MAGAZINE

建築コラム

To the ideal life

建築家のこと

2022.12.23

住宅ローンを詳しく解説!予算の流れを把握して資金の計画をたてよう

この記事をシェアする

住宅ローンを組む際、多くの人が住宅ローンのことをあまり理解していません。


それもそのはず、住宅ローンの仕組みは複雑でわかりにくく、理解するのは簡単ではありません。しかし、正しい知識を身につけて自分で判断をしなければ条件の悪い住宅ローンや自分に合っていない住宅ローンを選択してしまうかもしれません。


住宅ローンは建築会社や銀行のお任せではなく、自分の判断で選択しましょう。

自分で判断するため、正しい知識を身につけなければいけません。


この記事では、住宅ローンを理解するためには必要な5点について解説をします。

  • 住宅ローンの基本
  • お得にローンを組む
  • 審査について
  • 実行のタイミング
  • 陥りがちな落とし穴

住宅ローンのことを全くわからない人でも理解できるように詳しく解説します。


住宅ローンの基本 


まずは住宅ローンの基本を解説します。

金利について


住宅ローンの金利について説明します。


金利は借り入れに対する利息のことです。住宅ローンのチラシなどを見ると「金利0.8%」などという表示を見かけることがあると思いますが、この「0.8%」が借り入れの利息になります。


金利は基本的には年利です。つまり金利0.8%の場合、一年あたりに支払わなければいけない利息が借り入れ額に対する0.8%ということになります。


わかりやすくシミュレーションで説明します。

たとえば以下の条件で住宅ローンを組むとします。

  • 借り入れ額3000万円
  • 借り入れ年数30年
  • 金利0.8%

このとき、月々の支払いは93,760円です。

ではこの93,760円の中に利息はいくら含まれているのでしょうか。


繰り返しになりますが、金利は一年あたりに支払う利息を表していますので、

  • 3000万円×0.8%=24万円

24万円が一年あたりの利息額です。これを12か月で割ると、

  • 24万円÷12か月=2万円

となります。これが月々に支払う利息の金額です。


つまり、93,760円のうち

  • 元の借入金額の支払いは73,760円
  • 利息の支払いは20,000円

となります。金利はこのように計算すれば、実際にどれだけの利息を払っているかを計算できます。

元利均等と元金均等


住宅ローンには元利均等と元金均等という支払い方法があります。

少し難しいですがこの二つの違いをご説明します。


前項の説明で、支払い金額の元の借入金額と利息の割合をご説明しました。

でも、疑問に思った人も多いはずです。


一か月あたり、元の借入金額の支払いは73,760円なので、

これを一年あたりに換算すると73,760円×12か月=885,120円、

さらに30年で計算すると885,120円×30年=26,553,600円となります。


単純に掛け算しても3,000万円にならないのです。


これは計算ミスではなく、「元利均等」という支払い方法だからです。

支払い方法はこの他に「元金均等」があり、二種類から自由に選択できます。


支払額が一定の元利均等


元利均等は支払額が一定です。金利が毎年0.8%のまま一定であれば、元利均等の場合、月々の支払いは93,760円のまま、元の金額の支払いと金利の支払いの割合が毎年変化します。


なぜなら、借り入れ金額の残高が変化するからです。


毎月93,760円ずつ住宅ローンの支払いを続けると、毎月73,760円ずつ借入金額が減っていきます。そして一年たつと885,120円の支払いが終わったことになるため、借り入れ残高は

  • 30,000,000円-885,120円=29,114,880円

となります。二年目はこの借り入れ残高に対する0.8%を利息として払うことになるため、一年目よりも支払う利息額は小さくなります。


毎月の支払金額は同じでも、元の金額と利息金額の割合が変化するのが元利均等という支払い方法です。


元の金額の支払いが一定の元金均等


元金均等は元の借入金額に対する支払額が一定です。つまり、3000万円を30年で割り、さらに12か月で割ると元の金額の支払いが計算できます。


これに利息額を加えた数字が月々の支払額になるため、年々月々の支払い金額が減っていきます。借り入れ金額が減るスピードは早いですが、当初の支払い額が大きくなります。


元の借り入れ金額が減るスピードが早いため、支払う利息額も小さくなります。ちなみに

  • 借り入れ額3000万円
  • 借り入れ年数30年
  • 金利0.8%

の条件では、

  • 元利均等の場合→総支払額 33,753,636円 利息合計 3,753,636円
  • 元利均等の場合→総支払額 33,609,840円 利息合計 3,609,840円

