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2023.01.23

住宅は絶対に見学をした方が良い理由とは?建築家が教える失敗しない家づくりに重要なこと

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家づくりを検討している方は住宅見学をしましょう。建売住宅や分譲マンションはもちろん、注文住宅を建てるときも「実際に建った家」を見ることが大切です。


その理由は、住宅を実際に見学することで以下のようなメリットがあるからです。

  • モデルハウスと実際の家の差を知ることができる
  • リアルな広さを確かめることができる
  • 建築会社の特徴を知ることができる
  • 実際の生活を見ることができる
  • 入居者の声を聞くことができる
  • インテリアを参考にすることができる

これらは一体どういうことなのか、以下にて詳しく解説します。


住宅見学が家づくりにおいてとても参考になることは間違いありません。住宅見学のメリットをしっかりと理解して後悔のない家づくりをしましょう。


モデルハウスのような家は建たない


ほとんどの人はモデルハウスのような家を建てることはできません。


なぜなら、モデルハウスは建築会社の広告塔で、広さも仕様も実際に多くの人が建てる住宅からは遠ざかっているからです。モデルハウスは豪華すぎて、リアルな生活はイメージし辛いというのが現実です。


たとえば面積に注目してみましょう。4LDKの間取りの場合、建売住宅の2階建なら100〜130㎡(約30〜40坪)ほどが一般的なのに対して、展示場は200〜260㎡(約60〜80坪)とほぼ2倍の広さがあります。


見せることを目的としているモデルハウスは、

  • 大きすぎる
  • 豪華すぎる

という欠点があります。


モデルハウスは至る所がハイグレード


また、モデルハウスは至るところがハイグレード仕様でつくられています。


これももちろん、モデルハウスを見たときの印象を良くするために、建築会社が高級仕様で計画しているためです。また、色々なアイテムを紹介するという目的もあります。


住宅はお金さえ許せばグレードアップできるポイントはいくつもあります。

外壁、玄関ドア、玄関タイル、床、建具、内壁、天井、家具、照明、キッチン、システムバス、洗面台、トイレ便器、など。数え上げればきりがありません。

これらのほぼ全てにこだわり、どこから見ても見劣りしないようにつくっているのがモデルハウスです。


モデルハウスを見て住む家をイメージするのは危険です。実際に使用するグレードとの差を確認しましょう。


モデルハウスはサイズが大きい


前述の通り、モデルハウスの床面積は実際の住宅の倍くらいあります。それに伴い、部屋の広さ、家具の大きさ、設備など全てのサイズが大きくつくられています。


これはモデルハウスを豪華に見せるためでもありますが、単純に来場人数が多いからというのも理由の一つです。

たとえば見学者が3〜4組重なったら、見学者は10人を超えます。普通の玄関では靴が置きづらく、普通の廊下幅ではすれ違うのも大変です。


そのため展示場は、見学しやすいようにゆったりとつくられています。


部屋の広さはもちろん、玄関、廊下、階段、クローゼット、トイレなど、全てがバランスよく広めの設計です。モデルハウスは広さ感覚の参考にはならないことがほとんどです。


リアルな広さを確かめる


実際に建った家を見学することでリアルな広さを確認することができます。


モデルハウスと違い、実際に建った家なら床面積、部屋の広さ、玄関や廊下の幅がリアルだからです。


6畳の部屋が広いのかどうか、78センチの廊下が狭いのかどうかはどれだけ考えてもわからないはずです。図面はもちろん、写真や動画で見ても難しい。実際の空間に立ち、体感してはじめて空間の広さを理解することができます。


