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建築コラム

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2023.02.01

家づくりの打ち合わせってどんな感じ?建築家が解説する理想の住まいのために重要なこと

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家づくりの打ち合わせってどんなことをやるのか気になりますよね。


家づくりに関する打ち合わせの詳細や、理想の住まいをつくるために大切なことなどを、建築家からの視点で解説します。


この記事を読めば打ち合わせの内容、期間、事前準備など、家づくりに関するあなたの不安が解決します。理想の住まいを実現するためには打ち合わせはとても重要。家づくりの打ち合わせの全貌を学んで、理想の住まいを計画しましょう。


  • 家づくりの打ち合わせはどんなことをやるの?
  • 打ち合わせはどれくらい時間がかかるの?
  • 打ち合わせに向けてやっておいた方が良いことは?

このような疑問を持っている方はこの記事をぜひ読み進めてください。


打ち合わせがなぜ必要か


家づくりの打ち合わせには以下のような目的があります。


  • 広さや間取りの希望を実現するため
  • 好みの外観やインテリアに近づけるため
  • 自分たちのニーズに合わせて部材などを選ぶため
  • 使い勝手が良い家にするため

打ち合わせの中で検討する項目はたくさんあります。どれだけ濃密な打ち合わせができるかで住宅の完成度が決まるといっても過言ではありません。


たとえば、間取りの打ち合わせをする中で和室の使い勝手を考えるとします。和室の目的が子どもの遊びスペースか寝室かで設計は全く異なるものになります。

子どもの遊びスペースならリビングの隣に設けるべきです。独立した部屋で遊べるようになるのは小学校高学年から。安全面から考えても目が届く場所のほうが安心です。

一方で寝室ならテレビの音や生活音が気にならない場所のほうがよいでしょう。お互いが気をつかって生活をするとストレスがたまりやすくなってしまいます。


打ち合わせの中での気づきはたくさんあります。計画をより良いものにするためには打ち合わせに時間と労力を割かなければいけません。


家づくりの打ち合わせの内容


家づくりの打ち合わせの内容をご紹介します。

具体的には以下の通りです。


  • 打ち合わせの期間について
  • 間取りの検討
  • 部材決め

以下にて詳細に解説します。


打ち合わせの期間について


打ち合わせの期間はどれくらい必要?という疑問は多くあります。

結論からいうと、約3か月ほどです。


もちろん計画内容や個人の性格、打ち合わせができるペースにもよるので一概には言えません。ただ、週に一度打ち合わせをして、間取り、部材、インテリアや外構を検討するには、ほとんどの人が約3か月の期間がかかります。


最近はリモートでのミーティングも一般的になり、参考になる動画も多いため、打ち合わせがしやすくなったともいえます。しかし、情報が多くなったばかりに検討事項も多くなり、時間がかかっている側面もあるかもしれません。


良い家を建てるために、3か月は家づくりの打ち合わせに注力しましょう。


間取りの検討 


間取り打ち合わせのポイントは大きく分けて4つあります。


  1. 土地に合わせる 
  2. 動線や収納の使い勝手を考える
  3. デザインを考える
  4. 家具のレイアウトを考える

以下にて順番に解説します。


間取りをつくるときは、土地の条件に合わせて設計することが大切です。土地の形状、日当たり、風通し、高低差、隣家など、土地の細部にまで気を配ることで、土地に合った間取りを設計することができます。また、その地域の法令や建築基準法なども考慮しなければいけません。土地の分析は専門知識を必要とする高難易度の作業なので、信頼できる建築家に任せる必要があります。


次に動線や使い勝手を考える必要があります。動線とは、人が空間を行き来するときの動き。動線次第で家の使い勝手は大きく変わります。たとえば、帰宅時の玄関からの動線、料理や洗濯をしているときの家事動線などは特に重要な生活動線です。収納の位置などを考えるときも、この動線がとても重要になります。


そして重要なのがデザインです。間取りは壁や窓の大きさや位置に影響を与えるため、家そのもののデザインに大きく関係します。きれいな外観を作るとき、窓はとても重要ですし、インテリアのアクセントに装飾するときは壁がとても重要です。