となり、総支払額に143,796円の差が出ます。


変動金利と固定金利


住宅ローンの金利にはもう一つ覚えておかなければいけないものがあります。

変動金利と固定金利についてです。


上記シミュレーションでは金利0.8%を使用しましたが、この金利が変動する可能性があるのが変動金利、変動しないのが固定金利になります。


変動金利は固定金利よりも金利が安いという特徴があります。

つまり、いつまでも低金利が続くのであれば変動金利の方が支払う利息額は少なくて済みます。

しかし、急に金利が上がるリスクもあるため、場合によっては固定金利にしておいたほうが良かったという事態にもなりえます。そして支払い金額が急に変わるかもしれないというのもリスクといえます。


対して固定金利はずっと支払い額が一定です。変動金利に比べれば金利は高いですが、支払いの目安がたてやすいという特徴があります。

金利が低いときに固定金利で住宅ローンを組むことができたら低金利と安定という二つのメリットを得ることができます。

いつ完済するかを考えよう


住宅ローンでとても重要なのがいつ完済するか、です。


住宅ローンは79歳まで支払い続ける前提で借り入れ年数を設定できますし、年金をあてにして支払いを計画することもできます。でも、明らかにそのような計画はすべきではありません。


健康で働いている可能性が高いうちに完成するように支払い計画をたてるべきです。金利や月々ばかりに目が向きがちですが、完成時期を考えることはとても重要です。


お得にローンを組む


住宅ローンを少しでもお得な条件で契約するためには次のことに注意が必要です。


金利と手数料


住宅ローンの損得を判断するには金利と手数料を比較する必要があります。

金利だけでなく手数料にも着目しましょう。


手数料は住宅ローンを組む際の事務手数料や保証料としてかかる諸費用です。手数料は商品によっては100万円以上の差があるものもあります。


特に固定金利は手数料が高い傾向にあるため注意しましょう。


国がやっているローンがある


住宅金融支援機構が出している住宅ローンにフラット35があります。


お得な固定金利のローンで、低金利で支払いの目途が立ちやすいという特徴があります。


ただし良質な家しか優遇金利を使用できないので注意しましょう。あくまで国が税金を使用して行っている施策なので、一定の基準を満たした高性能な家であることが条件になります。


ローンを組んだら返ってくる税金


住宅ローンを組んだら住宅ローン減税を受けることができます。


住宅ローン減税は借り入れ額の※0.7%を上限に支払った所得税と住民税が返ってくる仕組みです。住宅ローン利用後※13年間続くので返ってくる税金の総額はかなりのものになります。

(※2022年11月現在)


つまり借り入れしてから13年間は実質無金利で借り入れができているのと同じ状態です。そのため、住宅ローンを組んでから13年間は繰り上げ返済をしてもしなくても損得は変わりません。


審査について


住宅ローンの審査についてご説明します。


仮審査と本審査


審査は仮審査と本審査に分かれます。


仮審査は簡単に言うと人の審査です。


収入や職業、職場などを審査し、住宅ローンの支払い能力があるかどうかが審査されます。

申込用紙に必要事項を記入し、身分証明書、収入証明書などが必要になります。


審査までに一般的には1週間ほどの日数を要します。


対して本審査は物件の審査です。


銀行は土地と建物に抵当権を設定します。抵当権は契約者の住宅ローンの支払いが滞ったときに物件を差し押さえる権利です。銀行にとっては抵当権を設定できるかどうかが全てと言っても過言ではありません。


本審査は抵当権の設定が問題ないかという審査です。そのため土地の謄本や契約書、建物の図面等が必要になります。


審査は1週間から10日ほどの日数を要します。仮審査と比較して厳重な審査をするためです。

返済比率ってなに?


