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2023.04.05

平屋の魅力を建築家が解説!メリットやデメリット、設計テクニックも紹介

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自分だけの家を建てる際、どのようなデザインや機能性を持たせたいかは大切なポイントです。そんな中、近年注目されている「平屋」は、その魅力を多くの人に伝えています。


本記事では、建築家が平屋のメリットやデメリットを解説し、注意点や勘違いされがちな間違った知識も紹介します。さらに、平屋設計の具体的なテクニックも取り上げます。


これから平屋を建てたいと考えている方や興味を持っている方は、ぜひ本記事を読んで、理想の平屋づくりの参考にしてください。


建築家が解説する平屋のメリット

建築家目線で平屋の魅力を3つのポイントに分けて解説します。それぞれ動線の良さ、建築コストの安さ、使い勝手について詳しく見ていきましょう。


平屋は動線が良い


平屋の最大の魅力は、バリアフリー性に優れていることです。


階段がないため、高齢者や小さなお子様がいる家庭にも安全で安心な住まいになるからです。また、動線がスムーズであるため、家事をする際も無駄な移動が減り、効率的に作業ができます。これにより、生活の質が向上し、快適な暮らしを実現することができます。


動線重視で家づくりをしたい方には平屋がおすすめです。


平屋は建築コストが安い


平屋は、建築コストを抑えることができるというメリットがあります。


階段室が不要なため、総面積をコンパクトに設計できます。また、廊下の面積も最小限に抑えられることで、有効な空間を確保することができます。これにより、建築費用が削減され、予算に合った家づくりが可能となります。


ただし、平屋を建てるためには広い土地が必要。土地代と合わせて考えてどれだけメリットがあるかは検討する必要があります。


平屋は使い勝手が良い


平屋は、掃除がしやすく、部屋の使い方が柔軟に変えられるという利点があります。


例えば、子ども部屋は、子どもが成長した後に物干しスペースや書斎に変えることができます。また、平屋の掃除は、階段を上り下りすることがないため、身体に負担をかけずに行うことができます。


家族のライフスタイルやニーズに合わせて、住まいを柔軟に使いこなすことができるのは平屋の大きな魅力の一つです。


平屋のメリットまとめ


他にも、建築家と連携することで、平屋の独特な構造を活かした収納スペースの設計や、自然光を効果的に取り入れる窓の配置など、住まいの質を向上させる工夫を一緒に検討することができます。


さらに、平屋はエネルギー効率や環境性能にも優れている点がメリットとして挙げられます。建築家と協力して、適切な断熱材やエネルギー効率の良い設備を選ぶことで、省エネルギーを実現し、環境にも配慮した快適な住まいを手に入れることができます。


まとめると、平屋は動線の良さ、建築コストの安さ、使い勝手の良さなど、様々なメリットがありますが、それらを最大限に活かすためには、建築家と一緒に設計を進めることが重要です。ぜひ、専門家の力を借りて、理想の平屋を建て、充実した生活を送りましょう。


建築家に聞く平屋の注意点


平屋は、その魅力的なメリットから多くの人々に注目されていますが、一方で注意すべき点も存在します。この記事では、建築家が語る平屋の注意点を3つのポイントに分けてご紹介します。


それぞれ日当たり、道路や隣家からの視線、水害に関して解説していきます。


日当たりに注意


平屋の場合、南側の隣家との距離が確保しにくいことがあります。


なぜなら平屋は全ての部屋が1階に配置されるため、建物が水平方向に大きくなるからです。


適切な日当たりを確保するためには、設計段階で隣家との距離や、部屋の配置を十分に検討することが重要。また、窓の大きさや配置を工夫して自然光を効果的に取り入れる必要があります。


道路や隣家からの視線に注意


平屋はプライバシーを保ちにくい傾向があります。


寝室などのプライベートスペースが2階建ての場合と比べて道路や隣地から見えやすいからです。場合によっては隣家から見下ろされることも。


これらの問題を解決するため、建築家と一緒にプライバシーを確保するための工夫を検討することが重要です。間取り以外にも、外からの視線を遮るようなカーテンやブラインドの設置、緑のスクリーンを利用するなどの対策が考えられます。


