建売住宅はどうやって選べば良いのかわからない……
この記事ではそのような悩みを建築家が解決します。
建売住宅でも、自分に合った家を探すコツさえ抑えておけば、理想のマイホームに巡り合うことができます。建売住宅を購入した人の意見を聞くと、同じような意見を持っている方が多い傾向に。この記事では建売住宅を選ぶときの注意点を建築家目線で解説します。
建売住宅を購入しようかどうか迷っている方、若しくはこれから家づくりをするにあたって建売住宅も候補に入れたい方におすすめの内容です。
間取りのチェックは最重要
建売住宅を購入する際に、間取りのチェックは最重要項目です。
その理由は、間取りは住宅の使い勝手を左右し、生活に密接に関わってくるからです。
例えば、居室の広さや配置、キッチンやトイレなどの設備の位置などが、日常生活の利便性に大きな影響を与えます。使いにくい間取りはストレスや不便を感じ、使いやすい間取りだと生活が快適になります。
また、間取りは家族構成やライフスタイルに合わせて選択する必要があるため、購入前にしっかりとチェックする必要があります。子供部屋の数、位置、趣味や仕事でスペースが必要かなどはとても重要です。間取りが家族のライフスタイルやニーズに合わない場合、将来的にリフォームや模様替えが必要になる可能性もあります。
建売住宅を購入する際には、購入前に間取りをしっかりとチェックし、自分たちに最適な建売住宅を選ぶことが大切です。
収納は足りているか
建売住宅を購入する際に、収納の確認は重要です。
ほとんどの建売住宅は、収納が少なめだからです。
建売住宅は大量に建設され、間取りが決められている場合があり、収納スペースのバリエーションが限られることがあります。また、利便性よりも販売価格を重視している物件が多いため、建築費用を抑えるために収納は最低限で設計されていることが多々あります。
住宅には日常生活で使うさまざまなものがあり、それらを収納するスペースが必要になります。例えば、衣類や布団、タオルやシーツなどの生活用品、食器や調理器具などのキッチン用品、本や書類、趣味の道具など、さまざまなものを収納する必要があります。
収納スペースが足りないと、これらのものを置く場所がなく、部屋が散らかってしまったり、生活が不便になってしまったりすることがあります。
そのため、建売住宅を購入する際には、収納の確認が必須です。収納スペースが足りないと、生活が不便になってしまうだけでなく、部屋が散らかったり、ストレスを感じたりすることがあります。
生活動線は良いか
建売住宅を購入する際には、生活動線が良いかどうかの確認が非常に重要です。
動線が良い家は、生活のしやすさや快適性を高めることができるからです。
例えば、キッチンで調理した料理をリビングダイニングに持っていく際に何度も曲がらなければならないような間取りだと、料理の運搬に手間取ることになります。また、洗濯物を干すためにバルコニーに行くとき、短い動線でいけない、まっすぐの動線でいけないなどの状況だと手間がかかります。
そのため、建売住宅を購入する際には、間取りの中で動線がスムーズになるように配慮されているかどうかの確認が重要です。特にキッチン、洗面所、トイレ、バルコニーなどの場所の家事動線に注目しましょう。
日当たりは確保できるか
日当たりが良いかどうかの確認も欠かせずに行いましょう。
日当たりが良い家は、明るく快適な生活を送ることができるだけでなく、健康にも良い影響を与えることができるからです。
例えば、日当たりが良くない家は湿気がたまりやすく、カビの発生やダニの繁殖などがおこりやすくなります。また、暗い家は気分を落ち込ませることがあるため、日当たりが良い家で生活することで、気分が晴れやかになり、ストレス解消にもつながります。
日当たりは方角や窓の大きさ、窓の位置だけでなく、隣家の配置、高さなどの影響も受けます。そのため、建売住宅を購入する際には、間取りだけでなく、周辺の建物や樹木による日陰の影響も確認することが重要です。
風通しは良いか
日当たりと同じくらい重要なのが風通しです。
風通しの良い家は、夏場には涼しく、冷房の負担が軽減されるからです。光熱費を抑えることができるだけでなく、健康や環境問題にも配慮できます。
具体的には、窓やドアの位置や方向、開け閉めのしやすさをチェックしましょう。その地域によく吹く風の方向に対して、風の入り口と出口がしっかりと設けられていることが重要です。また、窓がない水回りなどの場合は、換気扇の位置や機能などを確認しましょう。
風通しが悪い家は湿気がたまりやすく、カビやダニの発生など、健康に悪影響を与えることがあります。建物の間取りと合わせて、周辺の環境や風向きも考慮し、風通しの状態を判断することが大切です。
洗濯ものはどこで干す?
