配線だから
  • 換気扇の位置は構造や申請の関係で変えられない

電気配線は壁や天井を施工する前に行うから


電気配線は壁や天井を施工する前に行います。


つまり、上棟が終わり、家がまだ骨組みの状態でコンセントや換気扇の施工にすぐ入るということです。


壁や天井がまだ貼られていない状態で完成形をイメージして位置をずらすのは高いスキルが必要です。プロの現場監督ならまだしも、建築経験のない方には難しそう。


電気配線工事のタイミングは意外と早く、現場で検討をする時間はほぼありません。


電気配線はユニット配線だから


電気配線はユニット配線というシステムを用いられることがほとんどです。


ユニット配線とは、工場で配線計画通りの配線を作って現場に納入する施工方法です。配線の位置や長さを予め計算するため、図面通りに計画をたてていきます。


現場で微調整はできますが、そのときは調整の手間費用が発生します。ユニット配線通りなら決められた位置に配線を固定するだけですが、位置を変えたり増設したりする場合は現場での結線が必要になるからです。


現場での調整作業が多かったらユニット配線の意味がなくなってしまうのです。


換気扇の位置は構造や申請の関係で変えられない


換気扇の位置は構造や申請の関係で簡単には変えられません。


その理由は耐力壁と換気計算です。


建物を支える壁を耐力壁といいます。壁付の換気扇は壁に穴を開けるため、耐力壁に換気扇がつくと構造上弱くなることも。換気扇の位置が変わると有効な耐力壁の位置やバランスが変わってしまい、最悪の場合構造検討ごとやり直す必要もあります。


次に換気量計算です。2003年7月以降は全ての建築物に24時間換気の設置が義務付けられ、確認申請には換気量の計算書の提出が必要とされています。換気扇の位置や数、種類を変更すると計算書の内容が変わる可能性があり、これも最悪の場合は確認申請のやり直しを指摘される可能性があります。


意外にも、換気は構造、申請に関わる重要項目。簡単に変更はできないことを覚えておきましょう。


電気配線をうまく計画するコツ


電気配線をうまく計画するためのコツをご紹介します。


電気配線を計画する際には、どれだけ生活をイメージできるかが重要になります。コンセントを入れたいものをリストアップしたり、どの照明をどこで点けたり消したりするかをイメージしたり、自動化したいものはタイマーや人感センサーを検討したりする必要があります。


とても大変な作業ですが、しっかり検討することでコンセントやスイッチがとても使いやすくなります。建築家がおすすめする具体的な方法は以下の通りです。


  • 生活導線を考える
  • 今の生活で不便なところをチェックする
  • 増やしすぎない
  • 家具の配置を確認する
  • 位置や数だけでなく、高さも考える

以下にて順番に解説していきます。


生活動線を考える


生活動線を考えることですっきりして使いやすい電気配線設備が計画できます。


コンセントやスイッチは、どこかについていればOKというわけではなく、最適な位置になければ使い勝手が悪いからです。そのために重要なのが生活動線を考えることです。


たとえば、コード式の掃除機を使うことを考えたら、LDKの真ん中あたりや部屋の入り口付近にコンセントがあると使いやすいはず。階段は、最下段と最上段付近にコンセントがあった方が良いでしょう。


また、LDKの照明は帰宅時につけやすく、就寝時に消しやすいようにスイッチの位置を検討しなければいけません。動線が考慮されていない位置にスイッチをつけてしまうと、真っ暗な部屋を何歩か歩かないとスイッチにたどり着けなくなってしまいます。


毎日よく使うコンセント、スイッチは生活動線を考える必要があります。


今の生活で不便なところをチェックする


今の生活で不便なところをチェックしましょう。


今の生活の使いにくいスイッチ、足りないコンセント、目立つ換気口やエアコンは、便利ですっきりした電気配線設備を計画するための大きなヒントになるからです。


使いにくいスイッチは、どこにあれば使いやすいかを考えましょう。理想の位置をシミュレーションしたら計画中の図面に転用し、位置を改善します。

テレビまわりで延長コードやタップを使用しているなら、コンセントを追加することで配線がすっきりします。


賃貸でも古家でも、電気設備の検討にはとても良い参考物件です。


増やしすぎない


コンセントやスイッチの増やし過ぎに注意しましょう。


増やしすぎると建築費用が高くなり、見た目も悪くなるからです。念のために……とつけすぎるのはおすすめしません。


目的を明確にすると適切な数で計画ができます。

コンセントなら、使う家電を考えます。掃除機、扇風機、空気清浄機、加湿器、アイロン、パソコンなど。どこで何を使うか、生活をイメージしながらコンセントの数や位置を検討しましょう。