水害に注意


平屋は、水害に対するリスクが高まることがあります。


そのため、建築前にハザードマップを確認し、災害時にどのような状況になるか、どう避難すれば良いのかを把握することが重要です。


また、建築家と協力して、水害対策を講じた設計を検討しましょう。浸水リスクを減らすための基礎高さや、排水設備の整備などが考慮されます。


平屋の注意点まとめ


以上のように、平屋には日当たり、道路や隣家からの視線、水害といったリスクがあります。平屋には多くの魅力がある一方で、注意すべきポイントも存在します。


これらの問題に対処するためには、建築家と一緒に設計段階から慎重に検討することが大切です。適切な日当たりやプライバシーの確保、水害対策を行うことで、安心して平屋での暮らしを楽しむことができます。


平屋がおすすめできないケース


平屋は多くの魅力を持ちますが、いくつかのケースではおすすめできないこともあります。この記事では、土地面積が小さい場合、日当たりが確保しにくい敷地状況の場合、地盤が低く水害の心配がある地域の場合について、それぞれ専門家目線で解説していきます。


土地面積が小さい場合


土地面積が限られている場合、平屋はおすすめできません。


なぜなら、平屋は水平方向に面積が大きくなるためです。


具体的には、建てようとする建物の約2倍の土地面積があった方がよいでしょう。30坪の平屋を建てたいなら、土地は60坪くらいが目安です。


また、法律上の制約や建築基準法によって、建築できる面積や壁面の位置が指定されることもあります。


土地面積が小さい場合は、より効率的な空間利用が可能な2階建て以上の住宅の方が適切なケースが多いです。


日当たりが確保しにくい敷地状況の場合


敷地状況が日当たりを確保しにくい場合も、平屋はおすすめできません。


日当たりの良さは、省エネの観点や住まいの快適性に大きく関わります。平屋では、建物が広がるため、南面する部屋の数が減り、適切な日当たりが確保できないことがあります。


このような場合は、2階建て以上の住宅で、上層部に南向きの部屋を設けることで、日当たりを改善することができます。吹き抜けやトップライトを利用するとより効果的です。


平屋を計画する際は日当たりが確保できそうか、必ずチェックしましょう。


地盤が低く、水害の心配がある地域の場合


地盤が低く、津波や河川の氾濫による水害のリスクが高い地域では、平屋は適切な選択肢ではありません。


水害時には、一階部分が浸水する可能性が高く、家財や住環境に大きな被害が出る恐れがあるからです。そうしたリスクを軽減するため、2階建て以上の住宅を選択し、寝室やリビングなどの主要な生活空間を上層部に設けることが望ましいです。


繰り返しになりますが、行政が出しているハザードマップの確認は重要です。


平屋がおすすめできないケースのまとめ


以上のように、土地面積が小さい場合、日当たりが確保しにくい敷地状況の場合、地盤が低く水害の心配がある地域の場合は、平屋は適していないことがあります。これらの状況においては、2階建て以上の住宅を選んだ方がメリットは大きいでしょう。


平屋には多くの魅力がありますが、すべてのケースで最適な選択肢ではありません。住まい選びは、一生に一度の大きな決断ですので、慎重に検討し、専門家と共に最適な住宅を見つけ出すことが大切です。


建築家や不動産専門家と相談しながら、敷地の状況や地域の特性を十分に考慮した上で、最適な住宅タイプを選択することが重要です。また、将来の家族構成やライフスタイルの変化も考慮に入れ、柔軟な間取りや設計ができるようにしましょう。


平屋の間違った常識とは


平屋に関しては、一般的に誤解されがちな常識がいくつか存在します。本記事では、「平屋は贅沢な計画」「平屋は法律制限が少ない」「平屋は外観がかっこよくならない」という3つの誤解を、専門家目線で解説していきます。


