家づくりをするには、様々な手続きや打ち合わせを行う必要があります。
そのため、家づくりの流れを正しく理解していないと、効率よく家づくりを進めることができません。今回は建築家から家づくりの流れを詳しく解説します。
何から始めればよいか、家づくりの流れ、かかる期間、その他の知識など、家づくりに必要な情報をご紹介します。家づくりをする方はぜひこの記事を読んで、効率よく家づくりを進めましょう。
まずは土地と資金
家づくりでまず大事なのは土地と資金です。家づくりは何から始めたらよいのかわからないという方は、どの土地に建てるか、資金はどうするのかを検討しましょう。
土地と資金がなければ何も進まないからです。理想の家の青写真があっても土地がなければ計画を建てることも打ち合わせをすることもできません。また、資金の目途がつかない場合も同じです。
土地がないならどのエリア、どれくらいの坪数、金額で購入をするかを知る必要があります。相場を調べないといけませんし、現地の見学も必要です。不動産会社や建築会社に協力を仰ぐ必要もあるため、結構手間がかかります。
資金に関しては住宅ローン仮審査をしてみると良いです。どの銀行からでもOK。仮審査はそこまで手間もかからず行うことができます。そして住宅ローンが借りられない事情がある場合、仮審査の時点で発覚します。
もし借りられない場合はどうすればそれが解消できるかを考える必要があります。
- 他の借り入れがあるから
- 収入が低いから
- 持病があるから
様々な要因が考えられますが、何が原因かによって対処方法も異なります。
土地と資金は場合によっては数年単位で準備が必要な場合もあるため初期段階で目をつけておきましょう。
家づくりの全体の流れ
家づくり全体の流れは以下の通りです。
- 土地を決める
- 建築会社を決める
- 打ち合わせを進める
- 融資手続きを進める
- 土地決済する
- 家具家電を検討する
- 入居までに必要な手続きをする
以下にて詳しく解説します。
1.土地を決める
家を建てるなら、まず土地を決めましょう。
期間は1か月〜1年かかります。
前述の通り、土地が無ければ家づくりで最も重要な間取りの計画を進めることができません。また、土地代は家づくりの総予算のうちかなりの割合を占めます。そのため土地の立地や広さで資金計画が大幅に変わる可能性もあります。
土地は金額や立地以外にも、法規制や自治体の許認可などを確認する必要があります。場合によっては、建てられる家に大きな制限が課せられる可能性もあるので、必ず建築会社に相談して土地の特性を調べましょう。
不動産会社ではなく、建築会社に相談するということがとても重要です。
土地探しは時間もかかるため、条件に合った良い土地が出てくるまでには時間もかかります。そのため早い段階で取り掛かることがとても重要。おおよその土地の目途がたてば資金やおおよその建物面積なども計画を立てやすくなります。
2.建築会社を決める
次に建築会社を決めます。土地と同様とても重要なプロセスで、どこの建築会社に任せるかで家づくりの満足度は変わってきます。
期間は1か月〜2か月ほどを目安にすれば良いと思います。
建築会社によって、間取りも見積もりも大きく違うからです。同じ土地、同じ要望で複数の建築会社に依頼するとそれぞれ異なる提案が出てくるはずです。
間取りや見積もり以外にも、使用する材料、工事監理体制、アフターメンテナンスの体制など、提案内容全体をじっくりと検討することが大切です。また、実績や評判をよく調査し、その会社のサービスや家づくりへのこだわりを理解して判断しましょう。
だれにとっても、家づくりはわからないことだらけ。経験豊富で信頼できるパートナーに任せることが家づくり成功のカギになります。
3.打ち合わせを進める
建築会社を決めたらいよいよ打ち合わせです。
注文住宅なら3〜4か月はかかります。建売住宅の場合、家は出来上がっているので1~2週間で完了します。