洗濯物をどこで干すか確認しましょう。
洗濯物干しは生活に欠かせないものですが、建売住宅は洗濯物干しのスペースまで考慮されていないケースがあるからです。
外部で干す場合は、日当たり、風通しなどが確保できるかを考えます。また、隣家や道路からの視線、周辺の空気環境、ニオイなどをチェックし、洗濯物干しができる環境かどうかを確認します。
室内干しの場合は日当たりを考慮しましょう。日が全く当たらない場所で洗濯物を干す場合は、ほとんど乾燥機などの家電に頼るしかなくなるので、光熱費がかかることを考慮します。
また、浴室乾燥機や衣類乾燥機、乾燥機能付き洗濯機などの電気製品を利用して洗濯物を乾かすという方法もあります。洗濯物を干すスペースがどこにもない場合はこれらのアイテムもおすすめですが、洗濯物の量が多いご家庭は注意が必要です。
建売住宅を購入する際には、洗濯物を干す場所が適切に確保されているかどうかを十分に確認し、快適な生活が送れる家を選ぶことが大切です。
どんなサッシか必ずチェックする
建売住宅を購入する際に、サッシの断熱性能を必ずチェックしましょう。
サッシの性能次第で、快適性や光熱費に大きく差が出るからです。サッシとは、アルミや樹脂、ガラスで仕切られた窓ガラスのこと。サッシは、家の外皮部分で唯一断熱材を入れることができないでもあるため、高い断熱性能が求められます。
サッシの断熱性能が高いと、室内の温度を保ちやすくなります。夏は外の暑さを室内に伝え辛くし、冬は外の寒さを室内に伝え辛くするため、冷暖房費を節約することができます。
また、サッシの断熱性能が高いと、室内の温度差が少なくなるため、快適な室内環境を維持しやすくなります。
また、断熱性能が高いと、室内から外部の騒音を軽減したり、環境負荷を軽減したりするメリットもあります。これらの理由から、高い断熱性能を持つサッシは将来的な建物の資産価値を高めることができるとも言えるでしょう。
高い断熱性能を持つサッシには多くのメリットがあるため、建売住宅を購入する際には必ずチェックしましょう。
どんな床材か必ずチェックする
床材のグレードは必ずチェックしましょう。
その理由は、床材は快適性、デザイン性にとても大きな影響を与えるからです。
グレードが高い無垢や挽板の床材は木目が美しく、デザイン性が高いため、インテリアの雰囲気を良くすることができます。床に合わせた家具やカーテンを取り入れることで、より統一感のある空間を作ることができます。
また、木質感のある床材は、足触りが良く、感触が快適です。床は触れる時間が長いため、床の質感がとても重要。天然木には断熱効果もあるため、夏はヒンヤリし、冬は温かい特徴があります。さらに、天然木には調湿効果があるため梅雨でもベタベタせずにさらさらしています。
天然木の良さを生かした高級な床材は、快適性や耐久性が高いだけでなく、デザイン性にも優れており、住宅の魅力を高めてくれます。
設備次第で家事の負担が変わるので注意
建売住宅は、不動産会社やハウスメーカーがあらかじめ建てて販売する住宅です。このような住宅を購入する場合、設備がどのようになっているか事前にチェックすることが重要です。
なぜなら、建売住宅は既に建てられているため、購入後に設備の変更や改修がしにくいことがあるからです。例えば、キッチンやシステムバスが自分の希望に合わない場合、自分で新しく取り替える必要があるかもしれません。しかし、そうすると追加の費用がかかるだけでなく、時間や手間もかかります。
そのため、事前に建売住宅の設備をチェックして、自分の希望に合った物件を選ぶことが重要です。具体的には、キッチンやシステムバスのサイズや機能、収納スペース、設置場所などを確認することが大切です。また、エアコンやヒーター、給湯器などの設備もチェックしましょう。
以下にて詳しく解説します。
キッチンのサイズの確認
建売住宅を購入する際には、キッチンのサイズをチェックしましょう。
それには以下の3つの理由があります。
- 料理のしやすさ
- 収納スペース
- 家族の利用