平屋は贅沢な計画という誤解


一般的に、平屋は贅沢な計画と考えられがちですが、これは誤りといえます。


たしかに土地面積を贅沢に使用しているかもしれませんが、平屋は2階建てよりも建物面積を抑えることでコストダウンが可能。階段室や廊下を少なくすることによって、無駄な空間を省くことができ、効率的な間取りを実現できます。


また、バリアフリー設計により、将来の住みやすさを考慮したプランニングが可能です。平屋という選択は、機能性を重視した堅実な経済設計だといえます。


平屋は法律制限が少ないという誤解


平屋は法律制限が少ないというのは間違いです。


たしかに平屋は高さ制限の影響はほぼ受けませんが、隣地境界線との距離が小さくなる傾向があります。これにより、採光計算や換気計算、民法の制限が不利に働くことがあります。


敷地条件によっては、適切なプランニングが難しくなることもあるため、法律制限に関しては、注意が必要です。


平屋は外観がかっこよくならないという誤解


平屋は外観がワンパターンになりがちだと思っていませんか?平屋はデザイン性の高い外観をつくりやすい側面もあります。


平屋は窓のバランスが取りやすく、外観デザインにおいても魅力的な要素があります。例えば、軒の深さや大屋根を強調した重厚感のある外観は、平屋ならではのデザインです。


また、低い建物の特性を活かし、周囲の風景と調和した外観や、屋根に庭園を設けるなどの独創的なデザインも実現可能。高さのない平屋でも工夫次第で様々な外観パターンを検討することはできます。


平屋設計の具体的なテクニック


平屋の設計には、いくつかの具体的なテクニックがあります。ここでは、「廊下を減らす」「東西方向にめいっぱい広げる」「動線を考慮して間取り・建具計画をする」という3つのテーマを、専門家目線で解説していきます。


廊下を減らす


廊下を減らすことで、コストダウンが実現できます。


廊下を減らすと建物の面積が小さくできるからです。平屋は階段室がないため、廊下を短くし、効率的な間取りを作ることが可能です。


また、無駄な空間を省くことで、実質的な床面積を増やすことができ、より広々とした住空間を実現できます。廊下が短いことで移動時間も短縮され、家事の手間が省けるというメリットもあります。


平屋はどれだけ廊下を削減できるかがとても重要です。


東西方向にめいっぱい広げる


平屋の設計では、東西をめいっぱい広げましょう。


東西になるべく広げることで南側にスペースを確保し、南に面する部屋を増やすことができるからです。そうすることで日当たりの良さを最大限に活かすことができ、暖かく快適な住環境を実現できます。


また、日当たりの良い家は、冬場の暖房費の節約や、健康面でのメリットもあります。日当たりや風通しを確保して自然を活かすことは省エネ対策として有効です。


動線を考慮して間取り・建具計画をする


平屋のメリットを最大限に活かすために、動線を考慮した間取り・建具計画が重要です。


各部屋や共有スペースの配置を工夫することで、移動しやすく使い勝手の良い住空間を実現できます。例えば、キッチン、脱衣所、物干しスペースなどの家事動線、玄関、洗面所、クローゼットなどの帰宅時動線を考慮した間取り、建具計画にすると毎日の移動がとてもスムーズになります。


さらに、開口部や建具の種類・配置にも工夫を凝らすことで、プライバシーや利便性を向上させることができます。おすすめは引き戸。引き戸は開けっ放しにしやすいため、空間をつなげたり分けたりして、用途に応じて使い分けることができます。

まとめ


本記事では、建築家が平屋の魅力を詳しく解説しました。


メリットやデメリットのほか、注意点や勘違いされがちな間違った知識、さらには平屋設計の具体的なテクニックも紹介しました。


平屋は多くの魅力を持ちながらも、その魅力を最大限に活かすためには建築家と協力することが重要です。ぜひ、この記事を参考に、建築家と一緒に理想の平屋を建てて、快適で素晴らしい住まいを手に入れましょう。

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