家づくりの打ち合わせは本当に時間がかかります。人それぞれ悩みや理想の住まいへの希望があり、それを形にしていく作業だからです。希望条件の収集、書類の整理、問題の解決策の検討など、考え出すと何時間も時間を費やしてしまうこともあります。
具体的には、
- 間取り
- 配置計画
- 内装材(床や壁)
- 外装材(屋根や外壁)
- 設備(キッチンやお風呂)
- 収納計画
- 付帯設備(給湯器やエアコン)
- 電気(コンセントやリモコン)
- 照明
- カーテン
- 外構
などの打ち合わせが必要で、使い勝手、デザイン、見積もりなどを検討しながら進めていきます。注文住宅は2〜3か月の打ち合わせは当たり前です。
ある程度は建築会社に任せないと身が持ちません。それだけに信頼できる経験豊富な建築会社を選ぶことは重要です。
4.融資手続きを進める
建物の打ち合わせと並行して融資の手続きを進める必要があります。
準備を始めてから2週間ほどで審査まで完了します。
融資の審査や準備には時間がかかるからです。ある程度の見積もりが出た段階で本申し込みを始めましょう。
基本的には多めの借り入れ額で審査して、後で適正な額まで減らすというやり方がおすすめ。後から金額を上げるのは再審査になりますが、減額に関しては比較的簡単にできるからです。
融資は書類の準備や記入手続きが多く面倒です。面倒なことはなるべく早めに片づけてしまいましょう。
5.土地決済する
土地決済とは、土地の代金を支払い、土地の所有権を売り主から買い主に変更する手続きのことです。
土地決済自体は数時間で完了しますが、融資の事前準備は3週間ほど前から行います。
一部の例外を除き、土地決済が完了するまで工事を開始することはできません。土地を買って家を建てる人にとって、土地決済はそれほど重要な手続きなのです。
土地決済の前に必要な手続きは、融資を受けることです。土地代金を現金で支払うのでなければ、ローンの本審査を受け、つなぎ融資を申し込む必要があります。
住宅ローンの内容もほぼ確定させる必要があるため、建物の打ち合わせや見積もりもある程度確定させる必要があります。
6.家具家電を検討する
建築に関する打ち合わせが終わったら、家を完成させるために必要な家具や家電を考え始めなければなりません。
1か月ほどの検討機関があれば十分だと思います。
家の打ち合わせと同様に、使い勝手やデザイン、コストなどを考えながら家具や家電を選んでいくと、かなりの時間がかかってしまいます。商品によっては在庫がなかったり、生産に時間がかかったりするものもあるので、早めに取り掛かりましょう。
長年使用することになるものなのでじっくりと選びましょう。調理器具、冷蔵庫、食器洗い機、家具セットなど、家の間取りによって、選べる家具や家電はさまざまです。ベストな選択をするために、興味のあるブランドや製品の種類を調べ、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
さらに、オンラインとオフラインの両方でお買い得品を探すことで、効率よく買い物をすることができます。その際は、製品保証、配送・設置費用、返品条件など、細部にまで注意を払うことを忘れずに。
引っ越し直前にバタバタすることがないように、家具家電をじっくりと時間をかけて選びましょう。
7.入居までに必要な手続きをする
入居までに以下の手続きをする必要があります。
2週間ほど期間をみておきましょう。
- 郵便物転送手続き
- 転校手続き
- 住所移動手続き
- 賃貸住宅退去手続き
- 金消契約
- 火災保険契約
- 引っ越し業者への依頼
- インターネット契約
これも量が多くかなりの重労働です。段取りよくコツコツやっておかなければ大変なので注意しましょう。
やっておいた方がよい事前準備
やっておいた方がよい事前準備についてご紹介します。
- 土地探しをする
- 借り入れを完済する
- 自己資金を貯めておく
- 家の好みを把握しておく
これらは家づくりをスムーズに進めるために必要なことです。
以下にて詳細に説明します。
土地探しをする
土地探しはできるだけ早く始めましょう。