- 料理のしやすさ
キッチンが狭いと、料理をする際にスペースが足りなくなってしまいます。例えば、食材を切ったり、調理器具を使ったりする際に、スペースがないと手間やストレスが増えます。キッチンのサイズが大きければ、広々としたスペースで料理ができ、毎日の調理を快適に行うことができます。
- 収納スペース
キッチンには調理器具や食器などを収納するスペースが必要です。キッチンが狭いと、収納スペースが不足してしまうため、物を置く場所を探す必要があります。キッチンのサイズが大きければ、収納スペースも豊富になり、スムーズに料理ができるだけでなく、収納もしやすくなります。
- 家族の利用
キッチンは家族全員が利用する場所であるため、キッチンのサイズが小さい場合、複数人が同時に利用することが困難になってしまいます。例えば、料理をする人がいる場合に他の人がキッチンを通り抜けるのも困難になります。キッチンのサイズが大きければ、家族全員が快適に利用できます。
以上のように、キッチンのサイズをチェックすることは、建売住宅を購入する際に非常に重要です。キッチンのサイズが大きければ、料理のしやすさ、収納スペース、家族の利用など、様々なメリットがあります。
キッチンに食洗機はついてるか
キッチンに食洗機がついているかもチェックしましょう。また、どのような食洗機かを確認することも重要です。
なぜなら食洗機は家事の負担を大幅に軽減してくれるアイテムだからです。食洗機には具体的に以下のようなメリットがあります。
- 洗い物の手間を減らせる
- 衛生的に保てる
- ストレスを減らせる
- 洗い物の手間を減らせる
食洗機があれば、手洗いの洗い物の手間を減らすことができます。特に、家族が多く、食器や調理器具の洗い物が多い場合には、食洗機があると効率的に洗い物を済ませることができます。
洗い物が追い付かずに、食器を買い足す必要も少なくなるため、食器が少なくて済み、収納スペースも少なくて済みます。
- 衛生的に保てる
食洗機には、高温で洗浄する機能が備わっているため、洗い残しの菌や汚れを除菌して衛生的に保つことができます。手洗いの場合には、汚れを完全に落としきれず、菌や汚れが残ってしまうことがありますが、食洗機で洗うことでその心配がなくなります。
- ストレスを減らせる
食洗機があれば、洗い物をする時間や手間が減り、家事の負担を軽減することができます。特に、忙しい家庭では、食洗機があると時間の節約になり、ストレスを軽減することができます。
以上のように、食洗機があるかどうかは、重要なポイントの一つです。快適な生活を送るためには、家事を効率的に済ませることが大切で、そのためには食洗機は必須アイテムといえます。
給湯器の種類
給湯器の種類をチェックしましょう。
給湯器はその種類によってエネルギー消費効率が異なるからです。つまり、光熱費に大きな影響を与えます。
最も一般的な給湯器は潜熱回収型と呼ばれるガス給湯器です。高効率ガス給湯器とも呼ばれ、廃熱を利用することで従来型のガス給湯器よりも高い省エネルギー性を実現しています。
次に注目すべきはヒートポンプ式給湯器です。オール電化の家で採用されるエコキュートがそれにあたり、ヒートポンプユニットでつくったお湯をタンクに貯め、タンク内のお湯を使うという仕組みです。ガス給湯器よりもさらにエネルギー効率が良く、時間帯別の電力プランとの相性が良いという特徴があります。
最後に、燃料電池と呼ばれるエネファームです。コージェネレーションシステムとも呼ばれ、給湯器が発電を行い、その際の廃熱を給湯に利用します。エネルギー消費効率は最も良く、光熱費削減や環境負荷軽減に有効な給湯器として知られています。
その他、家族構成やライフスタイルによっても最適なものは異なります。タンク式のものは容量をチェックして、使い勝手に問題がないかどうかを確認する必要があります。
また、耐久性やメンテナンス性にも注意が必要です。複雑な機械ほど故障リスクは高く、修理費用も高いのは当然なので、長期間使用することも考慮する必要があるでしょう。