スイッチは照明を点けるタイミングと消すタイミングを考えます。帰宅時や就寝時はもちろん、テーブルで書き物をするとき、テレビを見るときなども考慮しましょう。


コンセントやスイッチが不足すると不便ですが、多ければ良いという問題でもありません。


家具の配置を確認する


家具の配置を確認しましょう。


家具の配置次第で、コンセント、エアコン、照明の適切な位置が変わるからです。


たとえば、ダイニングテーブルの近くにコンセントを計画するとします。ホットプレートを使用したり、テーブルでパソコンを利用するときに便利なコンセントです。このコンセントの適切な位置や高さはテーブルのサイズや脚の位置がわからなければ良い設計ができません。


家具はできる限りサイズや配置を決めておき、適切な位置にコンセントを計画しましょう。


位置や数だけでなく、高さも考える


位置や数だけでなく、高さも考えましょう。


実際に使用するときは足元でなく、高い位置にある方が使いやすいからです。エアコン、洗濯機、冷蔵庫のコンセントが適切な高さの位置にあるのは当然ですが、その他にも高さを変えた方が良いコンセントはたくさんあります。


具体例をご紹介します。


パソコンカウンターのコンセントは足元にあった方が配線はすっきりしますが、カウンターの上にあった方が抜き差しや床の掃除はスムーズにできます。

また、アイロン掛けに使うコンセントはアイロン台の横にある方が使いやすいはずです。使用するアイロン台の高さに合わせてコンセントを計画すると良いでしょう。


その他にも、スマホの充電、クリスマスツリー、加湿器、プリンターなどのコンセントはどうでしょうか。置く場所や使い方によって高さを変えることも検討してみるとコンセントはより使いやすくなるはずです。


電気配線でありがちな失敗


電気配線のありがちな失敗をご紹介します。


よくある事例なので、同じ失敗をしないように注意しましょう。

コンセントが近くにない


コンセントがほしいところにないという失敗です。


前述の通り、使う家電をイメージできていないとこの失敗は起きやすいです。


見落としがちな家電は以下の通り。

  • 扇風機
  • アイロン
  • 空気清浄機
  • 加湿器
  • ノートパソコン
  • プリンター
  • スピーカー
  • クリスマスツリー
  • スタンド照明

いかがでしょうか。該当するものがあれば、どこに置くか、専用のコンセントはあるかをチェックしてみましょう。

スイッチの位置が悪い


スイッチの位置が悪く、使いづらいという失敗です。


主に、点けることしか考えていない場合にこの失敗が起きやすいです。点ける場所と消す場所を考慮してスイッチの位置を決める必要があります。


よく見落としがちなのは以下の通りです。

  • 就寝時に消すLDKの照明のスイッチ
  • 出掛けるときに消すLDKの照明のスイッチ(帰宅時に点けるときは一部で良くて、出掛けるときに消すときは全部消したい)
  • 勝手口から室内へ入ったときに点ける照明のスイッチ
  • 各寝室から操作できる廊下の照明のスイッチ

スイッチの計画が難しい廊下はセンサースイッチを使用する方法もあります。

生活を意識しながらスイッチの位置を考えてみましょう。


照明で照らされた換気口やエアコン


照明で換気口やエアコンを照らしてしまうことがあります。


照明を部屋の天井の中央でなく、壁や天井を照らすように設置したときには注意が必要です。


以下のような照明を計画したときは、照らされる面に換気口、エアコン、その他にも煙感知器、コンセント、スイッチなどの電気設備がついていないか注意しましょう。

  • 天井を照らす間接照明(コーブ照明)
  • 壁を照らす間接照明(コーニス照明)
  • 壁を照らすダウンライト
  • 壁を照らすブラケットライト

照明は良いものも悪いものも強調してしまうので、注意が必要です。


コンセントやスイッチの色が壁の色とマッチしていない

部屋のインテリアをデザインする際によくある失敗として、コンセントやスイッチなどのプレートの色が部屋のインテリアと合っていないことが挙げられます。

アクセントで目立つ内装にしたときほど注意が必要です。コンセントやスイッチの色が、せっかく選んだ壁の色調とぶつかってしまうと、悪目立ちしてしまいます。

コンセントやスイッチの色は壁に合わせてホワイトにすることが多いですが、壁の色に合わせてブラウン、ブラック、グレーなどのカラーも検討しましょう。目立つ箇所は、金属やマットな仕上げを使用してアクセントにしてもよいでしょう。

壁の色とコンセント・スイッチの色は必ずチェックして、違和感がないかどうかを確かめましょう。


まとめ


電気配線計画のコツや失敗例をご紹介しました。


家づくりは、設計図や部材の決定など細部にまでこだわることが多いですが、電気配線は利便性やデザインに大きな影響を及ぼします。


電気設備計画は家づくりの仕上げ作業とも言えます。電気をつける、電化製品を使うといった基本的な生活の動作がしづらいと、大きなフラストレーションとなっていしまうからです。


電気設備は、どのような建物においても不可欠な要素です。家づくりは長丁場ですが、後悔しないように電気設備はしっかり計画しましょう。

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