なぜなら、希望する土地の区画をすぐに見つけることは難しいからです。条件が具体的であればあるほど、選択肢は少なくなり、良い条件の土地ほど競争が激しく、すぐに買い手がつきます。
実際に土地を決めるときにはある程度の妥協が必要です。100点満点の土地に巡り合うのは難しいからで、100点の土地を探し求めて何年も土地探しをしている人も少なくありませんす。家を建てるためにはどこかで折り合いをつけることも重要です。
そのため、長期的な視野で考えないと、理想に近い土地を手に入れるのは難しいかもしれません。土地探しは運任せの要素も多分にあります。
時には、すぐに良い物件が見つかることもありますが、数年かかる可能性もあります。早く始めないと、いつ家を建てられるかわからないのです。
借り入れを完済する
借金がある場合は、できればすぐに返済してください。
借金があると、住宅ローンの審査に支障をきたすためです。借金が理由で融資額が希望額より少なくすることを要求されることも珍しくありません。
最も代表的なローンは自動車ローンです。高額なためなかなかクリアできないこともありますが、住宅を取得する場合はできるだけ早く完済するようにしたほうがよいでしょう。その他、フリーローンやリボ払いは、利息額も高いためなおのこと早く返済した方が賢明です。
借り入れを減らし、余計な利息を払うのはやめましょう。そしてそのお金を貯金や投資にまわし、家づくりに必要な自己資金を貯めることに注力しましょう。
住宅ローンの審査に備えるために、早めにローンを支払うようにしましょう。
自己資金を貯めておく
自己資金を貯めておきましょう。
家づくりにはある程度の自己資金が欠かせません。フルローンを組むつもりだったとしても、契約金や水道局への支払い、不動産取得税、家具代、家電代、さらには引っ越し代など、数え切れないほどの費用が現金で必要になります。
金額は最低200〜300万円ほど。必要資金プラス、家具、家電、雑貨などの余剰資金を考慮したら適当なはずです。ただし、契約金は建築会社や不動産会社によって様々なので事前に確認しましょう。
さらに、生活費の余裕も見越しておく必要があります。生活費に余裕が全くなければ万が一の事態に対応ができません。
家の好みを把握しておく
外観やインテリアに関して、自分たちの好みを把握しておきましょう。
自分の好みを把握していない人は意外と多いものです。自分の好みがわからないまま、家の話を始めると、方向性がごちゃごちゃになってしまい、打ち合わせが思うように進みません。
写真を見たり、展示場に行ったりして、どんなスタイルがいいのか事前に確認する必要があります。可能であれば、実際の物件に足を運び、住まいの広さも一緒に確認することをお勧めします。
様々な外観やインテリアを見ていくうちに、自分にあったもの、自分が好きなものが見つかるはずです。
いろいろな要素を見極めて、自分の好みに合ったものを見つけてください。
アフターメンテナンスについて
住宅は完成したら終わりではありません。住まいの品質や完成度を維持するために、入居後も点検やメンテナンスが必要です。
つまり、家づくりのスケジュールは、入居後のことも考えなければならないのです。
定期点検に関して、入居後は2年に一度くらいのペースで受けましょう。不具合は早めにみつけて対応するためです。築5~6年になると完成直後と比較して不具合が減ってくるためスパンを長くとっても良いと思います。
そして10年経つとほとんどの家でシロアリや外装まわりのコーキング打ち替えといった定期メンテナンスが必要です。そのためにはメンテナンス費用を積み立てておかなければいけないので注意が必要です。
家を大事に使うためにもアフターメンテナンスのことまで考える必要があります。
まとめ
建築家が解説する家づくりの流れを解説しました。
家づくりは、完成までに数ヶ月、場合によっては1年を超えることもあります。手続きや段取りは大変ですが、知識をみにつけ準備さえしておけば、不必要な遅れやミスなくスムーズに進めることができます。
面倒な手続きも効率よく進めることができれば、家づくりを楽しむことができます。