以上のように、コストや省エネ性、家族構成やライフスタイル、耐久性やメンテナンス性など、様々な要素を考慮して最適な給湯器かどうかを確認する必要があります。
トイレのグレード
トイレのグレードのチェックも忘れずに行いましょう。
トイレはグレードによって様々な機能に差が出ます。具体的な機能の差は以下の通りです。
- 掃除がしやすい
- 快適なトイレ環境を確保する
- センスの良いデザインにこだわる
- 衛生面の向上
- 掃除がしやすい
ハイグレードなトイレは掃除がしやすい工夫がなされています。自動で除菌水を噴霧するものや、都度便器内を洗剤で洗ってくれるものまで、その種類は様々。掃除がしやすいように便座が移動したり、水面を下げたりできるものもあります。少しでもトイレの掃除が楽になれば、家事の負担が減るというご家庭も多いはずです。
- 快適なトイレ環境を確保する
トイレのグレードによって快適なトイレ環境が確保できるかが変わります。高級なトイレには、室内暖房や、特殊な洗浄機能が備わっており、トイレの快適性を向上させる機能が備わっています。
- センスの良いデザインにこだわる
トイレは、家の中でも重要な場所の一つです。おしゃれな飲食店ほどトイレがきれいで、デザインが良いように、トイレをデザインやセンスにこだわると家の格式は一気に上がります。高級なトイレほど、デザイン性に優れたものが多く、家の内装に合わせたセンスの良いトイレを選ぶことができます。
- 衛生面の向上
高級なトイレには、匂いを抑える機能や、自動で蓋が閉まる機能などもあり、衛生面も高めることができます。
この他にも、高級なトイレは節水や節電に優れたものが多いという特徴もあります。快適性や衛生面、デザイン性に優れているトイレは、住宅の魅力を高めてくれます。
外回りのチェックも忘れずに
建売住宅を購入する際に、外構計画や近隣などの外回りのチェックを忘れずに行いましょう。
駐車場やお庭の使い勝手が悪かったら住宅の魅力が半減してしまうからです。
まずは駐車場が十分かどうかをチェックしましょう。もし、駐車スペースが不足している場合は、追加の駐車場を確保する必要があるため、費用や手続きについても事前に確認する必要があります。路上駐車は近隣へ迷惑をかけ、場合によっては事故につながるケースもあるため避ける必要があります。
また、駐車場の広さも確認する必要があります。いざ車を停めると助手席側のドアが開かないほどのスペースだったというケースも珍しくありません。一台あたり、最低270センチ幅くらいのスペースは必須で、できれば320センチほどはほしいところ。車種や状況によるので、実際に車を停めて確認ができればベストです。
また、隣地からの悪影響がないかどうかをチェックすることも非常に重要です。騒音、振動、日当たり、風通しなどの問題は、後々どうにもできないケースがほとんどです。さらに、視線やニオイなどが気になることもあるでしょう。プライバシーが保ちにくい敷地条件なら注意が必要です。
隣接する住宅と距離が近い場合、隣人トラブルが発生するリスクもあります。生活音が気になったり、視線が気になったり、場合によっては隣家の庭の手入れがされておらず、伸びた雑草や虫に悩まされることもあるかもしれません。お隣さんがどういう人かもチェックが必要です。
以上のように、建売住宅を購入する際には、外回りもチェックが必要です。駐車に問題がないか、隣地からの悪影響がないかどうかをチェックしなければ、快適な生活を送ることができないかもしれません。
まとめ
建築家が解説する建売住宅の選び方を解説しました。
建売住宅でも、要点さえ抑えれば大きな失敗をすることなく、快適な家に住むことができます。しかし、理想を追求すると、自分のライフスタイルに合った家に住むためには、注文住宅で設計する必要があるかもしれません。
建売住宅か注文住宅か悩んでいる方も、ぜひ一度建築家の話を聞いてみることをおすすめします。どのような家なら理想の住まいが実現するかを、家づくりの専門家に相談してみましょう。