また、住んでいる賃貸住宅や長年住んでいた実家との比較も有効です。何年も住んで体感している家なら、広さの感覚が体に染みついているからです。

見学に行けないときなどは、住んだことのある家と比較すると良いかもしれません。

計画している図面を持っていく


広さの感覚をより正確につかむために、住宅見学には計画している図面を持っていきましょう。


図面があれば、計画している広さをリアルな空間と照らし合わせながら見学をすることができます。


そのほかにも、動線、インテリア、収納などの比較をするととても参考になります。できれば計画している家と同じような計画の家が見学できれば理想的です。


建築会社にも相談して、図面を見ながら見学できるような家を探しましょう。


建築会社の特徴を知ることができる


実際に建った家を見ることで建築会社の特徴を知ることができます。


建てられた家を見ると、図面やイメージパースだけではわからない部材や施工方法がわかるからです。


たとえば、雨樋、小屋裏換気口、基礎巾木、外部コンセント、電気メーター、立水栓などは商品の詳細について打ち合わせはしないこともあると思います。しかし、これらが外観に与える影響は意外に大きく、どのような部材を使い、どのような施工方法をするかで家の印象は変わります。


打ち合わせでは説明しきれないことは必ずあります。そしてそれらは実際に見ないとわかりません。住宅見学をすれば、建築会社のもつ細かい特徴に気づくことができます。


工事現場の見学もおすすめ


工事現場の見学もおすすめです。


良い家をつくる建築会社は工事現場がきれいで、監理が行き届いているからです。現場を見ることで建築会社の姿勢が見られると言っても過言ではありません。


また、工事現場を見せることができるということは、それだけ現場に自信を持って施工をしているということです。現場を見せることをためらう建築会社は、「自信がないのでは?」と不安になってしまいます。


工事現場を見れば建築会社の品質はすぐにわかります。


実際の生活を見る


完成したばかりの住宅ではなく、実際に人が住んでいる住宅なら実際の生活を見学することができます。住宅の見学は実際に人が住んでいる家の方が理想的です。


人が住んでいる家は生活が想像しやすいからです。完成したばかりでまだ人が住んでいない家は家具や家電もなく、カレンダーやゴミ箱や文房具などの生活必需品がまだ置かれていません。


入居宅でこれらを見ると、どのように配置しているのか参考になるはずです。


収納の中まで見せてもらうことは難しいかもしれませんが、できれば見せてもらいましょう。人には見せたくないところが一番参考になります。

家具の配置


家具の配置を参考にしましょう。家づくりの検討において家具の配置はとても大事です。


家具の配置次第で部屋が広く感じるか狭く感じるかが変わるからです。


広い部屋でも家具が大き過ぎたり通路幅が十分に確保できていなかったりすると狭く感じ、狭い部屋でも家具のサイズや配置がマッチしていればすっきり見えます。


また、家具は空間に置かれることではじめてイメージができます。モデルハウスで住宅をイメージすることが難しいのと同じく、家具のショールームで部屋をイメージすることは難しいです。


空間と家具をマッチさせることで後悔のない家づくりができます。そのために、実際の空間に実際の家具を置いている住宅見学はとても参考になります。

収納について


実際に使われている収納を見るととても参考になります。


実際に見ることで収納の使い勝手をイメージしやすいからです。収納量、動線、棚の枚数や高さなどの詳細計画についても、体感できた方が良いでしょう。


たとえば、クローゼットを寝室の近くではなくリビングに設ける計画があります。リビング横のクローゼットを実際に見学することで、

  • 着替えがどれだけ楽か
  • 収納がどれだけ楽か
  • 帰宅時の動線
  • リビングからの視線

などが確認できます。


また、可能であれば収納の中も見学させてもらいましょう。計画段階では、何を収納しないといけないかまでは想像しづらいからです。

実際に見てみると、「こんな収納スペースがあると便利だな」「これも収納場所を考えておかないといけないな」といった気づきがあるかもしれません。


収納に注目して見学すると、図面や写真だけでは気づかないことがたくさんあります。

入居者の声を聞く


住宅見学に行ったら入居者の実際の声を聞きましょう。


住んでみて、使ってみての感想はとても参考になります。設計者やショールームアドバイザーでは気づかない鋭い意見も聞けるでしょう。


満足していることも後悔していることも参考になりますが、重要なのはその理由です。生活も性格も十人十色。その人にとっては良かったことでも自分の暮らし方とは合わないことも当然あるからです。