審査のときに返済比率という言葉が出てきますが、返済比率とは契約者の年収に対する支払い割合の目安です。


年収500万円の人が年間150万円の住宅ローンを支払う場合は

150÷500=0.3→返済比率30%です。


銀行や住宅ローンの商品にもよりますが、返済比率は25〜30%が限界と判断されるケースが多いです。


実行のタイミング


住宅ローンがいざ実行されるのは家が完成したタイミングです。

家が完成していない時点では抵当権が設定できないため、住宅ローンは実行できないためです。


しかし、建築会社によっては中間金をもらわないと工事が進められないケースがあります。住宅ローンが実行されるまでは資材の発注や業者に支払う施工費用などの原資がないからです。


そのときによく取られる手段がつなぎローンです。

つなぎローン


つなぎローンは住宅ローンを将来的に組むことを前提に、金利を払って資金が必要なタイミングから住宅ローンが実行されるタイミングまでをつなぐローンです。


たとえば建築会社であるA社が施主のBへ中間金を求めたとしましょう。

3000万円の建築費用のうち、3割の900万円が中間金と仮定します。

このとき施主BはA社に900万円を一旦支払うため、つなぎローンを契約します。


仮につなぎローンが年利2%、つなぎ期間が3か月だったとします。

このときつなぎローンの金利負担額は以下の通りです。

  • 900万円×2%=18万円 (一年あたりの利息額)
  • 3か月÷12か月=0.25
  • 18万円×0.25=4.5万円 (三か月分のつなぎ利息額)

つなぎローンは、金額とつなぎの日数で金利負担額が決まります。

陥りがちな落とし穴


住宅ローンを組むときについ陥ってしまう考え方を紹介します。

借入年数を長くして月々を減らす


借り入れ年数を長くして月々を減らすのはやめましょう。


借り入れ年数が長いほど利息を多く払うことになりますし、自分が何歳まで働けるかなんて誰にもわからないからです。


40年ローンや50年ローンは月々が安いのは魅力的ですが、70歳になっても住宅ローンを払う前提になっている可能性が高いです。もしかしたら働いているかも知れませんが、現段階で不確かなことをあてにするのは少し危険です。


月々が多少きつくても、借り入れ年数は短い方が良いです。反対に言うと、健康に働いている可能性が高い歳までに住宅ローンが終わるように借り入れ金額や借り入れ年数を調整して、予算内で可能な建物を計画しましょう。

月々だけに目を向ける


月々だけに目を向けるのは危険です。


理由は前項と同じで、いつまで健康に働けるかわからないからです。月々だけに目が向いてしまうと、借り入れ年数を長くして目先の月々を下げるという発想になってしまいます。


目先の月々の支払いよりも何歳で完済できるかを考え、長期的な視点で支払いの計画をたてることが重要です。


月々が安いという理由だけで変動金利、元利均等を選ぶ


変動金利を選ぶときはリスクを理解したうえで選びましょう。


そうでなければいざ金利が上昇したときの支払い準備もできないでしょうし、そのときに後悔することになります。


変動と固定はどちらが良いというよりは性格により合う合わないが分かれます。目先の支払い額だけでなく、特性を理解して選択しましょう。


また、可能な限り元利均等よりも元金均等を選択したほうが良いです。


利息額が少なくて済みますし、支払いの計画もたてやすいからです。


極力元金均等が選択できるような資金計画を目指しましょう。

まとめ


住宅ローンは以下のようなことを理解することが重要です。


  • 住宅ローンの基本を理解する
  • お得にローンを組む方法理解し、金利や手数料を安く抑える
  • 審査方法や期間を理解し、スムーズに手続きする
  • 実行のタイミングを理解する
  • 陥りがちな落とし穴を理解し、賢く借りる

住宅ローンについて知識を身につけ、賢く借りられるような準備をしましょう。

前へ 一覧へ戻る 次へ

この記事をシェアする

Contact Free

お問い合わせはこちら

家づくりに関するご相談、ご質問は
お気軽にお問い合わせください。