最後に家具を考えます。家具と間取りは表裏一体。家具のサイズが間取りに合っていなければ、空間が狭く感じたり、動線や使い勝手が悪くなったりします。また、レイアウトが変わるとコンセントや照明の適切な位置も変わります。


間取りは様々なことを考えながら作らなければいけません。あとになって、「スイッチをつける場所がなかった」「収納のスペースが不足していた」ということにならないように計画する必要があります。


部材決め


部材は以下の6種類に分けることができます。


  1. 外装材
  2. 内装材
  3. 住宅設備
  4. 電気設備
  5. インテリア
  6. 外構

以下にて詳細に解説します。


外装材の検討


外装材は屋根、外壁、窓、軒天、玄関ドアなどについて検討が必要です。これらは家の外観だけでなく、耐久性にも影響するためとても重要です。


特に屋根や外壁は、外観の影響も大きく、いざというときの補修費用も高額になるため最も重要です。また、軒天材も意外と目立つので、木製や木調にするととても雰囲気がよくなります。


窓や玄関ドアは断熱性に大きく影響します。家の熱はほぼ窓や玄関ドアから逃げるので、健康で経済的に暮らすためにも高断熱の窓にすることは欠かせない要素になります。


その他、防犯性、お掃除性、メンテナンスコストなどを考慮して外装材を選ぶ必要があります。


内装材の検討 


内装材は床、壁、天井、建具、収納部材などを決める必要があります。


中でも床材は最も重要です。床材は、インテリアの印象を左右し、快適性、遮音性、断熱性にも影響を与えます。そのため、色合いや素材選びには細心の注意が必要です。どのようなメンテナンスが必要かも確認しておきましょう。


また、壁や天井は面積がとても多いため、見た目だけでなく、イニシャルコストやメンテナンスコストにも考慮して商品を選定しましょう。タイルや木材をアクセントとして使用して、空間をデザインするのも家づくりの大きな楽しみの一つです。


建具は面材や取っ手の確認のほか、開口幅の確認やカギの有無の確認が必要です。開口幅によってはベッドや洗濯機が入らないということもありえるため、使用予定の家具や家電も確認しましょう。


収納は家の中で散らからない環境を維持するために重要で、使いやすい収納にするために収納部材の検討が必要です。使いやすい棚、キャビネット、クローゼットは収納スペースを有効活用することができ、片付けや家事をサポートしてくれます。


デザイン性も重要ですが、日頃の使い勝手を考えて内装材を選ぶ必要があります。


住宅設備の検討


住宅設備は大きく分けて、キッチン、ユニットバス、洗面化粧台、トイレ、手洗いの5つです。


キッチンは最も打ち合わせに時間がかかる住宅設備です。コンロ、レンジフード、ワークトップ、シンク、キャビネット、食洗機など、検討項目がとても多いためです。最近では、天然素材のハードカウンターや輸入食器洗い乾燥機などの需要が増え、キッチンのデザインや利便性に投資する人も増えています。


ユニットバスは、床や壁、水栓の機能にも配慮して選びましょう。暖房・乾燥機付き換気扇は、気温が低くても浴室を温かくして体への負担を減らすことができます。また、浴室内の水気や洗濯ものは、乾燥機で乾かせるというメリットもあります。お掃除を考えると、浴槽や床の色は水垢が目立たない白やベージュがおすすめです。


洗面化粧台はサイズに注意しましょう。幅750〜900が一般的ですが、2人で同時に使用することを考えると幅1200、ボウルを2つつけるなら幅1600ほどのサイズが必要です。また、水栓やボウルの形状によってデザインやお掃除性が大きく変わります。


トイレはスタンダード商品とハイスペック商品の差がかなりあります。スタンダードな商品でも節水や掃除性はかなり良くなっていますが、ハイスペック商品になると室内暖房や自動洗浄機能がついています。


最後に手洗いです。手洗い器はトイレの中にあることも多々ありますが、玄関ホールにあると外から帰宅したときに使用できるので理想的です。見える場所に設けるときはカウンター、ボウル、壁のデザインにもこだわって計画しましょう。