意見を鵜呑みにせず、理由をしっかり聞いたうえで自身の計画に落とし込むことで貴重な情報を最大限に活かすことができます。


入居者の声は家づくりの答えそのもの


家づくりに関する情報がたくさんあり過ぎて混乱するとき、最も頼りになるのは「実際に家に住んだ人の体験談」です。入居者の声は家づくりの答えそのものです。


なぜなら入居者の実体験に勝る裏付けはないからです。科学的な根拠があっても、大多数の意見であっても、その情報が実体験に基づくものでないなら不十分な情報といえます。


たとえば、結露が発生しにくいことが売りの高断熱サッシがあったとします。カタログには断熱性能などの細かい数値が書かれており、どうやら本当に効果は高そうです。


しかし、どれだけ断熱性能が高いサッシでも、生活環境によっては結露が発生します。


結露は湿気を多く含んだ空気が冷やされることで発生します。たとえば以下のような条件が重なれば結露する可能性は高くなります。

  • 室内にある程度の湿度がある
  • 外気温度が低く、室内のサッシまわりの温度が低い
  • カーテンをつけていないサッシ

サッシの性能よりも生活環境に大きく影響を受けます。実際に住んでみると理解するのは簡単ですが、情報を集めているだけではなかなかわからないことです。


情報が多過ぎてどの情報が正しいのかわからないときは、実際の体験談を参考にしましょう。ちなみに建築家も、専門知識と合わせて入居者の声を大事にして日々勉強しています。


家事について教えてもらう


特に参考になるのが家事についての意見です。


家事はやり方次第で効率が大きく変わるからです。普段家事をしていて、「ここに収納があれば……」「ここの壁がマグネットだったら……」と思っている人は多いのではないでしょうか。


入居者の方が日々家事をしながら感じている、使いやすいところと改善したいところを聞き取り、それをそのまま採用してしまうのも良いでしょう。特に収納や掃除に関することなどは採用しやすいことも多そうなのでおすすめです。


掃除機の収納


掃除機の収納を例にあげてみましょう。


最近はロボット掃除機を使用するご家庭が多いので、ロボット掃除機専用のスペースを設ける計画が増えています。あるご家庭では、物入れの扉の下部を12センチほど開けて物入れの中にロボット掃除機が入っていけるように計画しています。普段は見えず、物入れの中が基地になるのでお部屋がすっきりします。


この計画は、

  • 扉の高さをカットする
  • 物入れの中にコンセントを設ける

という設計が必要ですが、このやり方を知るとほとんどの方が採用したいと言われます。


掃除機をはじめ、物の定位置は各ご家庭でバラバラです。住宅見学で収納を参考にして、採用できそうな工夫を探しましょう。


インテリアを参考にする


住宅を見学してインテリアを参考にしましょう。


インテリアはアイテムを単独で見るのではなく、できあがった空間で確認することでとても参考になるからです。


たとえば、ソファやペンダントライトはショールームで見るよりも部屋で見た方が生活空間に溶け込むイメージがわきやすいですよね?


インテリアは「人が住んでいる部屋」で確認することがとても大切です。


インテリアの構成要素


インテリアの構成要素はたくさんあります。


照明、カーテン、壁紙、家具、雑貨、観葉植物、ラグ、クッション、家電、時計、など。

数え上げればきりがありません。


たくさんあるからこそアイテムを単独で見るよりも空間全体で見て、色合いやデザインを確認することが大切です。

まとめ


建築家が教える住宅見学のメリットをご紹介しました。


家づくりを経験した人は、「見学会が参考になった」と口をそろえて言います。その理由は、モデルハウス、図面、写真、カタログではわからないことが体感できるからです。


できる限りたくさんの家を見た方が、住んだ後の生活をイメージしやすくなるでしょう。


後悔のない家づくりをするために、住宅見学に参加してみましょう。

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