電気設備の検討


電気設備には給湯器、発電機器、エアコン、換気扇、コンセントやスイッチなどがあります。


給湯器は光熱費に大きく影響します。ガス式でも電気式でも、高効率タイプを選択してエネルギー消費が少ない設備にすることをおすすめします。もっともエネルギー効率が高い給湯器でエネファームというものがあります。コージェネレーションシステムとも呼ばれ、天然ガスと空気から熱と電気をつくり出し、給湯と発電を同時に行う給湯器です。


太陽光発電をつける家はどんどん増えています。省エネが叫ばれるこの時代、自家発電ができることはとても重要なことです。蓄電池をつければ発電した電気を貯めることができ、エネルギーの自給自足も可能になります。建築費用は高くなりますが、先行投資として検討すると大きなメリットがのぞめる機器です。


エアコンは省エネタイプを計画しましょう。空調機器は省エネ性能ごとに区分されており、「い」「ろ」「は」の順番で性能が判断できます。「い」が最も省エネ性能が高いため、たとえ機種代が高くても、「い」区分のエアコンを選択することで高い省エネ効果がのぞめます。


24時間換気の設置は2003年7月以降義務付けられています。部屋のいたるところに排気口や給気口が設置されるため、目立たないように計画することが大切です。また、クローゼットや玄関など、空気がこもりやすい場所の換気を忘れないようにしましょう。


コンセントとスイッチは使い勝手を考慮して位置や数を決める必要があります。数を追加しても大きな費用はかかりませんが、ほしい位置になければかなりのストレスを感じてしまうので細心の注意を払って検討しなければいけません。


インテリアの検討


インテリアは照明、カーテン、家具などの検討が必要です。


照明は、インテリアデザインにとってとても重要です。明るさを確保したり、雰囲気を演出したり、デザインツールとして使われたりするため、様々なことを考えながら器具選びをする必要があります。

カーテンは、部屋のデザインに大きな影響を与える重要なアイテムです。カーテンは、閉めれば空間の大部分を占め、部屋に強い視覚的インパクトを与えるからです。カーテンの色合いや素材によって、その場の雰囲気が大きく変わり、カーテンのスタイルによっては使い勝手や雰囲気も全く違うものになります。


家具はインテリアデザインに欠かせない要素です。家具は部屋の見た目に大きな影響を与え、雰囲気を一変させることができます。部屋のインテリアに合っていること、他の家具と調和していることのほかにも、サイズや素材などの特徴を考慮して選ぶことが肝心です。


外構の検討


外構は植栽、アプローチ、門まわり、駐車場などについて考えます。


植栽計画は、印象的な外観をデザインするために必要なものです。植栽を建物とのバランスや季節感などを考慮して計画すると、視覚的に印象的な空間を作り上げることができます。植栽計画を立てる際には、方角(日当たり)、土壌の種類、水はけ、などを考慮し、アプローチのイメージ、お庭のイメージに沿った樹種を選定します。落葉・常緑のバランスも重要です。


アプローチは道路から玄関までの動線計画です。植栽や照明の視覚効果が最も効果的に表れるため、デザインを重視して計画しましょう。安全性を考慮して通路の幅、床の仕上げなどを検討することも忘れてはいけません。


門まわりは空間の境界や建物の外観を構成する重要なパーツです。門柱や門扉の種類によって外観は大きく変わり、建物の印象すらも変えてしまいます。郵便ポストや宅配ボックス、表札、インターホンなども門まわりに計画する必要があり、デザインの検討には時間がかかります。


最後に駐車場です。自家用車の利用が多い人は、いかに駐車がしやすい駐車場にするかはとても重要です。駐車場は住宅の外観の大部分を占めるため、外観にも大きな影響を与えます。また、屋根をつけるかどうかは利便性や車の保護に大きく影響します。


さらに、駐車場の外観も工夫してみましょう。色や質感、建具などを工夫して、個性的でおしゃれな雰囲気に仕上げましょう。駐車場周辺に美しい草木などの景観要素を取り入れるのもよいでしょう。


まとめ


家づくりに関する打ち合わせの内容について解説しました。


住宅の打ち合わせは、思い通りの住まいを実現するために重要ですが、検討項目が多く、とても時間がかかります。スムーズに打ち合わせを進めて理想の家づくりを実現するためには、自分たちの好みを正確に把握して効率よく打ち合わせを進める必要があります。

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